2006年6月
2006年06月30日

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不当な遅延損害金を取り戻す
 不当な遅延損害金を消費者契約法で取り戻す

 練馬区に住む関口さんは体調を崩し、仕事ができなくなり生活保護を受給する事になった。生活保護費の受給が月初めなので、それを待って家賃の支払をした。

 ところが、建物を管理している会社は、契約書に「賃料は月の28日までに翌月分を支払うこと」と書かれており、「1日でも家賃が遅れた場合は1か月相当分の遅延損害金を支払うこと」という約定を楯に遅延損害金26000円を支払えと請求して来た。

 管理会社は、借主に無断で入室するという非常識を繰返し、更に常識を超える頻度で請求の電話を掛けてきた。これらの不法行為を繰返し行われることに対して関口さんは精神的にまいってしまい、管理会社の言うがままに遅延損害金を全額支払ってしまった。

 それらのことを心配した母親が組合に相談に来た。組合では即刻相手に電話で「不法な遅延損害金の返却と嫌がらせの中止」を警告したが、管理会社の社員は消費者契約法を理解しておらず、改めて消費者契約法違反を文書で通知した。

 後日、関口さんの母親から遅延損害金が戻ってきたと電話で報告があり、「法律相談で弁護士から約束だから支払わなければ駄目だと言われた。だが、諦めずに組合に相談して頑張った甲斐があった」と感想を述べてくれた。



 消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

 1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 2 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月29日

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借地での建替え
借地非訟手続で裁判所から 
   建替承諾の許可を得て2階建てを新築

 大田区北糀谷1丁目に居住する河原さんは、3年前に借地(約36坪)の更新料を支払い、更に近隣の平均よりも高額な地代への改定にも同意して更新契約を締結した。

 それは総て地主の建替承諾を得るためである。仲介の不動産業者が地主の言い値で更新料と地代値上げを認めるのであれば、引換え条件として地主の建替承諾許可の同意を取り付けるという提案があたからだ。当時、地主(5人の相続人全員)は建替承諾を口頭であるが、了承して共有賃貸人として合意したものである。

 河原さんは、建替えの挨拶をしたところ、共有賃貸人の1人から相続での取り分が少ないという理由で借地の返還を求められた。不動産業者に相談しても我関知せずの態度のため、組合に相談し入会した。

 早速、組合は借地借家法17条に基づく増改築承諾許可の非訟手続を裁判所へ申し立てた。増改築許可申立の際に、共有賃貸人の1人が死去し、その相続人4人が加わり計8人相手の申立となった。

 後日、裁判所の許可の条件は、更地価格の3%の承諾料ということで決定した。

 しかし、地主側は承諾料と地代の受領を拒否している。止むを得ず、それらは法務局へ供託している。

  地主の嫌がらせは続く、非訟手続申立の際に図面に塀の設置が書き込まれていなかったことに難癖をつけ、工事の妨害をするなどである。

 河原さんは、地主の妨害をはねのけて新築建物を完成させ、塀の工事も完了させた。 玄関脇の柿木は風雪に耐えて見事な実をつけた。



 借地借家法
 借地条件の変更及び増改築の許可
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

2 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

3 裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。

4 裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。

5 転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

      (注) 借地権者=借地人   借地権設定者=地主

東京借地借家人新聞より


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2006年06月28日

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立退き合意書を無理やり作成
消費者契約法で家主に立退き合意書の取消を通知


 練馬区大泉にある5階建てのマンションに住む有田さんは、10年以上この同じマンションに住み続けてきた。訳が合って昨年離婚し、前夫が家から出て行った。前後し、前の家主がマンションを売却した。

 新家主が夜の9時頃に来訪し、家賃の支払が滞っていると文句をつけ、「夫がいない貴方に家賃が払えるか不安だ。そこで、部屋を退去するか、連帯保証人を両親にするか、今日、決めてもらいたい。」と強要した。
 会社のオーナーに相談してから返事をするから、取敢えず今日のところはお帰り願いたいと言っても聞き入れて貰えなかった。

