10年の痛み
今朝方の夢に、高校時代の友達が出てきた。
彼女は、部活を共にしてきたし3年の時は同じクラスで、ずっと一緒に行動していた。
明るくて、美人なのにヘンなギャグもやってしまう、女子だろうが男子だろうが、誰とでも仲良くできる人だった。

卒業後もよく一緒に遊んだ。彼女が良さそうなお店を見つけて、私が車を運転してドライブに行ったりした。以前書いた、もうちょっとで死ぬところだった事故の時に、助手席に乗っていたのも、彼女だった。
彼女の家に泊まったこともあった。
お互い「親友」言ってはばからない彼女との友情を、失ったのは私が就職して福岡にいた時だった。

初めての一人暮らしの寂しさから、しょっちゅう彼女と電話していた。
ある日、
「いい話があるんだよ〜、やってみない?」と彼女からもちかけられた話は、いかにも胡散臭い「マルチ商法」だった。
彼女は「彼氏」から紹介されて、あるマルチ商法に母親も巻き込んで、手を出していた。
見かけによらず純粋で、素直な彼女は実際にいくらかもうけたらしく(それがテなのだが)、頭から信じきっていた。
「説明会があるから、お母さんも一緒に連れておいでよ」と言う。
その時は、私もそれがマルチである、という確信はなかったが、常々「うまい話には裏がある」と思っていたので
「いやぁ〜、なかなかそっち(大分)に帰られないし、お金(入会金がいる、と言う)もないから…」と断った。

私は、あまり何も考えずに彼女との共通の友人に、事情を話してしまった。
自分の名誉のために言うなら、批判めいたことを言った覚えはない。しかし、なんらかの曲解を経て、私が話した、と彼女の耳に入ったらしい。
それからしばらく経って、ある日ニュースを見て驚いた。
そのマルチ商法のグループの社長が、逮捕されていたのだった。
私はあわてて、彼女の自宅に電話した。
しかし電話口に出た彼女のお母さんは、
「今いません」と冷たく言い放った。
彼女のお母さんは、こちらが名乗らなくても私の声がわかるほどだったし、本人抜きに世間話したこともあるほどで、私を下の名前で呼んでかわいがってくれていたのに…

ショックだった。

彼女を責めようなんて、これっぽっちも思っていなかった。ただ、心配だったのだ。ニュースでは会員も多額の詐欺にあっている、と言っていたからだ。
自分の、軽率な行動を恥じ、後悔した。
どうして、他の友達に話してしまったんだろう…

それから連絡が取れないまま何ヶ月かが過ぎ、私も会社を辞めて大分に戻ったある日、仲間内で飲みに行こう、ということになった。
私はなんとなく気まずくて、彼女には他の友達に電話してもらった。

待ち合わせの場所に、彼女は現れた。
しかし、私達の知っている彼女はもうそこにはいなかった。
暗い表情、そっけない態度。そして、何よりも私と目を合わせようともしなかった。
高校の頃の明るい彼女とは別人のようだった。

それを最後に、彼女は集まりに顔をださなくなってしまった。
私も、そしてその時にいた友人達も、彼女とは連絡をとり辛くなってしまった。
その時にいなかった人や事情がわからない人達は、どう思っているのか…
人気者だった彼女を、仲間内から追い出してしまったのは私なのだ。

言葉で責めなくても、彼女は自分から去っていった。でも、もっとあの時私も「親友」としてあるべき態度をとっていたならば、今もここに彼女からのメールがあったり、お互い育児話に花を咲かせたりできたかもしれない…

結婚式にすら、呼べなかった。
呼ぶ勇気がなかった。

あんなに仲が良かったのに…

私はずっと、このことを10年も引きずり悔やみながらも、何もできずにいた。
今、どうしているのか。
結婚してるのか、それとも実家にいるのか。
都会で生活したい、と言っていたから、どこかへ行ってしまったのか。



彼女の家の近くを通るたびに、彼女への思いでいっぱいになってしまう。
こんな歳になっても、勇気が出ない。
私がいると、彼女が集まりに顔を出し辛いかもしれない、という思いから、私も仲間の結婚式の2次会などを辞退した(結局彼女も断ったらしい)が、今度、もし、なにかあったら、私が彼女を誘って行きたい。そして、心から謝って、この10年を埋めたい。

夢の中の私は、彼女にはっきりと誤り、彼女も許してくれて高校の時の、仲の良い二人に戻れた。

彼女がここを見ている可能性はとってもとっても低いのだけれど、一応書かせて下さい。

O、本当にごめんなさい。
もう何もかも水に流して、また友達になって…
また皆で、遊ぼうよ。


誰か、いくじなしの私にきっかけをください。