母と子
最近、母親とこどもの関係について、考えさせられた作品を読んだ。
意外なようだけど、「シックスセンス」という映画の小説。
映画の後のストーリーとして3冊の続編が出ている。

最初の作品は映画とほぼ同じなので、単なるノベライズかと思う人もいると思う。
実際、Amazonのレビューでは落胆の声が上がっている。
訳されたものを読むことに慣れていない人には読みにくいかもしれない。
でも、作品を追うに従って描かれるコール少年の成長と母親の深い愛情にはそれを超えるものがあると思う。
他人に説明の出来ない能力のために誤解を受け、学校で阻害される少年。
少年のために何もかも投げすてる覚悟があるものの、どうしていいかわからなくて途方にくれる母親。
読んでいると、誰も悪い人間ではないのに、どうしてこんなに苦しまなければならないのかと心底世の中に絶望する。
正直、(偏見だけれども)アメリカの人間にこんな細やかな感情の描写が出来るのかと驚いた。

すべての作品を読んだ後考えたのだけれども、結局彼を助けたのは彼の特別な能力ではなく、彼の礼儀正しさとか、困難に立ち向かっていく勇気とか、他者に向けるやさしいまなざしだったのではないかと思う。
そして、それらは正しく母から子に引き継がれたものに違いないし、これから先も少年を助けていくものになるんだろう。

感動したのは、私も思いっきり「問題児」だったからかな。
家庭環境とか年齢とかもほぼ似通っていましたし。
私に突き飛ばされたとウソをついたクラスメートが何を意図していたか知りませんが、私、そのころから貧乏くじを引くのは得意です。
母親は相当悩んだようで。
「シックスセンス」を読んだところ、コール・シアー少年の母親にどっぷり感情移入して泣いていました。
同じ本を読んでこんなにも見方が違うものなのかと改めて描写のリアルさに吃驚。

この差が、母と子の間にある溝なのかも知れない。