 挙句の果てには、2月末に退去する旨の書類にサインしなさいの一点張りになり、書類にサインをしない限り帰ろうとはしない態度である。困り果てて仕方なく立退きの合意書類にサインをしてしまった。その後、心配になって、知人の紹介で組合に相談した。

 組合は、この「立退き合意書」は消費者契約法第4条3項に違反しており、合意事項は取り消すことが出きると説明した。早速、「不退去による困惑で締結した立退き合意書は、消費者契約法第4条3項の規定に違反するので取り消す」という文書を作成し、家主に郵送した。

 有田さんは「組合に相談して助かりまし女だと思って馬鹿にされ、悔しい思いもしましたが、これで安心して寝る事が出来ます」と語った。

東京借地借家人新聞より



(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

 一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件

5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。


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2006年06月27日

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家主から原状回復費用請求訴訟申立をされる
川崎市内の賃貸マンションを退去したKさんは家主から敷金10万4000円を上回る20万円を請求され、組合に加入した。

 組合の支援と協力を得てkさんは家主と再三折衝を重ねた。しかし、家主は一方的に川崎簡易裁判所に原状回復費用請求訴訟を申し立てた。

 裁判所から訴状が送付され、Kさんは組合と相談した上で家主側の訴状を慎重に検討し、答弁書を作成して裁判所に提出した。

 第1回は裁判官から原告(貸主)と被告(借主)双方の事情聴取で終了した。

 第2階は被告(借主)側の答弁書に焦点が絞られ、原告(貸主)側に対して具体的な質問が集中され、次回判決を言い渡すことで終了した。

 第3回は原告(貸主)が欠席し、裁判官が被告(借主)に対して勝訴の判決を言い渡し5分で裁判は終了した。

 その後、原告(貸主)側から異議申立がなされず、借主の勝訴で判決の確定となた。

全国借地借家人新聞」より


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2006年06月26日

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家賃+消費税で支払え
豊島区のJR池袋駅から歩いて10数分。通り沿いにラーメン店を営む中村さんは組合に入会して10数年が経っている。

毎回の更新時に家主とその代理人である不動産屋から嫌がらせを受けている。その他にも、店の前に置いてある自転車の度重なるパンク、店の前に、上からたまごが落とされるなど。

今回の更新では「家賃は現行通りとする。しかし消費税5%を上乗せして支払うこと」という通知を受けた。そこで、組合に相談し、相手の不動産屋に応じられないので現行通りの家賃で支払う旨返答したところ、不動産屋は「それなら裁判だ」と脅かしてきた。 

 心配になった中村さんは、組合に相談し、家主に対して次のような文書を作成してもらった。それは、「現在、消費税は内税ですでに納めている。今回の新たな請求は賃料の値上げ請求であるので、一方的な値上げには応じられない。本来ならば値下げ請求をしたいくらいであるが、現状維持ならば、合意更新するが駄目ならば法定更新にする」という内容で、その日のうちに文書を家主に郵送した。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月25日

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不当な遅延損害金を取り戻す
  不当な遅延損害金を消費者契約法で取り戻す

 練馬区に住む関口さんは体調を崩し、仕事ができなくなり生活保護を受給する事になった。生活保護費の受給が月初めなので、それを待って家賃の支払をした。

 ところが、建物を管理している会社は、契約書に「賃料は月の28日までに翌月分を支払うこと」と書かれており、「1日でも家賃が遅れた場合は1か月相当分の遅延損害金を支払うこと」という約定を楯に遅延損害金26000円を支払えと請求して来た。

 管理会社は、借主に無断で入室するという非常識を繰返し、更に常識を超える頻度で請求の電話を掛けてきた。これらの不法行為を繰返し行われることに対して関口さんは精神的にまいってしまい、管理会社の言うがままに遅延損害金を全額支払ってしまった。

 それらのことを心配した母親が組合に相談に来た。組合では即刻相手に電話で「不法な遅延損害金の返却と嫌がらせの中止」を警告したが、管理会社の社員は消費者契約法を理解しておらず、改めて消費者契約法違反を文書で通知した。

 後日、関口さんの母親から遅延損害金が戻ってきたと電話で報告があり、「法律相談で弁護士から約束だから支払わなければ駄目だと言われた。だが、諦めずに組合に相談して頑張った甲斐があった」と感想を述べてくれた。



