2009年01月の記事


薫寿堂 「五つの庭」
遅ればせながら、「5つの庭」シリーズをかぎ比べした話し。


●「苔の庭」
オークモスとベルガモットの香りとのこと。
非常に優しい香りですね。人によってはパンチが弱いというかもしれない。
けど全くうるさくなく、気にならないというのは、場によってはいいと思う。
ほのかに空気を柔らかくする感じで、空気のように気にならない。それでいて線香が焼き尽くして消えたあともかなり長いことその空気感が残るように思いました。
優しくごくほのかなんだけど、息は長い。そういう香特性に思った。
プライベートな空間で個人的に楽しむだけでなく、公的な空間なんかで使うにはとてもいいんじゃないかな。

●「盆栽の庭」
渋いねぇ。このシリーズの中でもなんとも渋好みの香り。
解説によると、檜の香りにバルサム系のアクセントとのこと。
系統としては檜ということもあるのでしょうが、お寺で焚かれている仏具線香の系統に感じます。それを少し洗練させた感じかな。
和系の線香が好きな人にはよいお香でしょう。逆に和系のインセンス未経験のかたの入門用としてもいいかもしれない。
優しいお寺系線香という認識でよいかと思う。


●「石の庭」
この表現が妥当なのか分からないが、「女性的な香り」と感じました。
解説を読めば「チュベローズの香り」とのこと。

チュベローズってなんぞや?とググってみた。
http://www.hanaippai.com/kaori/13.php/
http://hanano-kaori.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_bcf2.html
学名はPolianthes tuberosa。アマリリス科の球根植物だそうな。日本語和名は「月下香」。バラとは関係無いのね。
両サイトとも、イメージは違えど、やはり女性をイメージしてらっしゃるので、私の感想もあながち的外れではないのか?
私の感想は(チュベローズ全般でなくこのお香に関して)、ある程度おちついた大人の女性。そんな感じがしました。嫌いではない。(単純に個人的に、昔若い頃付き合ってた年上のおねいさんがチュベローズの香水とか付けてただけかも!要は香水的なんです)
では「石」は一体?枯山水の石庭をイメージらしいのですが、わからない。このシリーズはヨーロッパ人が考えた日本のイメージなので、日本人の枯山水と認識が違うのかもしれない。もっと枯山水と言えば禅の世界であり、凛とした厳しいイメージがあるので違和感がある。
石はさておき、それとは関係無しに、なんだか優しい香りでいい。


●「茶の庭」
いや、もう名前の通り。茶の庭というか「茶」。
抹茶をたてた濃厚な香りそのもの。
抹茶の香りが好きな人なら安らぐ香りではないでしょうか。
ただ問題は、だったらお茶を立てたらいいのに!ということだろうか。
家でやるなら抹茶を飲んだらいいはなしなので、むしろこんなところでお茶の香りは楽しめない!という場で使うといいのかもしれない。
解説には「煎茶」とあるけど、むしろ抹茶の域だと思う。



●「果物の庭」
最初なんの香り?と思ったが、解説読むと「日本産の梨と柿にシナモンのアクセント」。するする!確かに柿ですわ。
名前からフルーティーと想像すると裏切られます。日本の秋の情景を思い浮かべてもらうといいのではないかと思う。木々が色づき、赤トンボが飛び交う夕暮れ。柿など食す。そんな風情。あの空気感。
サイトにはイメージは青森の果樹園とあるが、柿主体ですし、そんなイメージには取れなかったなあ。果樹園とかもっと鮮烈な瑞々しい香りしてそうじゃないっすか。
梨ははっきりとは分かりませんでしたが入ってるのでしょう。もともと柿にしろそう香りがあるものではないので、非常に優しめの香りとなっています。テイストとしては「苔の庭」に近い。公的な場で用いても邪魔にならない種類だと思う。


和のお香老舗の薫寿堂ですが、なかなか頑張ってると思いました。
和系のオシャレ線香路線と言えば日本香堂や松栄堂がやたら力入れてきた分野ですが
薫寿堂も力入れてる分野なのだなということが分かりました。


個人的にどれか?というと非常に悩むところです。
「盆栽の庭」の純和お香のテイストをよく残したのとか
「石の庭」の華やかなチュベローズの安らぎとかが印象に残ったように思います。
好みの問題で甲乙つけがたいところではあるのですが、個人的にはこの2点は常備しててもいいなと思いました。
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