2008年02月の記事


雪 凍 夜 6
俺は 己の心臓がどうかしちまったんじゃないか?と
思うくらいに、早鐘を聞いた。

 「 どくんどくん 」

 「 どく どく  」

今、まさに、あの
蒼白い球体が
俺に向かって降りてきている。

 「 どくどく、、どくどく 」

柔らかそうな蒼白い球体
ぶよぶよとは違うが、表面は波打つかのやうな、、、
よく見ると透き通った感じの眼が
俺を見つめている。。。

 「 どくどく どくんどくん 」

生き物なのか?
なんの生命体なんだ?
懐かしいような感覚に見舞われる。
怖さは、これっぽっちもない。

蒼白い球体の一箇所が
す~~~~~っと薄くなり
俺を取り囲むやうに中へ中へ
包み込まれた。。。

 「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 」

声にならない声をあげた。。。

 熱い、、、、

 身体 が 熱い、、、、

 燃えるように 熱い、、、、

 目の前が 真っ赤に染まる

一瞬 もがいた が

すぐに 其の 熱さは 消えて
温かさに包まれた。。。

 声 が 聞こえた。

 「あたし の あなた ? 」

ん???

確か、、この声は、、、

遠い遠い 昔に 聞き覚えがあるような??

そんな事を思いながら
すこしづつ、、すこしづつ
意識が遠のいていった。。。
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雪 凍 夜 5(透子)
真っ白い透明な 空間
前も後ろも上も下もない 

「 どくん 」

悲鳴にも似た鼓動が聞こえた

あたし を 呼んでいるのは 誰?

無音の世界に居た あたしに

音 を 聞かせたのは 誰?

吸い寄せられるやうに 
導かれるやうに


  「 此処 」 に たどり着いた。


  深い深い 穴 の 底

  どくんどくんと 鼓動 が 聞こえる


  す~っと傍に寄って 

  「 どくん 」

  「 どくん 」


  君は あたしの あの人ですか?

  「 どくん 」
 
  「 どくん 」


  ゆるやかな球体の膜が ヒトツ処薄くなる

  体内に取り込む 

  「 どくん 」

  「 どくん 」


  透子 は 感じていた

  本体全身で 感じていた

  生きる と いう 本能 を

  体内に取り込み 受容するかのやうに

  蒼白い球体が

  真っ赤に染まってゆく


  透子 は 叫んだ

  取り込んだ 誰か を 包み込むやうに

  其れと同時に

  雪 凍 夜 に

  叫び声 が 木霊 した。。。


  深い深い 穴 の 入り口に

  木々にかぶさった雪が

  舞い降りていた
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雪 凍 夜 4
丸く切り取られた 灰色の空を
穴の下から見つめていた。

誰もくるはずないじゃないか、、、

そう呟いて、どれくらいの時間が経ったのだろうか。

俺の身体から流れた鮮血は

そのままの形で凍り付いていた。

睡魔が俺を襲いにやってきていた。

このまま眠っちまうのもいいかもしれない

そんな事を思いつつ

その反面、、眠っちゃいけねぇと

心が叫んでいやがる。

うっすらと眼を開け、

丸く切り取られた空を見た瞬間

 「 どくん 」

って 心臓 が 鼓動を大きくした


 蒼白く光る球体が

俺を覗き込むように、

其処で 輝いていた。

助けてといわんばかりに

手を伸ばした。
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