 消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

 1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 2 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月23日

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借地での建替え
借地非訟手続で裁判所から 
   建替承諾の許可を得て2階建てを新築

 大田区北糀谷1丁目に居住する河原さんは、3年前に借地(約36坪)の更新料を支払い、更に近隣の平均よりも高額な地代への改定にも同意して更新契約を締結した。

 それは総て地主の建替承諾を得るためである。仲介の不動産業者が地主の言い値で更新料と地代値上げを認めるのであれば、引換え条件として地主の建替承諾許可の同意を取り付けるという提案があたからだ。当時、地主(5人の相続人全員)は建替承諾を口頭であるが、了承して共有賃貸人として合意したものである。

 河原さんは、建替えの挨拶をしたところ、共有賃貸人の1人から相続での取り分が少ないという理由で借地の返還を求められた。不動産業者に相談しても我関知せずの態度のため、組合に相談し入会した。

 早速、組合は借地借家法17条に基づく増改築承諾許可の非訟手続を裁判所へ申し立てた。増改築許可申立の際に、共有賃貸人の1人が死去し、その相続人4人が加わり計8人相手の申立となった。

 後日、裁判所の許可の条件は、更地価格の3%の承諾料ということで決定した。

 しかし、地主側は承諾料と地代の受領を拒否している。止むを得ず、それらは法務局へ供託している。

  地主の嫌がらせは続く、非訟手続申立の際に図面に塀の設置が書き込まれていなかったことに難癖をつけ、工事の妨害をするなどである。

 河原さんは、地主の妨害をはねのけて新築建物を完成させ、塀の工事も完了させた。 玄関脇の柿木は風雪に耐えて見事な実をつけた。



 借地借家法
 借地条件の変更及び増改築の許可
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

2 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

3 裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。

4 裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。

5 転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

      (注) 借地権者=借地人   借地権設定者=地主

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2006年06月22日

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保証金が戻った
豊島区要町で料理屋を経営している大石さんは、3年前の店舗の更新問題で組合に入会した。その時には組合が作成した文書を家主に送り、更新時の更新料2ヶ月分を1か月分に変更、家賃40万円を5万円減額させた。

 今回、家主は更新料を2万円負けるから契約更新しようと催促してきた。長引く不況で、この店舗を借りた10年前に比べると売上は半分以下に減少しており、営業を続ける上でも大変と考え組合に相談した。駄目で元々となのだからと家賃、更新料、共益費の減額などを請求することにした。

 契約書を検討したところ、バブルの頃の契約で保証金が1000万円もあることが判明し、保証金の返還も合わせて請求することにした。組合で文書を作成し、家主に提示したところ保証金500万円を返還すると回答してきた。

 大石さんは「保証金の返還は考えてもいませんでした。返還された保証金は店の回転資金として使います。本当に助かりました。」と喜んでいた。


東京借地借家人新聞より


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2006年06月21日

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明渡しで家主敗訴
豊島区長崎のマンションに上山さんは平成8年から住んでいる。家主の借金が原因で、家主が交代するという通知を平成13年11月に受けていた。

 その後、立退き問題が浮上し、新家主との間で金銭補償で話合いが行われたが、合意に至らなっかた。 そんな中で、給湯器の修理修繕で問題が紛糾し、新家主との関係が悪化していた矢先に突然、家主が建物明渡しの訴訟を提起して来た。

 明渡し理由は、上山さんがこのマンションの住所に自分の会社の登記をしていたことが居住以外の使用を禁止する契約条項に違反するというものである。所謂、用法違反を理由に訴えたものである。

 裁判を起こされてから組合に入会した上山さんは、弁護士を頼まずに組合の指導と援助を受けて裁判所に答弁書、準備書面などを提出した。裁判の途中で和解の話合いも持たれたが、金額で折り合いがつかずに不調に終わり判決となった。

 6月に行われた判決で、家主の敗訴が確定した。上山さんは、引き続きこのマンションに住み続けることになった。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月20日

