誰もが心の中の宝箱に鍵をかけて仕舞ってある一瞬の光景
フォークギターをやっと買ってもらったのは、中2だった
動機は単純、もちろん女の子にモテたかったから
ギター弾けるとカックイイし、当然目立つ
こういう動機をよく不純と言われるムキも多いが、
俺に言わせれば、こういった動機こそが「純粋」なのである

入門は当然、フォークから
タクロー・陽水・小椋 桂はちょっと上の世代
かぐや姫・風・NSP・アリスといったところか
死ぬ気で練習して、FやB♭などのハイコードもマスターして
2,3人で簡単なアンサンブルも出来るようになると
だんだんバンドに傾倒していった

高校時代は、バンド
軽音がなかったので、クラブ活動は仕方なく音楽を選んだ
ところが、女バッカで合唱がメイン
でも志を同じくするヤツはいるもんで
なんとか4人でバンドを結成することは出来た
ドラムスやエレキ、ベースやアンプは中学時代から時給¥300円のバイトして買い
またまた死ね気でビートルズやヴァンヘイレン、ディープパープルを
一生懸命練習した

ところが、やっぱりコピーはコピー
人の歌は人のもの

ヘタクソではあるが、中学時代から一応オリジナル曲を創っていたので
すぐに自作曲をメインにやるようになった

オリジナルのいいところは
自分達のテクニックに応じてアレンジできる
間違えても、バレない
なんか、楽しい

一つ困ったのは、「詩」だ
歌うのには、詩が必要だ
俺は多少曲は描けても、詩はヘタクソ
けど、すぐ解決した
女の子がバンバン詩を書いている
だから貰いまくった
でも、そこで問題

「詩」を書いてもらうんだけど
歌詞の「詞」にならないってコト
A・A′・B・A′の単純なソナタ形式にも当てはまらない
でも、周りを見渡せばいるもんだねえ
少人数だけど、『作詞』する女の子はいた
1番、2番となるように書いたり
サワリ・サビ・サワリ
なんて曲に載せやすくしたり
韻を踏んだり
語数を合わせたり

高校一年だけで、10曲位もらって創ったかな?
曲が先にある人と、詞につける人といるけど
俺は後者
詞を戴いて、そのイメージを大事にして曲をつける

だいたい出来たら、もらった子に曲を聴かせるのがマナーだけど
こいつがキンチョーする
気に入られなかったらどうしよう?
でも、みんな「いい歌ね」って云う
本音かどうかはわからないけど

ところで

中には強引に「詩」を捧げてくる女の子がいた
「詩」だから、むつかしい
しかたなく、ムリヤリメロディーを載せて
どっかで聴いたような曲に仕上げる

披露宴は、他人がいると恥ずかしいので
放課後、待ち合わせをする
二人っきりの誰もいない教室で
ギターを弾いて曲を披露すると
うっとりと上気した顔で聴き入っている

特別その子を意識したことはなかったんだけど
その夕陽の射すボロい教室の光景を
今でもハッキリと想い出す

・・・照れるじゃんかよ