時は壁なり!
我家の子ども達は、レーシングカートをやっている。レーシングカートとは、
エンジンつきのゴーカートでレースをするもので、今活躍中のF1ドライバー
はカート出身者が多い。モータースポーツであるカートは、コースを一周する
タイムによって予選順位を競う。カートに限らず、タイムを競うスポーツをす
る者にとって、タイム=時は壁である。日常の中では、あっという間に通り過
ぎてしまう数十秒の時間で、いかに自分のベストを出し尽くし少しでも前に行
くことができるか、時という見えない壁を追いかけ、五感を研ぎ澄まし、全身
の神経を集中させ、捕らえどころのない百分の1秒をめがけて必死にタイムト
ライアルをしていく。ところが決勝が始まると、時の壁は形を変えて迫ってく
ることになる。それは、前を追う立場になれば、残り時間の壁を追いかけ、越
えることが出来るかが勝負になり、後から追われる立場になれば、残りの時間
の壁から逃げきれるかが勝負になるからだ。15分足らずの時間の中で、ギリ
ギリの攻防を終え、時の壁を乗り越えられた者だけに、勝利の女神は微笑むの
だ。