「白亜の殿堂」
<<インド>>--アグラ--


世界遺産タージ・マハルを別の角度から見た光景。

白大理石だけで造られたこの霊廟は、正に白亜の殿堂というに相応しいであろう。

ムガル帝国第五代国王サージャ・ハーンが、亡き愛妻ムムターズ・マハルのために22年の歳月を費やして、これを建造したのは1653年であった。

膨大な国費を掛けて国を危うくしたために、彼の息子に捕えられアグラ城に幽閉されてしまったのは、何とも哀れである。

愛妻のために建てたこの霊廟を、牢獄の中から毎日眺めて死んでいった王の気持ちは、一体どんなだったのであろうか。

せめて王の亡骸が、愛妻と共にこの霊廟に葬られただけでも、幸せであったと言えるだろうか。