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更新に際して家主に要求してみたら

 賃料は15%減額、保証金は25%返還

             減額請求に対し、更新料も免除と家主が回答


中野区の新井薬師でビルの1階を賃借し料理屋を経営している佐藤さんは契約更新の時期を迎えた。年々営業が苦しくなる中で、契約更新に際して、家主に対し幾つかの交渉をして経営の安定を目指したいと考え、そのことで組合に相談した。

 契約書の中にはバブルの頃の影響もあって、保証金は5年間で40万円。その上更新に際しては、新賃料の1か月分と書かれていた。代理人の不動産会社は当然のように賃料は現行通り、更新料は1か月分を請求してきた。

 組合との相談で佐藤さんは、賃料の2割値下げ、保証金の約5割の返還、更新料の減額を家主に請求した。家主への手紙には「今年の34月は売上が極端に悪くなり、先の見通しもつきかねる現状です。もう少し営業の継続をさせていただきたく、お話合いをお願いいたします」と訴えた。

 家主側は「今回限り更新料の免除、賃料については約15%の減額、保証金は25%を返還する」という回答をして来た。

 佐藤さんは「要求はして見るべきですね」と喜んでいた。

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2006年06月19日

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地代坪当り1000円値下げ
坪当り2500円は近隣地代の約3倍

 練馬区に住む中曽根さんが4月に組合事務所を訪問してきた。今までずと地主の言いなりに地代の値上げを認めてきた。この先このまま値上げが続いたら年金生活では住み続けることが出来ないので、何とか地代を値下げ出来ないかという相談だった。

 地代が近隣相場の約3倍の坪当たり2500円ということなので値下げ請求をすることにした。地主が近所に住んでいるというので組合の名前を出さずに文書を作成し、値下げの通知書を出した。

 地主は不動産会社を代理人として「大幅に値下げします。坪当2000円で了承してください」という回答をしてきた。

 だが、中曽根さんは納得がいかない。「大幅な値下げというが近隣相場の約2倍である。せめて1500円位にして欲しい」というのが希望である。

 そこで、今度は組合名で「本来ならば1000円位が妥当な地代であるが、1500円ということであれば了承する」という旨の通知を出した。

 程無く、地主の代理人から坪当り1500の地代で同意するという回答が来た。

 中曽根さんは「組合の名前で通知したら、早速の、希望額での値下げ返事。さすが組合ですね」と感想を述べた。

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2006年06月17日

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新地主から突然の高額地代請求され組合に加入

 大江さんは葛飾区立石にて親の代より、50坪を借地している。契約書はなく、地主に直接地代を支払うのではなく、地主の代理人不動産業者に地代を支払っていた。約40年前に明渡しを求められ、賃料の受領を拒否されたため、やむなく供託とあいなって現在に至ったのである。

 供託の賃料は長期間値上げしておらず、かなりの少額であった。突然、新地主である(所有権を取得した)という人物が現われ、地代150000円(坪当たり3000円)を支払え、又は底地を買取れと要求された。 大江さんは思い余って葛飾借地借家人組合に相談し、その場で直ぐに入会した。

 あまりの高額地代の請求に当組合では土地の登記(所有権移転)を確認し、土地(固定資産税)の評価証明書により税額を算出し、適正と思われる賃料40000円(坪当たり800円)を現金書留郵便にて新地主に提供し、地主(静岡県浜松市在住)は受領した。

 今後は地主の出方次第で臨機応変の対応となる。

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2006年06月16日

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更新料は坪10万円

組合のアドバイスで地主に更新料の根拠を示せと主張

豊島区上池袋に住む榎本さんは借地して60年になる。20年前に親が地主の言いなりになり更新料を支払った。 定年を過ぎ、年金生活の現在、今回の更新及び更新料については、どうなることなのか不安でしょうがなかった。

 地主から「更新についてのご案内」という通知をもらった。その中には「更新する意思があるのか。更新するなら坪当り10万円を支払え」と記されていた。30数坪を借りている榎本さんにとっては300数10万円を支払わなければならない。そんな矢先に城北借地借家人組合のチラシが入った。そこには西武百貨店で借地借家の無料相談を行う案内が載っていたので、さっそく相談にいった。

