カート場で拾った話し パート1
「パーツクリーナーは、何でもクリーナー」

カートのブレーキディスクの掃除などに使う、パーツクリーナー(別名ブレーキクリーナーととも言う)いうスプレーがある。これは、とても揮発性の高いアルコールで、オイルの混ざった頑固な汚れもビックリするほど良く落ちる。

ジュニアカーターの御父さん達は、子供がカートを始めるまで、カートとは無縁の仕事をして来た人が多いせいか、どのお父さんも、このパーツクリーナーの洗浄力のとりこになってしまう人が多い。

最近は、このパーツクリーナーを安売りしていることが多く、スプレー缶もお徳用の、長さ30cmはあろうか?という大きな物が出ているので、ジャバジャバ使ってもお徳だという感じもいいのかもしれない。

そして、なぜかそのお父さん達が、油汚れはなんでもこのパーツクリーナーで掃除したがるようになるのだ。

この前も、隣りのPITのお父さんがメガネクリーナーの変わりに使っていたのを見かけた。

友達の家では、年末の大掃除の時に、台所の油汚れをだんなさんがパーツクリーナーで一気に片づけたとか…。

カート場では、時々子供達がこの缶を持ってうろうろしている時がある。カート場は、山の中などにあることが多く、街中では見たことも無いような、大きなムカデが出て来たりする。すると、子供達は、それぞれのPITからパーツクリーナーの缶を持ってきて、殺虫剤変わりにシューシュー虫に向かってかけていたりする…。

かくいう我家でも…。

先日、私が夕飯の支度をしていて、台所の床に油をこぼしてしまったのだ。すぐに拭けば良かったのだが、端の方だったので、後で拭こうと先に用事を済ませていると、なにやら台所で音がする。
「なにやってるの?」と私が台所に一歩足を踏み入れた途端、スッテーン!と私は滑って転んでしまった。

なんと、私がこぼした油を、だんなが拭きとってくれたのだというのだが、その際にご丁寧にパーツクリーナーで拭いたのだ。

ビニタイルの床にこぼれた、植物性のサラダ油を、なんと鉱物性のパーツクリーナーのスプレーを使って、満遍なく広範囲に広げてくれた結果になっていたのだ。

「なんか変だな?」と首をひねっているだんなの目の前で、私が滑って転んだのである。

「カートのオイルじゃないんだから!そんなのダメに決まっているでしょう!」と憤慨する私を尻目に、だんなは今度は、カート用の洗剤で床を拭こうとしていた。

パーツクリーナーは、万能クリーナーではないのだということを、早く悟ってもらいたいと思う私であった。