三の酉
横浜に住む親友一家に誘われて、伊勢佐木町の酉の市に行ってきた。彼女の家は、商売をしている家なので、毎年欠かさず来ているのだという

小雨が降る中、参道を歩いていく

両脇には夜店が立ち並び、威勢のいい掛け声が飛び交う

こんなに大きなお祭りには、余り来た事が無い我家の子供達は、アッチコッチで引っかかり、人の多さも手伝って、なかなか前へ進めない

ようやく神社にたどり着き、参拝。初めて来た私達には、かなりの賑わいに感じたが、友人は例年よりかなり人出が少ないという

景気のせいだろうか?それとも雨という天気のせいなのだろうか?

それでも、横丁に入ると、両脇の夜店も多く、人の流れもかなりのものだった。

とにかく立ち止まっていられないし、チョロチョロとする子供達は、すぐ人ごみにまぎれてしまう

降ったり止んだりする雨のなか、アッチコッチの夜店を覗き、あれこれ買い食いしながら、やっとのことで熊手を売っている通りにたどり着いた

沿道の夜店よりも、ひときわ明るい裸電球のアーチの中に、見事な熊手が見上げる程の高さまで、ぎっしりと並べられていた

一抱えも、二抱えもある大きな熊手には、鮮やかな朱色の文字で、「売約済み」の文字。行き交う人も、それぞれの手に、御贔屓の店の熊手を抱え、見せびらかすようにして歩いて行く

誰かが熊手を買い求める度に、景気のイイ掛け声と共に三三七拍子が起こり、それが大きな拍手に変わる

その賑わいのなか、あちこち覗いて歩いているうちに、私も熊手が一つ欲しくなってきた

そう、これから私も「商売」をはじめるのだ。熊手のご縁だけに頼るつもりはないが、これも何かのご縁なのだから、商売繁盛にあやからない手はないと思ったのだ

取り敢えず、一番小さいのを買い求めようと物色していると、気のイイお兄さんが「今日で終わりだし、コッチの大きい方を半額にまけてやるよ!」と声を掛けてくれた

かくして、私は一番小さいのより、ちょっとだけ大きな熊手を手に入れることが出来た

来年は、もうチョット大きな熊手が買いに来れるように頑張らなくちゃ!と心に誓った私でした