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韓国政府が謝罪へ? 金大中事件調査結果
2007.10.23 19:38

このニュースのトピックス:韓国
 【ソウル=黒田勝弘】韓国政府の「過去史真相究明委員会」は24日、金大中拉致事件(1973年、日本で発生)の再調査結果を発表する予定だが、関係筋によると、発表は当時、韓国政府の中央情報部(KCIA)が組織的に行った“犯行”だったことを明らかにする見通しだ。

 その場合、事件は韓国の公的機関による日本に対する「国家主権侵害」ということになり、韓国政府として日本に“謝罪”しなければならないため、盧武鉉政権の対応が注目されている。

 金大中事件は当時、野党指導者として日米などで反政府活動を展開していた金氏を、韓国の情報機関であるKCIAの要員たちが東京のホテルから誘拐し、ひそかにソウルに拉致した事件だ。

 日本側の捜査で在日韓国大使館1等書記官だったKCIA出身者らが関与したことが明らかになったが、韓国政府は情報機関による「組織的犯行」とは認めず、書記官の免職や金鍾泌首相(当時)を“謝罪特使”として派遣することなどで外交決着が図られた。

 このため日本では野党や世論の間で「真相解明をおろそかにした政治決着」として批判の声が強く、金大中氏の政治的活動の保証など「原状回復」や、韓国政府の公的機関による「国家主権侵害」の有無などが未解決の課題として残った。

 金大中氏はその後、政治的自由を得て大統領にまでなったため「原状回復」問題はすでに解決している。

 今回、調査結果は事件が李厚洛KCIA部長ら情報機関の組織的な計画・承認の下で進められたという内容になるとみられており、その結果、韓国政府としては「国家主権侵害」問題で日本に対し何らかの外交的措置を迫られることになる。

 盧武鉉政権は当時の朴正煕政権を“軍事政権”として批判、否定の立場で「真相究明」にあたってきた。しかし「真相」が明らかになった場合、国家として責任を取らざるを得ず、対応に苦心しているといわれる。


 ■金大中事件

 1973年8月8日、韓国の朴正煕政権を批判し、民主化運動を展開していた野党指導者、金大中氏が滞在中の都内のホテルで拉致され、5日後にソウルで解放された事件。拉致現場からは韓国中央情報部(KCIA)要員で在日韓国大使館の金東雲1等書記官(当時)の指紋が見つかるなど、KCIAの関与が疑われていたが、政治決着が図られた。過去史真相究明委員会は2005年にこの事件の調査に着手した。