雪 凍 夜 1
2008年 冬

 指先 が 凍える 夜
 僕は 何処か に向かって歩いていた
 
 寒いはずだ

 かすみ草の花びらのような 雪が
 僕の頬を撫でて
 アスファルトに消えてゆく

 僕の行く先は 街灯だけが
 朧気に照らしてくれているのが
 唯一の 暖かさだ

 ポケットをまさぐって
 硬貨が一枚

 珈琲の販売機の前に立つ

 案の定、故障してやがる

 かじかんだ指先に
 白い息を吹きかけて
 
 また 歩き出したんだ

 まるで僕しかこの世には居ないような

 雪 凍 夜

 ふと見上げた空は
 ほこりのように白い花びらが
 
 舞い落ちてきている

 身体 全部で 受け止めるように

 歩きだす 

 ナニカ を 求めるように