雪化粧
雪だねぇ…ここんトコ毎週末雪が降ってる。街が白く被われていると、とても美しぃ…まるで街が浄化されているかの様な清々しささえ感じてしまう。
最近の街では悲惨な事件が多過ぎるから、それを一時忘れさせる為に雪は降る。心の景色も白く、白く埋めて行く。でも、街では雪は長く持たずに溶けてしまい、すぐに灰色のアスファルトが顔を出す……
なんてね。

この前は日本海側が、今回は太平洋側が大雪なんだとか。都会が雪に弱いのは充分判っているはずなんだから、歩道にコジャレタ石畳を使うのはもう止めた方がイイと思うけどね〜
こっちの方のシャーベット状の雪だと歩道がつるつる滑って歩けやしない。特に女の子は履いてる靴が変(^^;だからまともに立って歩く事も難しい始末。歩道の切れ目に在るスロープでも転びそうに成るし…
雪の無い所が安心かと思えば、そこもつるつるの大理石モドキの床で、派手に大の字になってコケル人が…恐いよねぇ〜滑って転ぶと真後ろにコケルからねぇ〜
今日も10人近い方が亡くなったとか…雪が降っただけで凶器に成る街か…

その雪の中、タクシーさえ何処かに逃げ去った人通りの無い夜の街にポツンと灯りが…
手相見の占い師さんがシャッターを閉めた本屋さんの前に店出ししている。ダウンを着込んではいるけれど、行灯の灯りの中じっと宙を見つめているかのように動かない。
私は思わず仕事の手を休めてじっと見つめてしまいました。こんな天気の中、果たして客が来るかどうかも分からない…こんな日は雪のせいにして家の中で温もりに包まれていれば良いのに、ナニが彼女を駆り立てるのか?プライドなのか、義務、責任?それすらも意識しない、コレが彼女にとっての日常なのか?
暖房の入ったビルの窓から、暫らくそんな事を想いながら見つめていました。仕事が大変だとか徹夜が鬱陶しいとか言いながら、こんなトコでヌクヌクしている自分がちょっとだけ恥ずかしくなってみたり、あの人は、自分と比べて幸せなのか不幸なのか考えてみたり…
雪は色んな風景を非日常へと、或いは気が付かなかった日常へと誘ってくれる。周りを白で埋め尽くす事によって、浮き出た色がより鮮明に見える様に。
なんてね(^^)

夜も遅くなった頃にもう一度見たら、何人かのお客さんが占いに来ていてチョッピリ暖かい気持ちに成りました。余計な御世話かもしれないけどね。