 榎本さんの「更新料の相場はいくらかですか。更新の期間が過ぎてしまったらどうなるのですか」という質問に対して相談員は「更新料支払うという約束がなければ支払う必要がないこと。更新時期が過ぎても正当な事由がないかぎり更新拒絶はできないことその場合、法定更新されて期間は20年になること」などを丁寧に説明された。

目からうろこが取れた榎本さんは組合に入会し、その上で地主に「(1)更新料を支払うという法的根拠を示してください(2)坪10万円という数字の公の根拠(裁判の判例など)を示してください」という通知を出すことにした。その後、地主からの回答はない。榎本さん「回答がないというのは、多少不安であるが、組合に入会してよかった」と述べた。

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2006年06月15日

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敷金が返ってこない
 
マンションを引越したが預けた敷金が
      返ってこないが、取り戻す方法は


 (問)
 7年間借りていたマンションを私の都合により引越した。預けてあった敷金24万円は、管理業者が「後日清算します」と言って返してくれない。10日後に請求書を送ってきた。

 その内容は「乙は本物件を明渡す時は本物件を原状に回復しなければならない」という契約条項を根拠に請求金額は「畳の表替え、クロスの張替え、玄関ドアーとベランダ手摺りの塗装、鍵の交換、ハウスクリーニング代の合計額から敷金24万円を差し引いた不足分36万3200円」となっていた。

 私には、請求された金額の支払義務はないと思います。敷金を取り戻す方法はないものでしょうか。

(答)
 敷金は借主の家賃など債務の担保として家主に預けているもので、建物を明渡す時点で家賃の未払分など借主が家主に支払うべき債務があれば、それを敷金から差し引いた残金が返還される。勿論、債務がなければ敷金は全額返還される。

 貸家の修繕について、民法606条1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をする義務を負う」と規定している。借主が建物を普通の使い方で使用した結果、年月が経過して汚れたり、擦り傷等の通常損耗や自然損耗の修繕は、家主に修繕義務がある。通常損耗や自然損耗の修繕費用は家賃に含まれているというのが最高裁の判断である(最高裁2005年12月16日判決)。

 もっとも、普通の使い方ではなく、借主が誤って壁に穴をあけたとか畳に焼け焦げをつくったようなものについては借家人が弁償しなければならない。

 原状回復とは、借家人が建物を借りた後に、和室を洋室にしたとか間仕切りをしたとか棚を吊ったとかしたものを借りる前の形に戻すことで、修繕とは別のことである。

 管理業者が請求してきたものは、次の人に貸すために家主のする仕事の費用であり、それを前に借りていた人に支払わせるというのはとんでもない悪徳商法である。勿論、相談者が支払うべき債務ではないことは明らかである。従って、借主が先ずやることは、家主に内容証明郵便で敷金を全額返せという請求をすることである。

 詳しい事は、東京借地借家人組合連合会 3263−7074へ相談ください。或は下記の組合に相談して下さい。


台東借地借家人組合 
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2006年06月14日

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高額更新料

家主の一方的な値上げと受領拒否に対し供託で頑張る

豊島区南長崎で2軒長屋の店舗を借りて商売をしていた橋本さんと須永さんは昨年の年末に5年目の契約更新の時期を迎えた。2人とも、この不況の中で商売も大変で、売上も中々伸びないどころか後退している。本来ならば、賃料を下げてほしいと思いつつも、現行のままの条件で更新すると思っていた。

 その矢先の12月に、家主が持ってきた更新に際しての通知書には「(1)賃料を現行の12万円を13万円に値上げする。(2)更新に際して更新料として新賃料の2カ月分を支払うこととする。(3)契約期間は3年間とする。」というものであった。

 「賃料を値下げしてほしいと思っていたのに値上げを通知され、その上、今まで支払っていなかった更新料まで請求され、期間も5年から3年契約に変更を要求されている」こんな理不尽なことが許されるのかと思って、知人に相談したところ、組合を紹介された。

 組合で、賃料の増減、契約内容の変更には双方の合意が必要なことを説明され、この時期に一方的な値上げは認められないとして、現行どおりの賃料を持参したところ家主は受取を拒否してきた。橋本さんは隣の須永さんも同じ通知書を受け取っていたので2人で組合に入会し、合意更新が出来ないならば、法定更新で、賃料の受取を拒否したので供託して頑張ることにした。2人とも「組合に入会したことで安心して対応できる。」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月13日

