2008年01月の記事


雪 凍 夜 3
僕の歩く速度は

その蒼白く光る球体に向かって
だんだんと速くなっていった。

 ん?その球体も動いているのか?

なかなか距離が縮まらない。。

積もった雪がじゃまをしているからか?

何度か転んでも僕の瞳はその球体から離れない。

必死に進む、、何かにすがるように、、、

ふっと足元の感覚が奪われた。。

 雪が 其処だけ嵐にあったかのように 舞う

 深々と雪が降り続く。。

 音も無く降り続く。。。

 なんかの穴に落ちてしまったようだ。


 僕は、軽く舌打ちをした

 「なんでこんな時に何やってんだ!くそ~」

 「これであの球体の所にいけなくなったじゃんか」

 どうにかして落ちた穴から
 出なくちゃ凍死してしまうよなぁ

 僕は、立ち上がろうと足に力をこめた。

 真っ白な雪の上に

 真っ赤な鮮血が広がっている事に気がついたんだ。


 かじかんだ手足は、突き出た枝が
 擦過したことすら気づかせてくれなかった。

 僕は穴の下から丸く切り取られたかのような空に向かって

 「 ちきしょう~~~~
   助けてくれ~~~~」

 叫び続けたんだ。。。
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雪 凍 夜 2
僕の頭の上に程よく積もった雪

軽く、手で払いのける。。

かじかんだ手は、真っ赤に腫れて
感覚なんて初めから無かったかのよう、、、

無音 の 世界 に
ただ、、、
ただ、、、
雪 が 舞い降りている。。

何度目かの、暖を僕の手に吐きかける
一瞬の体温の暖。。
生ある身体は、温かい事に気づく。。

粉雪のような雪が
僕の前に降り続く。。

何処までも、、、何処までも、、、

その粉雪のうんと奥のほう

一際、蒼白く光る球体に
僕の瞳は 囚われた。。

 「 ありゃ~なんだ? 」

 其の蒼白く光る球体に
 吸い寄せられるように

歩く速度が速くなっていった。。
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雪 凍 夜 1
2008年 冬

 指先 が 凍える 夜
 僕は 何処か に向かって歩いていた
 
 寒いはずだ

 かすみ草の花びらのような 雪が
 僕の頬を撫でて
 アスファルトに消えてゆく

 僕の行く先は 街灯だけが
 朧気に照らしてくれているのが
 唯一の 暖かさだ

 ポケットをまさぐって
 硬貨が一枚

 珈琲の販売機の前に立つ

 案の定、故障してやがる

 かじかんだ指先に
 白い息を吹きかけて
 
 また 歩き出したんだ

 まるで僕しかこの世には居ないような

 雪 凍 夜

 ふと見上げた空は
 ほこりのように白い花びらが
 
 舞い落ちてきている

 身体 全部で 受け止めるように

 歩きだす 

 ナニカ を 求めるように


 
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プロローグ
   真っ白 な 世界

   前 も 後ろ も

   上 も 下 も


    わからない


   浮遊 する 己 の 身体

   まだ 瞳 は 覚めず

   ふわり ふわり と

   母体 の 中 の

   羊水 に 守られるかのごとく

   暖か で 真っ白い

   浮かんでいる は あたし。。。

   まだ、、、
   まだ、、、

   瞳 は 固く 閉じたまま

   此処 は どこだろう。。

   此処 は なんだろう。。。


   「 あの声 」

   あの声を 待っている。。。

   あたしを、呼び覚ます 声


   そう


   あたし は  


   あたし は


   透 子

                  つづく

   
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