サイカチとバラとカラタチの棘は許そう・・
合歓の木に残っているのは、豆果のみ。
冷たい風に、揺れてカラカラと音をたてている。

黒い雲の行方も先を急いでいるかのようだ。

爪を抓んだような細い月が、雲に隠れた。

出掛けに、郵便受けに見事な柚子が置いてあった。
めぼしい人に聞いたけれど、いまだどなたが下さったのか解りません♪

凩が、黒い雲を払いのけて月が見えて空も薄い藍色に染まってきた。
太郎を公園の芝生に寝かせて、私はベンチに座って枯れた芒なぞ、眺めたりする。

ベンチに腰掛けた私の影は前のめりだったので、背を正す。
ストレッチ体操をして、のけぞって空を眺めたら、
いやに空が近く見えて、すぐそこにあるような気さえした。

寒鴉が『カァー』と鳴いたので、「泣くもんか!」と答えてやった。

さいかちは、幹に鋭い長い棘を持つ捩れた大きな豆果だ。

サイカチの棘は許そう~。