2004 07/14 09:51
Category : 日記
先日夕飯の買い物に行った時、八百屋さんの店頭に西瓜やトマトが色
鮮やかに並んでいるのを見て、「今年も半分が過ぎてしまったんだな〜」
と実感した。するとその時、果物の甘い香りと一緒に、懐かしい香りが
漂っている事に気がついた。それは、みょうがだった。
私は、みょうがの香りをかぐと、蚊取り線香を思い出す。私の母は、
みょうがが好物だった。私が小さい頃に住んでいた家には、猫の額ほど
の狭い庭があった。そしてその庭の隅っこの方に、みょうがが植えてあ
ったのだ。しかしその場所は、生垣のすぐ横で植木の間を通りぬけない
と行かれなかった。つまり大人ではなかなか入ることができない場所だっ
たのだ。
毎年、本格的な夏が始まる少し前のこの時期になると、学校から帰宅す
る私を、母はてぐすねを引いて待っていて、遊びに行くまえにみょうが
を取りにいかせるのだった。しかし、みょうがは庭の隅っこ。そこは、
薮蚊の巣のような所なのだ。30年も前のことなので今のように虫除けス
プレーはなく、母は私に蚊取り線香を持たせてそのヤブへ送り出した。
しかし、百戦錬磨の薮蚊に細くたなびく蚊取り線香の煙などで打ち勝つ
事ができるはずもない。私は蚊取り線香の煙の中を平然とつきぬけて私
をめがけて飛んでくる薮蚊に体じゅうを刺され、そこらじゅうをボリボ
リとかき、早く遊びに行きたいと思いながら、母に持たされたカゴが一
杯になるまで、一生懸命みょうがを取った。
時々、母が私に声をかける。振り向くと、植木越しに縁側に立つ母の姿
が見えた。私が「今年もたくさん取れたよ」と、みょうがで一杯になっ
たカゴを見せると。ゆらゆらとくゆる蚊取り線香の煙の向こうに、母の
笑顔があった。もしかしたら、私はあの母の笑顔が見たくて、みょうが
を取っていたのかもしれない。そして、蚊取り線香の煙は、私に夏を連
想させた。みょうがは私に、夏がもうすぐそこまで来ていることも教え
てくれていた。
八百屋さんの店頭でみょうがを見つけた私の脳裏には、そんな子どもの
頃思い出がよぎり、なんとなく蚊に刺されたようなかゆみを感じ、腕を
ポリポリと掻いている私がいた。今晩は、母が好きだったみょうがのお
汁にしよう。買い物を終え店を出た私が、ふと空を見上げると、まだ明
るい空にあの日と同じような雲が浮かんでいた。
鮮やかに並んでいるのを見て、「今年も半分が過ぎてしまったんだな〜」
と実感した。するとその時、果物の甘い香りと一緒に、懐かしい香りが
漂っている事に気がついた。それは、みょうがだった。
私は、みょうがの香りをかぐと、蚊取り線香を思い出す。私の母は、
みょうがが好物だった。私が小さい頃に住んでいた家には、猫の額ほど
の狭い庭があった。そしてその庭の隅っこの方に、みょうがが植えてあ
ったのだ。しかしその場所は、生垣のすぐ横で植木の間を通りぬけない
と行かれなかった。つまり大人ではなかなか入ることができない場所だっ
たのだ。
毎年、本格的な夏が始まる少し前のこの時期になると、学校から帰宅す
る私を、母はてぐすねを引いて待っていて、遊びに行くまえにみょうが
を取りにいかせるのだった。しかし、みょうがは庭の隅っこ。そこは、
薮蚊の巣のような所なのだ。30年も前のことなので今のように虫除けス
プレーはなく、母は私に蚊取り線香を持たせてそのヤブへ送り出した。
しかし、百戦錬磨の薮蚊に細くたなびく蚊取り線香の煙などで打ち勝つ
事ができるはずもない。私は蚊取り線香の煙の中を平然とつきぬけて私
をめがけて飛んでくる薮蚊に体じゅうを刺され、そこらじゅうをボリボ
リとかき、早く遊びに行きたいと思いながら、母に持たされたカゴが一
杯になるまで、一生懸命みょうがを取った。
時々、母が私に声をかける。振り向くと、植木越しに縁側に立つ母の姿
が見えた。私が「今年もたくさん取れたよ」と、みょうがで一杯になっ
たカゴを見せると。ゆらゆらとくゆる蚊取り線香の煙の向こうに、母の
笑顔があった。もしかしたら、私はあの母の笑顔が見たくて、みょうが
を取っていたのかもしれない。そして、蚊取り線香の煙は、私に夏を連
想させた。みょうがは私に、夏がもうすぐそこまで来ていることも教え
てくれていた。
八百屋さんの店頭でみょうがを見つけた私の脳裏には、そんな子どもの
頃思い出がよぎり、なんとなく蚊に刺されたようなかゆみを感じ、腕を
ポリポリと掻いている私がいた。今晩は、母が好きだったみょうがのお
汁にしよう。買い物を終え店を出た私が、ふと空を見上げると、まだ明
るい空にあの日と同じような雲が浮かんでいた。