花散らし
*
   二十年前の四月十二日 母は逝った

   それまで、数え切れないほどの入退院を繰り返し
   あれが最後の入院になった

   亡くなる一ヶ月前の三月十二日、母はいつものように
   病院に向かった
   きっとまた、帰って来れると思っていたと思う

   でも、二度と 生きて我が家に帰ってくる事はなかった


   あの年も今年のように いつまでも寒い年だった

   母の入院中  雨、霙、雪.. そんな日が続いた
   面会に行く時は ほとんど傘をさして行った

   母のお気に入りのブルーの傘..
   私が病室に入ると その傘を見て 「良く働いてくれるね」
   って、母は言ってたっけ

   入院してからの後半は 母はほとんど意識がなかった
   春が来たことさえ知らなかったんだろうね

   母が亡くなって ふと気がつくと 桜はもう散っていた

   花散らしの風は 母も一緒に散らして行った

   春の華やかさとは 無縁のような春だった
*

編集 えむ : あの時はまだ兄貴がいたけど、今はほんとに孤児だよ~
編集 えむ : でも、親の死は悲しいね 孤児になっちゃんだものね
編集 えむ : そっか.. そだね^^
編集 yuma : 思い出してくれる人がいるうちはいいんだって。皆から完全に忘れられた時が本当の死だって聞いた
編集 えむ : でも、あの時の事は 何かにつけて思い出すよ
編集 えむ : そっか、バブルの頃だったのか.. なんか全然記憶にないよ
編集 yuma : 世の中浮かれてる時に辛い思いを・・・(´⌒`。)
編集 yuma : 20年前といえばバブル期だ・・・