2003 01/16 17:40
Category : 日記
昨年の11月に某童話賞に応募した作品です。
先日、見事落選の通知がきましたが(_ _。)・・・シュン
ま、始めからそんなに甘くないだろうとは思っていましたが…。
良かったら掲示板に感想等お聞かせ下さいね
「あいちゃんのゆびわ」
ある日あいちゃんは、おにわの花だんにチューリップのきゅうこんをうえていました。土をかぶせて、ジョーロで水をまいた時のことです。花だんのよこのくさむらで何か光るものがあるのを見つけました。
「何だろう?」と思ってひろって見ると、それは小さなゆびわでした。金色をしたそれは、かたがわのはばが少し広くなっていて、きれいに光る赤い石が3こついていました。よく見ると、石のまわりにもきれいなかざりがついている、とってもすてきなものでした。「お母さんがおとしたのかな?」そう思ったあいちゃんは、お母さんに聞いてみましたが、それはお母さんのものではありませんでした。
あいちゃんは、ゆびわを自分のたからものにすることにして、小さなほうせきばこに入れてカギをかけて、つくえの引き出しにしまいました。ところがその日の夜から、あいちゃんのへやではふしぎなことがおこるようになったのです。
つぎの日の朝、あいちゃんがおきてみると。ちゃんと引き出しにしまったはずのほうせきばこが、つくえの上に出ていたのです。かぞくのだれもそんなことは知らないと言うのです。(たしかにしまったはずなんだけど? かんちがいだったのかな?)そう思いながら、ほうせきばこを引き出しにしまってから、学校に行きました。
ところが、学校から帰って来ると、またほうせきばこがつくえの上に出ていました。そしてつぎの朝も…。じつはさいきんあいちゃんの家では、だれもいないはずの屋ねうらべやからもの音がしたり、どこかから話しごえのような音が聞こえたり、いろいろあやしいことがおこっていたのです。あいちゃんは、だんだんこわくなってきました。(ゆうれいのしわざだったらどうしよう…)
あいちゃんは、学校で親友のまきちゃんにそうだんしてみることにしました。
「もしかしたら、大ドロボウがそのゆびわをねらっているのかも?」とまきちゃんは言いました。
「えー、大ドロボウ?」
「だとしたら、つかまえたらおおてがらじゃない!」まきちゃんはさいきん、めいたんていホームズにはまっているのです。
「じけんをかいけつするには、まずげんばをよくかんさつするひつようがあるわね。今日あいちゃんのへやで、どうやってつかまえるか、さくせんを立てようよ」とまきちゃんが言いました。
その日の午後、あいちゃんのうちに来たまきちゃんは、さっそくゆびわを見ながら
「本当にきれいね! 大ドロボウにねらわれてもしかたがないわね。」といいました。そして、グルッとへやを見まわしてから、
「それで、このほうせきばこにいれて、つくえの一番上の引き出しにしまったのよね? かんちがいじゃないよね?」と言いました。
「だって、おとといの夜ときのう学校から帰って来た時、それと今朝の3回もかんちがいすると思う?」
「だとしたら、きっとはんにんは、また今夜も来るわね。だからその時、ねたふりをして、つかまえたらどうかな?」とまきちゃんが言いました。
「そうだね、それがいい! さっそく今夜やってみるよ!」
あいちゃんはなんだかワクワクしてきました。
その夜、あいちゃんはつくえの引出しにほうせきばこをしまいながら、どこかにひそんでいるかもしれないドロボウに聞こえるように
「ほうせきばこもしまったし、さてとねよ〜っと」そう言ってふとんにはいりました。
そして、じっとドロボウがあらわれるのをまっていました。あいちゃんはだんだんドキドキしてきました。しんぞうも大きな音を立ててなりだしました。あいちゃんはその音がドロボウに聞こえてしまうんじゃないかと、しんぱいでしかたがありませんでした。それでもあいちゃんは、時どき目をこらして、そっとつくえの方を見てみましたが、ドロボウがあらわれるけはいはありませんでした。(今日は来ないのかな〜?)