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借家の明渡し請求

無断大修繕をこじつけに建物の明渡請求をされる

 日本提で印刷業を営んでいる加藤さんは、木造2階建(約10坪)を借家している。建物は古いがその都度家主の承諾を受け、小まめに修理を重ね、我家同然の気持ちで程度良く維持している。建物を自己負担で修理をしていることもあって当然家賃は2万3000円と平均よりは安い。

 家主が亡くなって息子が引継ぐと直に、「建物が老朽化して危険だから明渡せ」とか、「無断大規模修繕を行ったので契約を解除するので建物を明渡せ」という言い掛かり的な理由で一方的な内容証明郵便を繰返し送りつけて来た。

 明渡しの意思もないので内容証明郵便は黙殺していた。だが余りにも執拗に送りつけて来るので昨年の3月以後、内容証明郵便の受け取りを拒否した。

 それ以後、内容証明郵便は来なくなった。


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2006年06月12日

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値上げ撤回

6軒の借家人に1月から

3千円の家賃値上げ通告


1月初旬、組合に相談の電話が入った。家主から6軒の借家人に対して、1月の家賃から1か月3000円の値上げを通告され困っているという内容である。

過去、2年毎の値上げが繰返され、その都度、値上げを呑まされ続けており、借家人の意見は、これ以上値上げは呑めないということで全員一致している。

だが、値上げ通告にどのように対処するか、借地借家人組合への加入に対しても、各人の意見は纏らない。

 そこで組合の説明会を開いてほしいということで、1月13日に会合を開き、借地借家人組合とはいかなることをするのかを説明した。加えて借地借家法の条文のコピーを配り、それを基にして、家賃値上げの対処方法、供託、調停等を解説した。

組合に加入したいので、1月26日に再度会合を開きたいとの要請があった。

会合で今後の行動の意見交換をし、1月31日に代表者3名と組合役員とで6軒分の家賃を纏めて家主の元へ持参すること、家主への対応は総て役員が行なうことを決めた。

 当日、家主に対して、6名が組合に加入したこと、交渉は組合を中心に行なうことを通告。今回の値上げは認められない。従って、今まで通りの家賃額で支払うので受領の有無を返答してもらいたいと告げると、家主は共同所有者に電話で相談するので待ってもらいたいと奥へ引込んだ。

 数分後、今回の値上げは撤回すると言い、今まで通りの金額で受領した。


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2006年06月10日

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更新料を断ると明渡請求
  地主の車の出入の邪魔という理由

 大田区南蒲田2丁目に居住する借地人の飯田さんは、高額な更新料を請求されて知人の紹介で組合に加入した。

 知人も借地人で今年2月に地上げされたことから組合に加入し、地上げ業者と対応して希望する価格で底地を購入することができたことを説明して、組合への加入を勧めた。

 飯田さんは18坪の借地権付の建物を40年前に購入し、クリーニング業を営んできた。前回の更新時は坪当たり5万円の更新料だったが、今回は坪15万円の請求で、あらかじめ考えていた金額を大幅に上回っていた。

 しかも円満に更新ができればと思い、近隣よりも高額な地代に応じてきたのに、地主は周辺の更新料請求額の2倍強の高額な請求をしてきた。

 飯田さんは、坪15万円の更新料の支払を断り、月々の地代を提供したが受領を拒否された。地主は「立退料を出すから明渡せ」と言ううので、それも断り、地代は供託すると伝えた。

 地主は、道路の角地にある飯田さんの建物が車の出入りの邪魔だと言う。飯田さんは、こんな無謀な話しには絶対に妥協しないと決意している。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月09日

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賃料増額請求権は5年で消滅時効になる
 判例紹介

賃料増額請求権が5年の消滅時効
により消滅したとされた事例

 賃料増額請求権が5年の消滅時効により消滅したとされた事例(判例タイムス535号274頁以下。名古屋地裁昭和59・5・15判決)

