春の訪れ
娘の中学には、数人学校に来れない子がいた。

その中の一人の子が、先月の終業式の日に学校に来れたのだと言う。
娘は、来てくれたのが嬉しくて、帰りにずっと話ながら帰って来たのだと話してくれた。

彼女が学校に来れたキッカケは、
娘の親友の努力の成果だった。
娘の親友は、彼女と家が近かったので、
毎朝彼女の家に寄って「おはよう」を言いに行ったのだと言う。
その行為が、きっと彼女の心動かしのだろう。

娘は、娘で。部活の朝連で、誰かを誘って学校に行く事はできないので、
学校に来れない子に手紙を書き続けていた。
「返事は期待してないよ、でも学校の様子が少しでもわかったほうが、来た時に困らないだろう」と思った娘は、数日毎に手紙を書いていたのだ。

それを親友の子が、前日のノートと一緒に、
毎朝届けていたのだという。

娘達がそんなことをするようになったきっかけは、なんと小学校の時の担任の先生の一言だという。

この春で、担任だった先生がこの春で定年を迎えるという話を聞き、小学校に遊びに行った時。
不登校になっている子の話を聞いた担任の先生が、
「中学では違うクラスかもしれないけど、小学校では同じクラスだったんだから。お前らも時々声を掛けてやれよ〜。」と言ったのを聞いて。じゃあ、そうしよう言うことになったのだそうだ。

不登校の元クラスメートが、久しぶりに学校に来ても困らないようにと、毎日のノートのコピーと、学校の様子を書いた手紙を届けることにしたのだ。

終業式に来た子は、その後春休み中の登校日にも、ちゃんと学校に来ていたと、娘が嬉しそうに話してくれた。

そして、4月になり始業式の日。
娘が手紙を書きつづけていた不登校の子が、
半年ぶりに学校へ来れたという。

クラスが違うので、ゆっくり話す事は出来なかったらしいが、
その子が、娘の名前を呼んでニコニコ笑いながら手を振ってくれた、と娘は本当に嬉しそうに報告してくれた。

その子とは家が近いので、部活の朝連がない日には、一緒に学校に行こうと約束もしたらしい。

明るい春の日差しと共に、彼女達の心にも
春が来たのかもしれない。