想い・・・
旧日本兵が戦地から送った手紙 故郷高知に64年ぶりに「配達」
2007.10.19 22:37

このニュースのトピックス:歴史

64年を経て「配達」された絵はがきを見る永野静雄さん(左)=兵庫県西宮市の武庫川女子大  太平洋戦争でビルマ(現ミャンマー)に出征し戦死した旧日本兵が戦地から故郷に送った絵はがきが19日、64年ぶりに受取人の永野静雄さん(80)=高知県本山町在住=に届けられた。戦時下の混乱で届かず、旧米兵が母国に持ち帰り保管していたものを、留学先で知った武庫川女子大(兵庫県西宮市)の学生が託され、配達した。

 絵はがきは、同町出身の山下信近さん=当時(23)=が昭和19年11月にビルマで戦死する前年に、召集前に勤務していた百貨店の後輩だった永野さんに送った。馬と草原が描かれた裏面に「内地の方はまだ寒い事でしょうね」「こちらは7、8月ごろの気候です」など、無事を伝える内容が書かれている。

 同大2年の児嶋佑子さん(20)が高校時代にハワイへ留学した際、現地の女性から「進駐軍として日本にいた義父が持ち帰った品がある」と長崎県佐世保市の民家から偶然見つけたという絵はがきを託され、帰国後、絵はがきに記載された住所などをもとに、当時、佐世保市内の軍需工場で働いていた永野さんを捜し出した。

 この日、セピア色に変色した絵はがきを受け取った永野さんは文面を何度も読み返し、「戦争で離ればなれになるのが当たり前の時代。この年になって巡りあえた幸運に感謝したい」と話した。