鳴かずの池のヒシのはぜる音♪
高速道の両脇に目立つのは、
ネズミモチの薄黄色の花。

貪欲で旺盛な葛の葉は、
河原の草や木を呑み込んでいる。

「啼かずの池」は、
昔、坂上田村麻呂が悪竜を退治して埋めた所にできた池と言われ、
蛙が棲み付かないことからこの名がつけられたそうだが~。
赤い欄干を渡る手前から、
もう大きなウシガエルのぶーぶーと啼く声が聞こえていた。
橋を渡っていくと、不思議な音が聞こえる。

バチバチと何かが爆ぜるような大きな音だ。

池には、ヒシがびっしり生えていた。
たぶん・・
ヒシの実のはじける音・?


始めて聞いた音なので、
近くで畑仕事をしていたおばあちゃんに聞いてみた。

此処は綺麗な溜り水で、鯉もたくさんいるが、
数年前からヒシがはびこって、
鯉の稚魚が窒息するほどなのだそうだ。

池の中洲には、小さいけれど綺麗な弁天様が祭られてあった。
その下には石で作った蛙が数匹。

車は一面の緑の畑中を行く。
河原に車を停め、太郎を砂洲の涼しそうな場所に寝かせてお弁当にする。

暑くて参っていたようなので、
足を川の水につけて、身体を拭いてやる。

砂の冷たさが心地いいらしくて気持よさそうに寝ていた。

私は、宝物探しをするように近くを歩いた。

サルトリイバラにまだ青い実。

遇いたかった、白い尻尾のような花のオカトラノオ

コウゾの木のイチゴのような橙色の実も見つけて食べてみた。
甘い木苺の味に似ていた。

緑の草の中に涼しげな茅花の真綿のような絮・・

田圃の畦や、土手に鮮やかな橙色のヤブカンゾウ
昨日萎んだ花は、夏の陽射しに、だらしなく残っていた。

黄色い小さな花のキツネノボタンは愛らしい。

太郎の傍でひと休み
「ほーほけチョ!」と啼く鶯には笑った。

川の流れをしばらく見ていて、
ふっと目線を向こう岸にうつすと、
大きな岩も緑の中洲もゆっくり移動するように見えるのは・・
目の錯覚です。

天然温泉に入ってから、
ぬかるみに足をとられながら、蛍を探しに行った。
こんな蒸し暑い夜は飛びそう~

でもそんなに一人で遠くには行かれない。
川の流れの音のする場所に、大きな桐の木が在るはず。
此処までと決めていた。

やっぱりね♪
桐の木に、まるで息を潜めるように、蛍が二匹とまって光っていた。

主人と交代して桐の木のあたりを探すように告げたら、川の上流から飛んできてそっと触ったそうだった。
前回は、太郎のお守役で、主人は蛍を見なかったのだ。
キット・・今年初めてで最後のホタルになるので、
主人に見せたかったのでほっとした。