俺の恐怖体験
深夜、いつものごとく残業してた
パソに向かって売上伝票を打つ
簡単なものは女子社員に任せているが、ややこしいものは俺自身でやる
神経を使うので、大変集中している
と、そこへ
「ぶ〜ん」
イキナリ黒い物体がキーボードの上へ飛んできて「R」を打った
驚いた俺はひっくり返りそうになった
……よく見ると、そいつはこおろぎだった
ゴキブリかと思った
恥かしい話、大抵の昆虫は好きだし平気だが、ゴキブリだけはダメなのだ(バカボンのパパ調)

長野にはほとんどゴキはいない
かぶと虫を捕りに行って、くぬぎの木のほらに黒いものがいて
すわクワガタだと思って突っつき出してみると、ゴキブリだったりする
そんな程度だ
だから俺はガキの頃から、ゴキは他の昆虫と同様、自然の中に居るものだとばかり思っていた

18歳、東京へ出てきて、四畳半の下宿で一人暮らしをはじめた
共同の炊事場で飯を作ろうとしたら、流しで黒いものが
「カサカサカサカサカサカサ…」
なんだろうと思って明かりをつけて見ると
ゴキの大群!!!!
大きいのから小ちゃいのから、ワサワサワサワサワサワサっと三角コーナーへ一斉に隠れる
そのおぞましさ!!
一瞬引いた俺は、怖いもの見たさにそっと三角コーナーを持ち上げてみる
もう書けん 吐きそー
何匹かは飛びやがったし
その晩から、お湯を大量に沸かして三角コーナーにかけるのが日課になった
ママレモン攻撃も学習し、毎晩のごとく跳ね飛ぶゴキ達と闘った
こうして都会の学生になってゆくのである

近くに、後輩が住んでいた
ゴミの山に埋もれて、そいつは住んでいた
万年床でシーツが汗で茶色に変色している上に座らされ、崩れてきそうな漫画とエロ本の山に注意しながらコーヒーを飲む
踏み込むことが出来ないほどホコリを被ったビール瓶に埋め尽くされている台所を見やると
なにやら大量の茶色い虫がうごめいている
よく見ると、動きはのろく、わりと小型でスマートだ
後輩「それ、チャバネゴキブリっていうんですよ」
おめー、養殖してるんか?

ヤマトクロゴキブリの恐怖 チャバネゴキブリのしたたかさ

ダチ達のアパートへ行くたび、出現するゴキを観察したが
両方が一緒に棲息していることはとうとう一度もなかった
ゴキにも好きずきがあるのだろうか?

田舎はイイ
飛んでくるものはカブトムシかクワガタ、カナブンかカミキリかコメツキ
こおろぎも、飛ぶんだな
知らなかった
かわいいモンだ
ゴキの恐怖に比べれば