「ヤムナー河」
<<インド>>--アグラ--


タージ・マハルの真裏に有るヤムナー河の光景。

滔々と流れるヤムナー河は、雨季という事もあり、水量が多く赤く濁っていた。

黒雲の張り詰めた空と相俟って、大理石の敷石とミナレットとの城の対比が眩しいくらいだ。

この河を隔てたはるか彼方に、このタージ・マハルを建てて巨額の国費を費やしてしまった国王、シャージャ・ハーンの幽閉されたアグラ城が有る。

息子に謀反を起されて、罪人となってしまった王の経緯は、当時としては背反離反は常であったにしても、哀れである。

愛妻のために建てたこの霊廟を、牢獄の中から毎日眺めて死んでいった王の気持ちは、一体どんなだったのであろうか。

せめて王の亡骸が、愛妻と共にこの霊廟に葬られただけでも、幸せであったと言えるだろうか。