はっと気がつくと、朝になっていました。あいちゃんはいつのまにかにねむってしまっていたのです。(あっ!)とつくえの上を見ると、やっぱりほうせきばこは出ていました。
「そっかー、ねちゃったのかぁ〜」
まきちゃんはうでを組んだまま言いました。「ごめ〜ん、今夜はがんばるから」
学校で、あいちゃんは、そう言ってまきちゃんにあやまりました。
するとまきちゃんが、
「わたしあれから考えたんだけど、もしもほんとうに大ドロボウがねらっているんだったら、あんな小さなはこなんだから、もってにげちゃえばいいはずじゃない?」
「そう言われてみればそうだよね?」とあいちゃんもうなずきました。
「だから、もしかしたらはんにんはドロボウじゃないのかも?」
「え?じゃあだれがはんにんなの?」と聞きかえしたあいちゃんのことばには答えずに、まきちゃんは話しをつづけました。
「とにかく、だれかが引出しをあけているわけだから、ココはトラップさくせんでいこう?」
「トラップ?ってなに?」
「わなのことよ。これをほうせきばこといっしょに、引き出しにいれておくのよ」
まきちゃんはとくいげにポケットから何かをとり出すと、それをギュッとにぎりしめてパッと手をひらきました。すると…。
『ピュー』。と大きな音がして、何かがとび出して来ました。
それは、バネがはいったへびの形のおもちゃでした。まきちゃんは、引き出しのなかにそれを入れておいて、開けたらそれがとび出すようにしておけばいいのだと、まためいたんていのような顔をして言いました。
「そっか〜、まきちゃん頭いいね! でもさぁ、ドロボウじゃなかったらだれがほうせきばこをねらっているんだろうね?」あいちゃんが、そのへびのおもちゃをながめながらそういうと
「だれだろう?たとえば、ゆうれいとか…?」「やっ、やっぱり、ゆうれい?」あいちゃんは、れいのあやしいもの音のことを思い出して、こわくなってきました。
「ねえねえまきちゃん、こんばんうちにとまってくれない?」とたのんでみました。
まきちゃんはすこし考えてから、
「そうだね、明日は学校休みだし、わたしもはんにんをつかまえたいし、そうしよう」と言いました。
その夜二人は、じっとはんにんがあらわれるのをまっていました。もちろん、引き出しのなかには、たからばこといっしょにへびのトラップもしかけました。
「ねぇ、まきちゃん。本当にゆうれいじゃないよね〜?」あいちゃんはずっとゆうれいのことが頭からはなれないのです。
「ゆうれいだって、きっとあのへびのトラップでにげ出すよ!」まきちゃんはじしんまんまんに答えました。
明日はまん月です。あいちゃんのへやにも、カーテンのすきまから月明かりがオーロラのようにさしこんできました。すると、何かガサガサと音がしました。つぎに、あいちゃんのつくえの上に、黒いシルエットがうかびました。それから、カタカタと引き出しがあく音がして…
『ピュー』トラップのへびの音と同時に「うわぁ〜!」という小さな声がしました。
「つかまえた!」まきちゃんがさけんでふとんからとび出しました。あわててあいちゃんも、へやのカーテンを開けました。
「なにこれ?」まきちゃんがいいました。なんと、つくえに上にいたのは、なんびきかのねずみたちでした。
ねずみたちはへびのトラップがそうとうこわかったのでしょう。みんなでひとかたまりになってふるえていました。
「あ〜、ゆうれいじゃなくってよかったぁ〜」 あいちゃんはなんだかホッとして床にペタンとすわりこみました。
「はんにんはあなたたちね!」まきちゃんが言いました。でも、ねずみたちは、まだふるえていて、うまく話しができないみたいです。
「おどかしてごめんね。でも、どうしてわたしのたからばこをとろうとしたの?」あいちゃんがそっと聞きました。
すると、いちばん体の大きなねずみが、ポツリポツリと話しはじめました。
「じつは、ほうせきばこをとろうとしたんじゃないんです。そのなかにある、おひめさまの王かんをかえしてほしかったのです」
「王かん?王かんなんてもってないよ?」とあいちゃんはほうせきばこをあけながら言いました。
するとねずみはあいちゃんがひろったゆびわをもち上げて言いました。
「これはうちのおひめさまの王かんなんです。明日の夜ここのおうちのやねうらで、おひめさまのけっこんしきがあるのですが、その時につけるためのものなんです。」
「だから、ときどきやねうらから音がしてたのね」とあいちゃんがいうと。
「これが王かんねー?」とまきちゃんがいいました。