 (事案)
 本件土地の賃料は昭和45年4月1日当時1ヶ月当たり1万2000円であった。 賃貸人Xは右の賃料が不相当になったとして、昭和48年12月13日到達の内容証明郵便をもって、翌年1月1日以降の地代を・3.3平方メートル当り500円に増額するとの増額請求をしたが、賃借人Yがこれに応じなかった。

 そこで、Xは昭和52年5月に賃料増額の調停を申立てた。その後、調停は不調となり、本訴を提起し、昭和56年8月1日以降の賃料を3.3平方メートル当り1200円に増額する意思表示をした。

 この訴訟で、Xは昭和49年1月1日以降の賃料が3.3平方メートル当り月額500円であることの確認をも求めていた。  

 これに対しYは、昭和49年1月1日以降の増額請求のうち、訴状送達の日である昭和56年7月31日までに5年を経過した分については民法169条により時効で消滅したと主張して争った事案。Xの請求を一部却下。

 (判旨)
 Xが最初に本件土地の賃料増額の意思表示をしたのは昭和48年12月13日である。月単位の賃料債権は5年間行使しないことによって時効消滅するから、Yの右時効援用によって本訴提起(昭和56年7月14日)に5年以上隔たる賃料債権差額分は消滅したことになる。

 したがって、Xはこれをもはや請求し得ないのであるから、その金額を確定する利益がなく、則ちこの部分は訴えの利益を欠いて却下を免れないこととなる。

 Xが主張する、賃料額が判決によって確定されるまで消滅時効は進行しないとの立論は、一旦賃貸人が増額請求をすればその後どれ程放置しても訴提起に至るまで時効期間は進行しないという結果を招くに等しく、採用できない。

 Xは、X申立の賃料増額調停中にYが多少の増額には応じる旨の債務の承認をしたから時効は中断したとも主張するが、右調停はXの主張によれば不調に終わったというのであるから、民事調停法第一九条の趣旨に則り、その後に訴の提起がなかった本件にあってはこれに時効中断の効果を認めることはできない。

 (寸評)
 判旨は当然のことである。この判決の後に、平成10年8月31日東京地裁の判決で、本判決と全く逆のものがあったことは、本紙で既に紹介した。 長期間にわたり供託している組合員が結構多いことを見ると、本件と同様に、相当以前の地代の増額請求を受けることがあると思われるので、参考のために紹介した。
                     (弁護士 田中 英雄)

東京借地借家人新聞より


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2006年06月08日

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消費者契約法 3
 (3)解約後賃料の5倍の損害金を払うなど
            借家人に不利益になる約定は無効

 不退去・監禁

 消費者契約法は、自宅を訪れた事業者に対し退去を求めたのに退去しないで契約をさせられた場合(不退去型契約)や事業者の事務所などに呼ばれた消費者が帰りたがっているのに帰してもらえないまま契約をさせられた場合(監禁型契約)、その契約を取消すことができると定めています。借地借家のケースを想定すると、

 (例3)明渡し約束

 借家契約の更新期に家主が自宅にやってきて、今回は更新するが次回には更新しないのでそのことを契約書に書き入れてくれ、書かないのであれば更新しないと要求。借家人は、よく考えて返事するから帰ってくれと答えるが、家主は、今了解しないのなら更新はしないと迫り、困り果てて家主の言とおりに契約書に印を押してしまった。これは、不退去型の困惑契約になるので、借家人は取消すことができる。
 以上ですが、消費者契約で取消せる契約をまとめると、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知により消費者が誤認した場合、不退去、監禁により消費者が困惑した場合ということになります。

 事業者の代理人

 消費者に誤認をさせる、困惑させることは事業者本人でなくともできます。事業者から契約の委託を受けた者あるいは代理人となった者が同じことをすれば、消費者は、事業者が行ったのと同様に契約を取消すことができます。借地借家の場合は、不動産仲介業者が地主、家主の代理人となることが多いですが、事業者と同じと扱われることになります。

 取消権行使の期限

 消費者に契約の取消権がある場合、権利行使には時間の制限があります。不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知の場合は消費者が誤認したことに気付いたときから、不退去、監禁の場合は不退去、監禁が終わったときから、6か月以内に取消さなければなりません。また、契約してから5年経つと無条件に取消すことができなくなります。

