玉手箱の煙
浦島太郎が竜宮城を去ろうとしている。

太郎がいなくなれば、何をする気も失せてしまう。
人前に姿をあらわす(つぎの相手とめぐりあう)気はさらさら無く
太郎がいないとなれば、お化粧をする気にもなれない。

ただただ恋しい太郎の帰りをひたすら待つのみ

そんな思いを込めて
化粧道具のはいった玉手箱を太郎に手渡した乙姫様
「外で開けずに、家の中にはいってから開けてくださいね」

聞く耳を持たない浦島太郎は
家にたどり着くまえに外で箱をあけてしまう

吹く風におしろいの粉が舞い上がり浦島太郎に降り注いで
彼の顔や髪の毛を白く染めた

浦島太郎は乙姫様の思いに
気づいただろうか
気づかなかったのだろうか