雪 凍 夜10
その顔は、、、、、

見間違う訳もない・・・

自分の 顔、、だ。

なんなんだ。。。いったい、、

子宮の中のような柔らかな空間に

いるはずなのに、

鳥肌が立っている。。。

もうひとりの自分と同じ顔を持つそいつは・・・

イヤラシイ笑顔をしたかと思うと
表情は一転し
笑いながら泣いている。。。

何処からか声がする

耳にではない。頭蓋の中に直接響いてくる声が・・・

「 何ガ カナシイ? 」

「 何ガ オカシイ? 」

「 何ガ ? 」
「 何ガ ? 」

おい、、、俺はどうしちまったんだ?
おい、、、俺は 俺なのか?

誰なんだ?

まるでテレパシーのやうに
俺に話しかけてくる奴は

誰なんだよぅ。。。。
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雪 凍 夜 9
笑い声のするほうへ、、、

意識を集中してみる。。

まだ、、、見えぬ。

見えぬが、、感じるんだ。

肌が総毛だってゆく。。。

邪悪な ナニカ なのか?

神の降臨か?

・・・・・・・

・・・・・・・

ナニカ が うっすらと  居る

血走った目が、こっちを睨んでいる。。。

おぼろげながら、全体が見えてきた。

左の腕の中には

首のない赤ん坊を 抱いて

右の腕の中には

道祖神 の 首

少しずつ
少しずつ

近づいてくる。。。。

そのものの顔が見えた時、、、、

俺は、、息が 止まった。。。

その顔は、、、、
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雪 凍 夜 8
己の五感が 研ぎ澄まされてゆく。。。

 音の無い世界の音が聞こえる

 その音はノイズに似ている

 心地の良い ノイズ

 そのノイズの中のさらに奥に

 もうヒトツ、、聞こえる・・・・

 誰かの 笑い声?

 ケタケタ 

 ケタケタ

 ケタケタ

 ケタケタ

 ケタケタ

 ケタケタ

 ケタケタ

 神経を逆撫でするやうな

 ケタケタ

 ケタケタ

 ケタケタケタケタケタケタケタケタ

 その気味の悪い「笑い声」のほうへ・・・

 研ぎ澄まされた心を向けた
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雪 凍 夜 7
意識が 遠のいてから
どれくらいたったのだろうか・・・・

其処は 暖かな 羊水の 中のやう、、、

少しずつ、、、少しずつ、、、
薄くだけれど
ナニカのビジョンが 見えはじめた。。。

透明な 空間 の 中 に
真っ赤な 流れ、、

脈動する流れ、、、

規則正しく 脈打つ、、、

それと連動するがごとく鼓動が聞こえる。

あ・・・・・・・

俺・・・・・・

今、、まさに、、子宮の中にいるんだ。

顔も知らぬ、、母の核の中に居る。。

かすかに声が聞こえる。。

 ( 可愛い わたしの赤ちゃん 早く逢いたいわ )

覚えていないはずの 母の声?

なんて柔らかで優しいんだ。。。

その声を聞きながら

己の五感がさらに磨きを増していく。。。
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雪 凍 夜 6
俺は 己の心臓がどうかしちまったんじゃないか?と
思うくらいに、早鐘を聞いた。

 「 どくんどくん 」

 「 どく どく  」

今、まさに、あの
蒼白い球体が
俺に向かって降りてきている。

 「 どくどく、、どくどく 」

柔らかそうな蒼白い球体
ぶよぶよとは違うが、表面は波打つかのやうな、、、
よく見ると透き通った感じの眼が
俺を見つめている。。。

 「 どくどく どくんどくん 」

生き物なのか?
なんの生命体なんだ?
懐かしいような感覚に見舞われる。
怖さは、これっぽっちもない。

蒼白い球体の一箇所が
す~~~~~っと薄くなり
俺を取り囲むやうに中へ中へ
包み込まれた。。。

 「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 」

声にならない声をあげた。。。

 熱い、、、、

 身体 が 熱い、、、、

 燃えるように 熱い、、、、

 目の前が 真っ赤に染まる

一瞬 もがいた が

すぐに 其の 熱さは 消えて
温かさに包まれた。。。

 声 が 聞こえた。

 「あたし の あなた ? 」

ん???

確か、、この声は、、、

遠い遠い 昔に 聞き覚えがあるような??

そんな事を思いながら
すこしづつ、、すこしづつ
意識が遠のいていった。。。
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