オリーブニュース:Lサイド「“未来”の社会」
毎年、財団法人日本漢字能力検定協会から「今年の世相をあらわす漢字」が発表され
る。今年の漢字は「虎」だった。阪神タイガースの優勝に沸いた一年であったこと
や、イラクへの自衛隊派遣を「虎穴に入る」と例えた人もいたという。2位以下に
は、「戦」「乱」「冷」「選」「星」と続いた。「戦」はイラク戦争や、総選挙が
あった年ということを表わし。「乱」は、イラク問題やSARSなど。「冷」は、今
年の冷夏などをそれぞれ表わしている。

早いもので、21世紀になってから丸2年が過ぎてしまった。2003年は、鉄腕アトムが
誕生する年でもあったのだ。そのせいか、子どもの頃の21世紀のイメージは、明るく
楽しく希望に満ちたものだった。しかし、実際は前述の漢字があらわすように。明る
いイメージよりも、暗く不安に満ちたものばかりが目に付く。連日のように流され
る、幼児虐待などのニュースにも目や耳を覆いたくなり、私達が子どもの頃描いてい
たような、楽しい未来への希望を、今の子ども達に持たせるにはどうしたら良いのだ
ろうか、と考えてしまうような出来事が続いている。

いつからこんなに未来に希望が持てない世の中になってしまったのだろうか。若者達
の無気力も、こんなところから来ているのかもしれない。しかし、私達が子どもの頃
に持っていた明るい未来のイメージも、今考えてみるとかなり無責任なものだったよ
うな気がする。例えば、科学が進歩して生活が便利になるとか、どんな病気でも治る
ようになるとか。それは理想に近いもので、誰かがそうしてくれるのではないか。と
思っていたような気がする。しかし、現実はそんなに甘くなかった。確かに、科学技
術や医療は各段に進歩を遂げた。だからといって、人々が幸せに暮らしているかとい
ったらそうではない。

流行語になり、星野監督が言った「勝ちたいんや!」という言葉のしめすように。自
分で未来に対して目標を定め、その目標に向って、自分達の手で変えていかないとい
けないのだろう。そうする事によって気力や希望が産まれ、自然と未来も変わってい
くことになるのだろう。

ドラえもんが誕生する22世紀は、マンガそのままとは言わないまでも、少しは明るく
希望の持てる世界になっていて欲しいと思う。それには、今の私達の努力が必要なの
だろう。来年こそは、いい年だったといえる一年になって欲しいと思う。