ぞうきん
 子供達が、新学期を向かえるに当たって新しい雑巾が
いるというので、ふだん使っているタオルの中から、使い古した
物何枚か抜き出して、雑巾に縫って持たせた。

 すると始業式の日、学校から帰って来た息子は、私が持たせた雑巾を
そのまま持って帰って来て、私にこう言った。
「これじゃあダメだって。新しいのを持って来てくださいって、先生が」
「え?これ新しい雑巾だよ?」
「あのね、新しいタオルを使って作るんだって。みんな、新しいタオル
だったよ!」友達になにか言われたのか?息子は少々機嫌が悪かった。

 雑巾としてだけでなく、台布巾として使う場合もあるのできれいなタ
オルで作って欲しいのだという。最近は、市販の雑巾を持ってくる子が
多いせいか?家庭で使い古したタオルを雑巾にしたのでは、新しい雑巾
とは言えないようだ。
「使い古しのタオルの方が、水を良く吸って良いんだよ?」と息子には
言ったのだが、仕方なく新しいタオルを下ろして雑巾に仕立てたものを
翌日子供達に持たせる事にして、お古のタオルの雑巾は我家で使うこと
にした。
 今のように「リサイクル」を声高に掲げる前から、日本にはお古を活
用するという文化があったはずなのだ。例えば、着古した浴衣でおむつ
を縫ったり、古着の着物を布団側にしたり。
 息子の学校でも去年授業で「リサイクル」に付いて勉強したはずなの
にと、なにか解せない気持ちで息子から受け取った、お古のタオルで縫っ
た雑巾を眺めていた。