我家なりのペースで…
今日は、朝から快晴の新東京サーキットで練習。風も余り無く中々のコンディションだった。

今日は、同じチームの同い年の男の子が、娘と同じ大人用のエンジンでの練習を始めた

昨年余り練習やレースに出られなかった娘と違い、去年一年間きちんとレースに出ていた彼は最初からそれなりにタイムを出していた

娘の方がそれなりのカートを操れていた。しかし、彼は大人の人との練習は初めてで、まだ恐さを知らないので、スピンしたり、コースアウトする回数も多かったが、ガンガン突っ込んでいけるので、タイムは彼の方が少し上回っていた。

その上、お昼のジュニアタイムでも、いい感じに乗れている息子に、自分とあまり変わらないタイムまで出されてしまったのだ

自分の方が早くはじめているのに!という思いがあるのだろう。娘はその状況にちょっと落ち込んでいるようだった

だんなが「あそこのコーナーもう少し(アクセルを)踏んで行かれないか?」などと聞いても、落ち込んでシュンとするばかりだった

あまりにグズグズ言っている娘の態度に、だんなはちょっと切れ気味で、「聞いてることに答えろよ!セットが出せないだろう!」と大きな声を出し始める。するとその声に、また娘の顔はうつむいてしまうばかりだった。

「これはヤバイな〜」そう思った私は、娘と話しをすることにした。

「今さ、落ち込んでてダメな所を指摘されるいやだと思うけどさ、今はダメでも良いんだよ?」「???」と不思議そうな顔で私を見る娘

「いい?今ダメな所とか、出来てないところを探して、一つづつ直していってさ、来月のレースまでにちょっとでも出来るようになればいいんだよ」きちんと出来るようになる自信がないのか?まだ落ち込んでいる様子の娘

「だからさ、全てがダメって言っているわけじゃないんだよ?今以上に上手くなるために、ダメな所を今ワザと探しているんだから、落ち込むこと無いんだよ!そのために練習に来ているんだからさ」

すると、しばらく黙って考えていた娘は、「そうだね!ちょっとづつ直せば良いんだよね?」
と言って、やっと笑顔を見せた

日が傾き始めると、急に気温が下がって来た

「今日はタイム更新は無理かな〜?」だんながポツリとそう言った時、私がだんなをつついた

格上のクラスのカートを相手に、娘が必死に食らいついて行こうと頑張っていたのだ

数台の集団の中で、もまれながら、抜かれても抜かれても諦めず、一つ一つのコーナで、今までアドバイスされたことを確かめるように丁寧に走りながらも、焦点をしっかり前のカートに定めて走っていた

その走りを見ていたショップのお兄さんが、私のところに駆けよって来て「今何秒出てる?」と聞く。とっさにストップウォッチを見せると

「OK、あともう一歩だな!」そう言って、目の前を駆けぬけて行く娘に向かって、頑張れのサインを出す

かなり気温が下がってきて、路面のグリップも落ちて来たせいか?掲示板に表示されるほかのカートのタイムが落ちてきているにも係わらず、娘は少しづつタイムを上げて来ていた

そして、最後の走行時間に、どうにか今回の目標タイムに載せてきた

練習を終えて戻って来た娘は、ずっと混戦状態で走っていたので、かなり手が痛いらしくすぐにグローブをはずすことも出来なかったが、「やっとタイム出たよ!頑張ったね〜!」と言うと、「ウン♪」とすごく嬉しそうだった

片づけが終わったころ、またショップのお兄さんが「最終的に何秒だった?」と聞きに来たので、取り敢えず目標をクリアしたと告げると

「毎週練習に来る度に、一歩づつ成長していってるから良いよね!ほんと頑張ってるよ!」と安心したように笑って娘を誉めてくれた

私が親バカなせいかも知れないが、他のコよりもタイムが遅くても、下手っぴでも良いのだ。
娘と息子のそれぞれの目標に向かって、二人が頑張ってくれていること、そしてそれがほんの少しづつでもクリアして行けている、それで良いのだと思う。

私達は、レースに勝つためでも、子供の将来を決めつけてしまうためでも、誰のためでもない、私達は自分たちの為にカートをやっているのだ。

いつものお店で、家族で夕飯を食べながら、今日はああだった、こうだったといいながら、「二人とも練習頑張って、偉かったね!」といえることが、とても嬉しくてなんて幸せなんだろうと子供達の真赤なほっぺたを見ながら思った