「ええ。でも、おひめさまにとどけるとちゅうで、わたしたちがおとしてしまったんです。おねがいです! おひめさまの王かんをかえしてください、これがないとおひめさまはおよめに行かれなくなってしまうんです!」とねずみたちは二人にあたまをさげながらたのみました。二人は顔を見あわせてうなずくと、
「わかったわ。こんどはおとさないようにね!」そう言って、ねずみたちに王かんをそっとわたしました。ねずみたちは、なんどもなんどもおれいを言うと、だいじそうに王かんをかかえてかえって行きました。
それからというもの、あいちゃんの家では、ほうせきばこがつくえの上に出ていることもあやしいもの音がすることもありませんでした。
あいちゃんは今でも、まんげつを見ると、あのねずみたちは元気にしているかな?と、その夜のことを思い出すのでした。
先日、見事落選の通知がきましたが(_ _。)・・・シュン
ま、始めからそんなに甘くないだろうとは思っていましたが…。
良かったら掲示板に感想等お聞かせ下さいね
「あいちゃんのゆびわ」
ある日あいちゃんは、おにわの花だんにチューリップのきゅうこんをうえていました。土をかぶせて、ジョーロで水をまいた時のことです。花だんのよこのくさむらで何か光るものがあるのを見つけました。
「何だろう?」と思ってひろって見ると、それは小さなゆびわでした。金色をしたそれは、かたがわのはばが少し広くなっていて、きれいに光る赤い石が3こついていました。よく見ると、石のまわりにもきれいなかざりがついている、とってもすてきなものでした。「お母さんがおとしたのかな?」そう思ったあいちゃんは、お母さんに聞いてみましたが、それはお母さんのものではありませんでした。
あいちゃんは、ゆびわを自分のたからものにすることにして、小さなほうせきばこに入れてカギをかけて、つくえの引き出しにしまいました。ところがその日の夜から、あいちゃんのへやではふしぎなことがおこるようになったのです。
つぎの日の朝、あいちゃんがおきてみると。ちゃんと引き出しにしまったはずのほうせきばこが、つくえの上に出ていたのです。かぞくのだれもそんなことは知らないと言うのです。(たしかにしまったはずなんだけど? かんちがいだったのかな?)そう思いながら、ほうせきばこを引き出しにしまってから、学校に行きました。
ところが、学校から帰って来ると、またほうせきばこがつくえの上に出ていました。そしてつぎの朝も…。じつはさいきんあいちゃんの家では、だれもいないはずの屋ねうらべやからもの音がしたり、どこかから話しごえのような音が聞こえたり、いろいろあやしいことがおこっていたのです。あいちゃんは、だんだんこわくなってきました。(ゆうれいのしわざだったらどうしよう…)
あいちゃんは、学校で親友のまきちゃんにそうだんしてみることにしました。
「もしかしたら、大ドロボウがそのゆびわをねらっているのかも?」とまきちゃんは言いました。
「えー、大ドロボウ?」
「だとしたら、つかまえたらおおてがらじゃない!」まきちゃんはさいきん、めいたんていホームズにはまっているのです。
「じけんをかいけつするには、まずげんばをよくかんさつするひつようがあるわね。今日あいちゃんのへやで、どうやってつかまえるか、さくせんを立てようよ」とまきちゃんが言いました。
その日の午後、あいちゃんのうちに来たまきちゃんは、さっそくゆびわを見ながら
「本当にきれいね! 大ドロボウにねらわれてもしかたがないわね。」といいました。そして、グルッとへやを見まわしてから、
「それで、このほうせきばこにいれて、つくえの一番上の引き出しにしまったのよね? かんちがいじゃないよね?」と言いました。
「だって、おとといの夜ときのう学校から帰って来た時、それと今朝の3回もかんちがいすると思う?」
「だとしたら、きっとはんにんは、また今夜も来るわね。だからその時、ねたふりをして、つかまえたらどうかな?」とまきちゃんが言いました。
「そうだね、それがいい! さっそく今夜やってみるよ!」
あいちゃんはなんだかワクワクしてきました。
その夜、あいちゃんはつくえの引出しにほうせきばこをしまいながら、どこかにひそんでいるかもしれないドロボウに聞こえるように
「ほうせきばこもしまったし、さてとねよ〜っと」そう言ってふとんにはいりました。
そして、じっとドロボウがあらわれるのをまっていました。あいちゃんはだんだんドキドキしてきました。しんぞうも大きな音を立ててなりだしました。あいちゃんはその音がドロボウに聞こえてしまうんじゃないかと、しんぱいでしかたがありませんでした。それでもあいちゃんは、時どき目をこらして、そっとつくえの方を見てみましたが、ドロボウがあらわれるけはいはありませんでした。(今日は来ないのかな〜?)
