薫寿堂 「五つの庭」
遅ればせながら、「5つの庭」シリーズをかぎ比べした話し。


●「苔の庭」
オークモスとベルガモットの香りとのこと。
非常に優しい香りですね。人によってはパンチが弱いというかもしれない。
けど全くうるさくなく、気にならないというのは、場によってはいいと思う。
ほのかに空気を柔らかくする感じで、空気のように気にならない。それでいて線香が焼き尽くして消えたあともかなり長いことその空気感が残るように思いました。
優しくごくほのかなんだけど、息は長い。そういう香特性に思った。
プライベートな空間で個人的に楽しむだけでなく、公的な空間なんかで使うにはとてもいいんじゃないかな。

●「盆栽の庭」
渋いねぇ。このシリーズの中でもなんとも渋好みの香り。
解説によると、檜の香りにバルサム系のアクセントとのこと。
系統としては檜ということもあるのでしょうが、お寺で焚かれている仏具線香の系統に感じます。それを少し洗練させた感じかな。
和系の線香が好きな人にはよいお香でしょう。逆に和系のインセンス未経験のかたの入門用としてもいいかもしれない。
優しいお寺系線香という認識でよいかと思う。


●「石の庭」
この表現が妥当なのか分からないが、「女性的な香り」と感じました。
解説を読めば「チュベローズの香り」とのこと。

チュベローズってなんぞや?とググってみた。
http://www.hanaippai.com/kaori/13.php/
http://hanano-kaori.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_bcf2.html
学名はPolianthes tuberosa。アマリリス科の球根植物だそうな。日本語和名は「月下香」。バラとは関係無いのね。
両サイトとも、イメージは違えど、やはり女性をイメージしてらっしゃるので、私の感想もあながち的外れではないのか?
私の感想は(チュベローズ全般でなくこのお香に関して)、ある程度おちついた大人の女性。そんな感じがしました。嫌いではない。(単純に個人的に、昔若い頃付き合ってた年上のおねいさんがチュベローズの香水とか付けてただけかも!要は香水的なんです)
では「石」は一体?枯山水の石庭をイメージらしいのですが、わからない。このシリーズはヨーロッパ人が考えた日本のイメージなので、日本人の枯山水と認識が違うのかもしれない。もっと枯山水と言えば禅の世界であり、凛とした厳しいイメージがあるので違和感がある。
石はさておき、それとは関係無しに、なんだか優しい香りでいい。


●「茶の庭」
いや、もう名前の通り。茶の庭というか「茶」。
抹茶をたてた濃厚な香りそのもの。
抹茶の香りが好きな人なら安らぐ香りではないでしょうか。
ただ問題は、だったらお茶を立てたらいいのに!ということだろうか。
家でやるなら抹茶を飲んだらいいはなしなので、むしろこんなところでお茶の香りは楽しめない!という場で使うといいのかもしれない。
解説には「煎茶」とあるけど、むしろ抹茶の域だと思う。



●「果物の庭」
最初なんの香り?と思ったが、解説読むと「日本産の梨と柿にシナモンのアクセント」。するする!確かに柿ですわ。
名前からフルーティーと想像すると裏切られます。日本の秋の情景を思い浮かべてもらうといいのではないかと思う。木々が色づき、赤トンボが飛び交う夕暮れ。柿など食す。そんな風情。あの空気感。
サイトにはイメージは青森の果樹園とあるが、柿主体ですし、そんなイメージには取れなかったなあ。果樹園とかもっと鮮烈な瑞々しい香りしてそうじゃないっすか。
梨ははっきりとは分かりませんでしたが入ってるのでしょう。もともと柿にしろそう香りがあるものではないので、非常に優しめの香りとなっています。テイストとしては「苔の庭」に近い。公的な場で用いても邪魔にならない種類だと思う。


和のお香老舗の薫寿堂ですが、なかなか頑張ってると思いました。
和系のオシャレ線香路線と言えば日本香堂や松栄堂がやたら力入れてきた分野ですが
薫寿堂も力入れてる分野なのだなということが分かりました。


