深夜0時30分
私は再び、とある駅の前に居た。

娘の携帯が留守電になったままで連絡がつかないため
最終電車が着くまで駅の前で待つつもりできたのである。

終電車の時刻を確認すると、0時26分。
もう過ぎている。

改めて娘の携帯に電話すると・・・・出た。

私「今どこや?」
娘「家の近くのセブンイレブーン♪ もう帰るわ ごめんな。」


駅から帰ろうとすると、どこかのお嬢ちゃんがうずくまっている。
うちの娘と同じくらいだろうか?

私「お姉さん、だいじょうぶう~?」
女「だ・・・大丈夫です。」

顔や腕に痣は無く服装もそんなに乱れていない。
乱暴されてはいないようだ。

嘔吐した跡があり苦しそう・・・飲みすぎか?

私「大丈夫そうちゃうやんか。 救急車、呼んであげよか?」
女「大丈夫です。 ほっといて下さい。」

女の子から少し離れて、妻に借りた携帯で地元の警察署にかけてみたが通じない。
局番を間違えたかな?

女の子を見ると、うずくまった状態から横にゴロンと転がって
もろにぶっ倒れた状態になっている。

近づいて声をかける。

私「姉さん 姉さん 大丈夫か? よかったら家の近くまで送ったんで。」
女「だ・・・だいじょうぶです・・・。」
私「大丈夫なことあらへんやんか? ほんまに大丈夫か?」
女「すみません、お水をくださいますか?」
私「よっしゃ。 ちょっと待っててな。」

自動販売機で「富士山の水」を買ってきて女の子に渡した。

女「ありがとうございます。 落ち着いたら帰りますので心配なさらないで下さい。」

サイフからお金を取り出そうとするが、サイフを開くことさえできない。

私「そんなんかまへんかまへん。 サイフ無くさんように鞄のなかに入れとき。」

と言って、サイフを彼女の鞄の中へ入れてやった。

私「大丈夫か?」
女「大丈夫です。 もう少し落ち着いてから帰ります。 ありがとうございました。」

私「あんな、わしが言うのもおかしいか知らんけど、けったいな悪いやつもおるから
  気いつけいや。 ほな、わしもう帰るから・・・気いつけて帰ってな。」


自宅に戻ると娘が帰っていた。

私「Y(娘の名前)よ、帰るとき道端に誰か倒れとったか?」
娘「いいや、知らんけど・・・。」

私「あんな、わし帰るとき女の子がひとり倒れとったんや。
  無事に帰っとったらええねんけどなあ。
  わし、もういっかい見てくるわ。
  ほんで、まだ居てたら警察か救急車呼んだるわ。
  (妻に向かって)お母さん、また携帯借りていくでえ~。」
娘「お父さん待って。私も行くわ。」

再び駅へ
行く途中、けったいな服装をした若い男がうろついていた。
駅につくと、まだ女の子が・・・。

私「Y、あのこや。 具合聞いて『家まで送ったる』言うたってくれ。
  お父さん、車、方向転換してくるさかい。」

女の子にむかって
私「後ろの座席に乗り。 家まで送るわ。 わしらあやしいもんちゃうし。」
女「・・・・。」
私「ゆっくり起き上がり。 ゆっくりな。 ゆっくりやで。」

女の子を抱えるようにして後部座席に乗せ
娘と一緒に自宅まで送り届けてきた。

名前を聞かれたが、何も告げずに帰ってきた。

もう寝る。