はっと気がつくと、朝になっていました。あいちゃんはいつのまにかにねむってしまっていたのです。(あっ!)とつくえの上を見ると、やっぱりほうせきばこは出ていました。
「そっかー、ねちゃったのかぁ〜」
まきちゃんはうでを組んだまま言いました。「ごめ〜ん、今夜はがんばるから」
学校で、あいちゃんは、そう言ってまきちゃんにあやまりました。
するとまきちゃんが、
「わたしあれから考えたんだけど、もしもほんとうに大ドロボウがねらっているんだったら、あんな小さなはこなんだから、もってにげちゃえばいいはずじゃない?」
「そう言われてみればそうだよね?」とあいちゃんもうなずきました。
「だから、もしかしたらはんにんはドロボウじゃないのかも?」
「え?じゃあだれがはんにんなの?」と聞きかえしたあいちゃんのことばには答えずに、まきちゃんは話しをつづけました。
「とにかく、だれかが引出しをあけているわけだから、ココはトラップさくせんでいこう?」
「トラップ?ってなに?」
「わなのことよ。これをほうせきばこといっしょに、引き出しにいれておくのよ」
まきちゃんはとくいげにポケットから何かをとり出すと、それをギュッとにぎりしめてパッと手をひらきました。すると…。
『ピュー』。と大きな音がして、何かがとび出して来ました。
それは、バネがはいったへびの形のおもちゃでした。まきちゃんは、引き出しのなかにそれを入れておいて、開けたらそれがとび出すようにしておけばいいのだと、まためいたんていのような顔をして言いました。
「そっか〜、まきちゃん頭いいね! でもさぁ、ドロボウじゃなかったらだれがほうせきばこをねらっているんだろうね?」あいちゃんが、そのへびのおもちゃをながめながらそういうと
「だれだろう?たとえば、ゆうれいとか…?」「やっ、やっぱり、ゆうれい?」あいちゃんは、れいのあやしいもの音のことを思い出して、こわくなってきました。
「ねえねえまきちゃん、こんばんうちにとまってくれない?」とたのんでみました。
まきちゃんはすこし考えてから、
「そうだね、明日は学校休みだし、わたしもはんにんをつかまえたいし、そうしよう」と言いました。
その夜二人は、じっとはんにんがあらわれるのをまっていました。もちろん、引き出しのなかには、たからばこといっしょにへびのトラップもしかけました。
「ねぇ、まきちゃん。本当にゆうれいじゃないよね〜?」あいちゃんはずっとゆうれいのことが頭からはなれないのです。
「ゆうれいだって、きっとあのへびのトラップでにげ出すよ!」まきちゃんはじしんまんまんに答えました。
明日はまん月です。あいちゃんのへやにも、カーテンのすきまから月明かりがオーロラのようにさしこんできました。すると、何かガサガサと音がしました。つぎに、あいちゃんのつくえの上に、黒いシルエットがうかびました。それから、カタカタと引き出しがあく音がして…
『ピュー』トラップのへびの音と同時に「うわぁ〜!」という小さな声がしました。
「つかまえた!」まきちゃんがさけんでふとんからとび出しました。あわててあいちゃんも、へやのカーテンを開けました。
「なにこれ?」まきちゃんがいいました。なんと、つくえに上にいたのは、なんびきかのねずみたちでした。
ねずみたちはへびのトラップがそうとうこわかったのでしょう。みんなでひとかたまりになってふるえていました。
「あ〜、ゆうれいじゃなくってよかったぁ〜」 あいちゃんはなんだかホッとして床にペタンとすわりこみました。
「はんにんはあなたたちね!」まきちゃんが言いました。でも、ねずみたちは、まだふるえていて、うまく話しができないみたいです。
「おどかしてごめんね。でも、どうしてわたしのたからばこをとろうとしたの?」あいちゃんがそっと聞きました。
すると、いちばん体の大きなねずみが、ポツリポツリと話しはじめました。
「じつは、ほうせきばこをとろうとしたんじゃないんです。そのなかにある、おひめさまの王かんをかえしてほしかったのです」
「王かん?王かんなんてもってないよ?」とあいちゃんはほうせきばこをあけながら言いました。
するとねずみはあいちゃんがひろったゆびわをもち上げて言いました。
「これはうちのおひめさまの王かんなんです。明日の夜ここのおうちのやねうらで、おひめさまのけっこんしきがあるのですが、その時につけるためのものなんです。」
「だから、ときどきやねうらから音がしてたのね」とあいちゃんがいうと。
「これが王かんねー?」とまきちゃんがいいました。
「ええ。でも、おひめさまにとどけるとちゅうで、わたしたちがおとしてしまったんです。おねがいです! おひめさまの王かんをかえしてください、これがないとおひめさまはおよめに行かれなくなってしまうんです!」とねずみたちは二人にあたまをさげながらたのみました。二人は顔を見あわせてうなずくと、
「わかったわ。こんどはおとさないようにね!」そう言って、ねずみたちに王かんをそっとわたしました。ねずみたちは、なんどもなんどもおれいを言うと、だいじそうに王かんをかかえてかえって行きました。
それからというもの、あいちゃんの家では、ほうせきばこがつくえの上に出ていることもあやしいもの音がすることもありませんでした。
あいちゃんは今でも、まんげつを見ると、あのねずみたちは元気にしているかな?と、その夜のことを思い出すのでした。