ノスタルジア~かおりちゃんと白玉団子
ふとしたきっかけで蘇る懐かしい記憶・・・
それは朝の通勤電車で。
ぼんやり外を眺めていると「白玉粉」工場が。
へぇ~、こんな所で白玉作ってるんだ~。
そして蘇る白玉の記憶・・・

小学校の頃の私は
社宅に住んでいて
いつも同じ社宅の子と登下校を共にしていました。
そこに転校生「かおりちゃん」という女の子が登場。
どうやら別の学区なのでそちらの学校に通っていたのが
なんらかの事情(子供なのでその辺は分からない)
で転校してきたのです。
噂では同じ学年だけれど訳あって年が一つ上らしく
そういわれてみれば小学校中学年にしては大人びた感じ。

子供ながらになんとなく大人びたかおりちゃんには
お友達がなかなかできなかったようです。
さらにかおりちゃんの実家はホテルを経営しているらしく
なんだか一般人とは違う雰囲気なわけです。
しかもかおりちゃんのお兄ちゃんは中学生で
かなりのワルらしく、小学校に夜にやって来て
給食の牛乳瓶を割っていたらしいとか
そんな噂があって、かおりちゃんはますます
なんか「不良」みたいな感じで孤立。

そこでかおりちゃんは考えた。
「お友達が欲しい」
そこで目を付けられたのが私。
家の方面は一緒だけれど今まで一度も一緒に
帰った事のない私にかおりちゃんが
勇気を奮って声をかけてきました。
「一緒に帰ろう」
「いいよ」
ここに新しい友情が芽生えました。
私は割りと誰とでも仲良くできるほうなので
すっかり心を開き
打ち解けた会話をします。
「この前ね、学校帰りにすんごいンコしたくなってね
しょうがないからそこの空き地でしたの」
そんな事カミングアウトしたのもすごいけど
そんな事してる自分もすごいなと
いまさらながら思ってみたり。
「へぇ~」
かおりちゃんはニコニコと話を聞いてます。
そして家が見えてきました。
ここを曲がれば家まですぐ、
「じゃぁ、またねー」
と別れを告げると
「家に遊びにおいでよ」と引き止めるかおりちゃん
「んー、でも寄り道したらお母さんにおこられる」
「来ないと、野グ○したこと皆にバラすよ」
「!」

かおりちゃんは脅しをかけてきました。
やっぱワルでした。
「えー、でもベランダからお母さん見てたらみつかるよー」
と言うと
「じゃぁ、走ろう!」
とかおりちゃんは私の腕をつかんで
走り出したではないですかー

最初は脅して見て駄目なら力づくって・・・

そんなこんなでかおりちゃん家に到着
するとかおりちゃんは両親が働いている為
おばあちゃんがお出迎え。
「ばあちゃん、友達連れてきた」
「こんにちは」
「まぁ、よく来てくれたねー。仲良くしてやってね」
そんな会話のあと
おばあちゃんが
「じゃぁおやつに白玉つくってあげるよ」
と言い出しました。

白玉って家でつくれるんだ!

水でこねこねした団子を
お湯の中に入れると
ぷかぷか浮いてきて
感動でした。
ぜんざいに入れて美味しく頂きました。
おばあちゃんの味だね。

その後家に帰り
「おそかったわねー」
という母に
「うん、あのね白玉団子つくってもらった」
と目を輝かせて母に語る私。

そんな幼い日のセピア色の記憶が
ふと蘇り気がつけば
「東京~、東京~」
電車は終点に到着
私は今日も元気にOLとして会社へ向かうのでありました。