たかがSEX、されどSEX
東京から帰る途中、ささいなことで妻と口論になった
それは、セックスさせる、させないという、俺にとっては
全然ささいなことではなかった

拒んでいる、拒否している、誘わない、襲わない
一人寝してしまう、帰りが遅い、仕事で疲れる、子供が寝ない
水掛け論になってしまうので、俺が明日ラブホに行くかと誘うと
「いいよ」と云う

…ところが、これがクセモノなのだ
何度だまされたことか
俺は信じないと言い張ると、絶対行くと負けずに言い張る

翌日の時間は、妻の都合に合わせる事にした
休みだから朝からでもいいし、昼でもいい
午後でも夕方でも夜でも、とにかく2時間を挟んで前後30分
妻もいろいろ予定があるだろうからと、ワクワクと待つ
朝が過ぎ、昼が過ぎ、午後になり
外出から帰ってきた妻は、あろうことか夕寝をはじめた

いかん、これじゃ間に合わん!

寝倒してメシを作りそうもない妻に代わり
ガキの夕飯の仕度のため、ものわかりのいい下のメスガキを連れ
スーパーに食材を仕入れに行くと
ガキが
「私、オムライス食べたい」
どうしても食べたいといってきかない

焦っている俺は納豆玉子に味噌汁とたかをくくっていたが
じれて泣き出しそうなガキをおとなしくさせるために
俺は生まれて初めてオムライスを作ったよ、速攻で
チキンライスを作って薄く焼いた卵でくるみ
皿を当ててひっくり返せば、はいできあがり
メスガキは喜んで、ケチャップで自分の名前を書いた

メシを食い終わって、pm8:00
なんとか間に合うなと思っていたら、妻はパソに向かい始めた
これが、クセモノの正体だ

俺は諦めた
これで何度、諦めたことだろう
久振りのめくるめく濃密な二人だけの愛のひと時
あーしてこーしてそーしてどーしてと、一人で悦楽の妄想をしていた俺は
単なるおバカ…
ラブホ行きは荷物が多い俺にとって、せっせと車に積み込んでいた俺は
嘲笑のピエロ…

「行かないの?」の声がかかった時、pm9:00の15分前
我が耳を疑ったが、何かを云ってる暇はない
ガキには会社に言ってくると遺して、二人で逃避

道中、大声でまた喧嘩
「なにやってんだよ!」「誘わないからじゃない」「行くと約束してただろ?」「声かければいいじゃん!」
こんな気持ちじゃ女を抱く気になれはしねーぜ
とか思っても、ヤッテしまうは男の性(サガだよ、サガ)
あ〜、ヤッテらんねえぜ!
でもヤッちまった