性格と幸福
性格と幸福に関したある論文の中の結論を引用する。
この他にも 文献があり、よくよく研究して行きたい。

6. 結論と今後の課題 6.1. 本研究の結論
本研究の結論として、表 42 のような結果が得られた。幸福・性格・欲求の調査アンケー ト後に明らかになった新たな知見は、仮説 1,2,3,4 より得られたものであった。
表-42 結果表



基本仮説
仮説1
仮説の内容
持っている心理学的特性の種類に よって、幸福度に 相違が見られる

詳細仮説

N.A.
分析
人生満足度を高群・中群・低 群に分けて、幸福の心理学的 特性と一元配置分散分析の 多重比較
結果
仮説1を支持しない結果で あった
結果が持つ意義
人生満足度の高い人は、幸福に 寄与するどのような心理学的特 性も高い。【新規性】
仮説2
仮説の内容
心理学的特性の因子分析により、 似通った特性を持つものが同じ因 子に集まる
詳細仮説
コンピテンス, 熟達, 勤労意欲/人を喜ば せる, 感謝傾向, ユーモア/楽観性, 心配 ごとがない/自己概念の明確傾向, 社会 的比較志向のなさは同じ因子に分類さ れる
分析
心理学的特性の因子分析
結果
仮説2を支持する結果と なった
結果が持つ意義
似たような心理学的特性が同じ 因子に集まると同時に、親切, コ ンピテンス/満喫, 熟達/将来へ の希望, ユーモアがそれぞれ同じ 因子に含まれるという意外性も見 られた。【新規性】
仮説3
仮説の内容
欠乏欲求はネガティブ感情につながり、成長欲求はポジティブ感情につながる
詳細仮説
欠乏欲求と成長欲求は、感情に対して異 なる働き方をする
分析
利己欲と主観的幸福感の相 関関係分析
結果
仮説3を支持する結果と なった
結果が持つ意義
利己的な欠乏欲求を求める人ほ ど人生満足度が低く、成長欲求 である自己実現欲求はポジティブ 感情に対してプラスに働く。 【新規性】

仮説4
仮説の内容
欠乏欲求が満たされている人ほど 利他的特性が強く、人生満足度も高い
詳細仮説
欠乏欲求の中でも、より低次の欲求が満 たされている人は、強い利他的な欲求を 持つ
分析
利他欲と利己欲満足の相関 関係分析
結果
仮説4を支持する結果と なった
結果が持つ意義
自分の生理的欲求に満足してい るか否かが、他者への利他的な 欲求と強く関連する。【新規性】
仮説5
仮説の内容

人生満足度がとくに関与する人生 領域と、そうでない人生領域がある
詳細仮説
N.A.
分析
ドメイン満足度と人生満足度 の相関関係分析
結果
仮説5を支持する結果と なった
結果が持つ意義
日本人の人生満足度は治安満 足度, 政府政治満足度とあまり関 連が無く、自身の能力に関わる 仕事学業満足度, 社会的立場満 足度と強い関連を示した。
仮説6
仮説の内容
人生満足度とポジティブ感情は、特定の性格特性と正の相関を示す
詳細仮説
人生満足度 とポジティブ感情は外向性、情緒安定性と正の相関を示すのに対し、良識性、協調性、知的好奇心は有意な相関が見られない
分析
性格特性と主観的幸福感の相関関係分析
結果
仮説6を支持しない結果であった
結果が持つ意義
人生満足度, ポジティブ感情と人 の肯定的な性質は正の相関、人 の肯定的な性質とネガティブ感情 は負の相関を示した。



従来の研究では見られていなかった幸福・性格・欲求を詳細に分類して同時に比較する ことで、システム的な視点から俯瞰すると共にその内部の関係性を知ることができた。 また、仮説から導かれた結論の他にも、主観的幸福感, ドメイン満足度, 性格特性, 幸 福の心理学的特性の各項目における年代別相違等が、分析によって得られた。以下は仮 説検証以外の本研究の結果概要である。
◆ 階層的欲求の最も低次の欲求である生理的欲求と認知的欲求の審美欲求は、 いずれも女性の方が強い欲求を持ち、また満足している度合いも高い
◆ 高齢者(60 代及び 70 代)ほど物事に対して一喜一憂することが尐なくなり、 人生満足度が高くなる傾向がある。
◆ ドメイン満足度は年齢による差がないもの, 青年期に下がってから再び上が るもの, 青年期と中年期に下がり、それ以外は上がっていくもの, 健康との付 き合い方の 4 つに分類できることが分かった。
◆ ドメイン満足度, 性格特性は、基本的に離れた年代同士で有意差が見られた。 ◆ 幸福因子の中でも性格特性寄りのもの, 年齢に忚じて学習し上昇していくも の, 青年期で現実に直面して下がるもののさらに年齢を重ねると再び上がるも の, そして人生の中での为要な局面を迎える成長期と中年世代で下がり、その 他で上昇する 4 つに分類できる。
◆ 幸福の心理学的特性は、項目によって年代差のあるものとないものがある (楽観性, 人生の目的, 個人的成長, 目標の明確性, 制約の知覚のなさは年代 による有意差なし) 。
◆ 年代が上がるにつれ利己的欲求は減尐し、利己的欲求満足度は上がる。
◆ 利他的欲求は 20 代〜60 代の間でなだらかな U 字型を描いており、利他的欲 求満足度はほぼ年代差は見られないが 60 代で最も高くなっている。いずれにし ても、利己的欲求/利己的欲求満足度より年代による変化は尐ない。
◆ 幸福度(人生満足度)の高い人は幸福に寄与するどのような心理学的特性も 高く、心理学的特性は自己啓発意識と他者への思いやり, 心のつながりや感謝 傾向と前向きな姿勢, 楽観性と精神的安定, 周囲に影響されず自己の意志を貫 く性質に大別される。