少子化時代のこどもと社会:「底力の魅力」
私は今、年甲斐もなく、子どもと一緒になってあるアニメに嵌っている。

そのアニメは「NARUTO」である。ご存知無い方もいらっしゃると思うので説明
すると。これは、今も週間ジャンプで連載が続いている少年マンガをアニメ化したも
のである。架空の国の忍者の里に生まれたナルト少年は、いろいろ困難を乗り越えて
一人前の忍者になって行くというストーリーだ。

ナルトは、身寄りがいない。しかも、昔その国で大暴れした九尾のキツネの魂を、産
まれたばかりの赤ん坊だった頃に、体の中に封印されてしまい、計り知れない力を体
内に宿したまま成長していく、そのため事情を知っている大人達からは、忌み嫌われ
て育つ事になる。ナルト自体はその事を知らず、孤独な幼児期を過ごしてしまう。し
かし、その忍者学校で優しく接してくれる恩師や仲間に出会い、少しづつ成長してい
きながら、忍者としてもそして人間としても強くなっていく。

なぜこんなにも、このマンガに嵌ってしまったのだろう?と自分なりに考えてると。
ストーリー展開やキャラクターの設定がしっかりしているので面白い事に加え、その
アニメーションに使われている音楽も魅力的だと気がついた。架空の国ではあるが、
忍者の話しという事からか、三味線や尺八、和太鼓などをロック調にアレンジしたも
のが使われている。そのせいか、バックに流れている音楽にも重厚感や渋さがあり、
場面の臨場感などが際立って感じられる気がする。

そしてなにより、そのナルトというキャラクターにとても魅力を感じるのだ。
忍者学校には、元々生まれながらに素質を持ったものや、名門の家系産まれその技を
持っている者などが沢山いる。そんな中で、器用でもなく、なにも持たないナルト
は、忍者になるための学校では落ちこぼれていた。それでも、自分の力だけで戦って
いくのだ。自分を信じ、自分の中に培ってきた力を信じながら。私は、そんなナルト
に今の子ども達にはなかなか見る事のできない、辛抱強さや底力を感じる。

少し前までは、日本人が一番得意としていたのが、この辛抱強さや底力であったはず
である。だからこそ、あの戦後の焼け野原の中から瞬く間に復興をとげ、こんな小さ
な国でありながら、経済大国と呼ばれるようになったのだろう。まあ、経済大国にな
った事に関しては、そのやり方や、その他の摩擦などを考えると、いい事であるとは
言い切れるものではない。しかし、その根底には、計り知れないパワーを感じざるを
得ない。

我家の子ども達も含めて言える事だが、今の子ども達にそれを要求する事はとても難
しい。一向に出口の見えない不景気の中にありながらも、まだ日本は豊かな国であ
る。その豊かさが、子ども達から、いや大人達からも、底力やそれを身につけるため
のすべを奪い取ってしまったのだろうか?ナルトのように、自分の信じる道へまっし
ぐらに進む事のできる底力を、子ども達につけさせたい。そう願いながら、子ども達
と一緒にナルトを応援している。