個人的にどれか?というと非常に悩むところです。
「盆栽の庭」の純和お香のテイストをよく残したのとか
「石の庭」の華やかなチュベローズの安らぎとかが印象に残ったように思います。
好みの問題で甲乙つけがたいところではあるのですが、個人的にはこの2点は常備しててもいいなと思いました。
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和泉市久保惣記念美術館 香炉展
和泉市久保惣記念美術館先月まで行われていた香炉展です
http://www.ikm-art.jp/


和泉市久保惣記念美術館香炉展


出陳作品一覧
http://www.ikm-art.jp/tenrankai/2008/cat0810.html

重文をはじめとして各地の博物館等からあつめた逸品がかなりの数集まっています。
特に個人所有の品が多く出ている展でこれは貴重な展覧会。
博物館や美術館所蔵のはそこ行けばいつでも見れたりしますが、個人所有のものはなかなか見れる機会が無いわけで、それがこれだけまとまった数集まるというのはなんともすばらしい。
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中之島大阪光のルネサンス AROMA LIFE
私はウン万ドルの夜景とか言われて見てもいまいちピンとこない覚めた人間でして、神戸ルミナリエとか言われてもぜーんぜんピンとこない。
人工の光すぎてなんだか風情を感じれない。
どっかのお祭りで提灯やらロウソクの火並んでるほうが好きだな。

…が、世間のラバーズはこういうのすげえ大好きらしく、各地にフォロワーがいろいろ企画されています。
昨今オシャレスポットとして売り出そうと必死な中之島界隈も『大阪光のルネサンス』と題して今やってます。今年で6回目らしい。
関西ウォーカー見てて知ったのですが、ここの今年初の企画で、香りを使ったのをやってるらしい。
フローラル、シトラス、森林の3種の天然アロマが並ぶイルミネーション「AROMA LIFE」
http://news.walkerplus.com/kansai/machi/200811/00001371/photo03.html

お近くのアロマ好きは会社帰りにでも立ち寄るといいかもしれません。
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青リンゴの香りのカメムシ
青リンゴの香りがするカメムシとして知られるのは、オオクモヘリカメムシ(Anacanthocoris striicornis)です。
ナイトスクープで紹介されたこともあります。
別にそれほど珍しい種類でもないので、結構見れると思います。

また、キバラヘリカメムシ(Plinachtus bicoloripes)も青リンゴのような香りを出すそうです。
オオクモヘリカメムシが爽やかな酸味のある青リンゴなら、こちらは甘い青リンゴとか。

そういえば日本にはあまり動物性の香料が無いなあと思いました。
植物の香気を使うのはありますが、動物や昆虫の香りを利用するというのは海外由来のことが多いように思います。漢方薬にしても日本は植物優位の感がありますし。
仏教で肉食禁止、植物オーケ-みたいな文化が根付いてたこともあって、動物や昆虫などを殺して利用することに抵抗あったのかもしれません。

ですが、わりと可能性のある素材がありそうな気も…
このオオクモヘリカメムシなんかも大量に増産して(カメムシは大量発生させやすいと思う)香り成分抽出して、青リンゴのような爽やかな香料開発!なんてあってもいいのかもしれない。
さらに言えば臭いカメムシの種類だって、薄めたり成分を分離させたりいろいろすれば実はいい香りが混じってる可能性も大いにあるような…
日本の生き物の分野はかなり未踏なので、今後期待できるような気がオオクモヘリカメムシで思いました。
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徳島県立博物館『香りの世界』
徳島県立博物館で『香りの世界』という特別展を現在開催中です。
http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/kikakuten/2008/03kaori/

11月24日まで。
このあいだの土日、関西文化の日というイベントの日で、関西や近辺の博物館や美術館が、私立のものの多くも含めて無料Dayというのやってて、ここも無料化しててどっかおもろいのないかと探していて気づきました。(行ってないけど)

チラシに書いてある内容を転載すると

なんと!青リンゴのにおいのするカメムシが登場!!
アイスクリームのにおいの秘密って??
こんな身近に香りの植物があったの?
あの巨大な花も香りを使いこなしているの?
こんな昔に日本の香りの植物が外国に紹介されていたの?

…とある。
青リンゴのカメムシは昔ナイトスクープでもやってたアレだな。巨大な花はラフレシアでしょうか。
徳島といえば線香の日本一の生産地である淡路島からも近いし、その縁なんでしょーか。お近くのかたは行ってみてもいいかも。

徳島県立博物館 香りの世界
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