四十九日
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   今日は ななちゃんの 四十九日

   ななちゃん もう、完璧に 仏様だよね

   さすがの私も ななちゃんが もう、この世には存在しない
   と、いう事を 認めざるを得ない

   どんなに受け容れ難い事でも 時間はそれを 半ば強引に
   受け入れさせてしまう


   でも、やっぱり 今でも、何かにつけて ななちゃんの影を追う

   仕方がないね 十三年半も 一緒に暮していたんだもの


   今、私が 茶の間のななちゃんの寝床を お花で飾りたてるのも

   ななちゃんの為と言うより 自分の心の隙間を埋める為..

   虚しい行為だと 分かってはいるけど..


   百均とは言っても 十本買えば千円

   無駄使いだよって ななちゃんに言われるかも..

   でもね、こうしないと ななちゃんの居ない空間を埋められないんだよ



   ななちゃんが 最後に横たわってた 八畳の畳の間

   そこに置いてある台の下から 引き摺り出されて ななちゃんは
   処置された

   あの時の私の顔は きっと、能面のように 無表情だったと思う

   ななちゃん、私の突然の行動に 何? 何なの? 
   何でこんな事されるの? って、きっと思ったと思う

   でも、あの時の私に ななちゃんの気持ちを思いやる余裕なんて
   全然無かった

   医者に指示されるままに 頭にタオルを被せ ただ押さえつけた


   一ヶ月前の あの、修羅場があったからね

   あの酷い治療の仕方..

   あの時は さすがのななちゃんも 我慢しきれなかったんだよ

   手首に思いきり噛みつかれて ものすごい出血をした あの記憶..

   あの時の、あの場面が ずっとトラウマになってた


   でも、あの時と違って ななちゃんには もう抵抗したり暴れたりする
   力なんか 全く残っていなかった

   おとなしく、されるがまま..  一本の注射を打たれて 総てが終った

   それも、「ちょっと眠らせてから..」 って、言われて 打った注射でね

   医者が薬を間違えたのか? それとも薬の量が多かったのか?

   とにかく、その一本の注射で ななちゃんの命は断たれた


   あれは本当に睡眠剤だったの? それとも、安楽死の薬だったの?

   今でも疑問に思ってるけど 医者に問い質す事はできなかった

   いずれにしても こちらが望んだ結果だから..

   ただ、後で これは高い薬だからって 医者に言われた事だけは覚えてる


   何にしても ななちゃんの体は 本当に衰弱しきっていたんだよね

   あぁ、こんな事なら もうちょっと違うやり方があっただろうに
   って、ものすごく後悔したけど..

   結果的には 同じだとしてもね

   でも、総ては 後の祭..



   あの時、ななちゃんが居た台の下にも お花を置いた

   そして、息苦しさに喘いで 背中を揺らして寝ていた あの場所にも..

   今でも そこのお花は そのまま..  片付けられないでいる

   でも、この四十九日を区切りに そろそろ片付けようかな

   たとえ、お花を片付けても 私の犯した罪と この後ろめたさを消す事は
   一生、できないけど..



   でも、茶の間の寝床のお花は もう少しいいよね?

   このままでさ

   ななちゃんが居た空間を もう少し、大事にしていたい

   だから、いいよね?

   ここだけは 許してくれるよね?


   せめて、一周忌まで..

   ううん、三回忌まで..
*

編集 えむ : そんなに簡単に死なないぞ~ って、言ってるかもよ^^;
編集 えむ : あ、こんな事聞いたらyuma家のななちゃん、陰で私を殺さないで~
編集 えむ : yuma家のななちゃんは自然な形で看取って上げられるといいね
編集 えむ : ななちゃんにしたら、本当に無念だったと思うよ
編集 えむ : 看取ったと言えば聞こえはいいけど.. 
編集 yuma : 寝てる間とか仕事から帰ったら死んでたなんて寂しいよね
編集 yuma : えむさんはななちゃんの最期をちゃんとみとったんだし
編集 えむ : 不自由な体で 精一杯頑張ってるんだもの^^
編集 えむ : できたら「大好きだよ、愛してるよ」って、言葉で伝えてあげてね
編集 えむ : yuma家のななちゃん、今を、そしてこの一瞬を大切にね
編集 えむ : 苦しんで苦しんで苦しんで、そして逝くのが生き物の業なのかも..
編集 えむ : でも、ななちゃんを見てて それって、一番難しい事なのかも
編集 えむ : それも自然に、穏やかに.. 
編集 えむ : できれば目の前で送ってあげられるのがいいのかも..
編集 えむ : 現実にそうなったら、やっぱり思いは残ると思う
編集 えむ : 朝起きたら死んでた.. 私もそれを望んでた時もあるけど
編集 えむ : ま、どんなやり方でも ななちゃんには納得できる事じゃないよね
編集 えむ : ただね、やり方がね.. もうちょっとね
編集 えむ : ほんとに、一瞬で呼吸が止まっちゃったからね
編集 えむ : ただ、確かに 処置された事に寄る苦しみは無かったと思う
編集 えむ : こんな私を信頼してくれてたななちゃんに本当に申し訳なくてね
編集 えむ : うん、台の下から引き摺り出した時の事を思うと今でも涙が止まらない
編集 yuma : どんどん身体が不自由になってきてる。歩くのもやっと。どんな最後になるんだろ
編集 yuma : 苦しまずに朝起きたら死んでた・・・これも辛いかな
編集 yuma : うちも他人事じゃないから・・・
編集 yuma : でも苦しまずにいけたんだよね。それで良かったと思う
編集 yuma : 台の下から引きずり出されたって光景が・・・・たまらん(´⌒`。)