 契約条項無効

 消費者契約法は、消費者に不当な不利益を与える契約条項は無効である旨定めています。たとえば、借家契約書に、賃貸借契約解除後立ち退くまでの間、契約家賃の5倍の損害金を支払うことが明記されていたとします。このような損害金条項については、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものは、超える部分については無効」とされます。何が平均的な損害の額かは明白ではありませんが、新規に賃貸すれば得られるであろう賃料額と考えればいいと思います。また、賃料滞納した場合、滞納賃料に年20%の遅延利息を付すという条項があったとすると、消費者契約法では上限を4.6%としていますので、これを超える部分は無効となります。
(弁護士 川名照美)

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2006年06月07日

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消費者契約法 2
 (2)事実と異なることを告げられた賃料
          値上げや更新料の支払約束は取消せる
 消費者の取消権

 消費者契約をする場合、事業者は、�@重要事項について事実と異なることを告げたり(不実告知)、�A将来の価額、金額、価値の変動が不確実な事項について、断定的な言い方をして(断定的判断の提供)契約をすることができません。また、事業者は、�Bある重要事項やそれに関連する事項について、消費者の利益となることだけを強調し不利益になることを隠して(不利益事実の不告知)契約することができません。 取引社会ではあの手この手の方便を使って、事業者は契約を勧誘します。事業者は、消費者に比べれば、売りつける物品、サービスあるいは契約内容について、圧倒的な情報を握っています。情報量の格差をこれ幸いに消費者をだますような契約は不公正です。消費者契約法は、前記の3点のようなことがあった場合、消費者にあとから契約を取り消す権利を与えました。

 借地借家契約の場合

 消費者契約法は、平成13年4月1日からの施行ですから、この法律が適用されるのは、4月1日以降の契約に限られます。しかし、それ以前からの借地人、借家人は、この法律を使えないのかといえば、そうではありません。当初の借地借家契約が平成13年4月1日以前であっても、その借地借家契約に付随して、例えば、地代家賃の値上に関する契約、更新料支払に関する契約、一時立退再入居に関する契約、立退に関する契約、借地建物増改築に関する契約、更新に関する契約など、当事者間で取り交わす合意事項があります。これらの付随的合意は、その一つ一つが消費者契約となり得る別個の契約であり、既存の借地借家であっても、平成13年4月1日以降になされるこれらの契約(合意)には適用されます。

 (例1)賃料値上問題

 地主・家主が今年は税金が上がったので賃料を上げてくれといってきた。借地借家人は止むを得ないと思って値上に応じたが、実は税金は上がっていなかった。賃料増額契約について公租公課額の増減は重要事項なので、この点で事実と異なることを告げられて増額を承諾した借地借家人は、増額合意を取消すことができる。

 (例2)借地更新料支払問題

 更新料支払約束のない借地契約なのに地主は更新料を要求した。その理由として、法律でも支払うことになっているし、自分の貸地の借地人は全員が払っていると説明した。借地人は、しぶしぶ更新料を払うと約束してしまったが、地主の借地人の中には払っていない人も数人いたことがわかった。この場合、支払約束のない更新料について支払義務があるという法律はないし、他の借地人全員が支払っているということも事実と異なっており、いずれも重要事項と言えるので、この借地人は、更新料支払約束を取消すことができる。 借地借家人が取り消せる契約のあり方は、もう一つあります。



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2006年06月05日

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消費者契約法 1
(1)費者契約法の消費者とは借家人で
建物を住居として利用する個人
 2001年4月1日から消費者契約法が施行されています。
 「消費者」と「事業者」

 この法律で最も特徴がある点は、「事業者」と「消費者」の定義です。「事業者」とは、�@「法人その他の団体」、�A「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」です。それ以外の個人はすべて「消費者」です。「事業」とは、一定の目的をもった同種の行為がくり返し行われるものであり、営利目的の有無は問いません。この定義は非常に広いもので、国も「事業者」になりえます。
 消費者と事業者の間でなされる契約を「消費者契約」といいます。この「消費者契約」というのは、個別の売買契約、工事請負契約とは別の次元になり、個別の契約の上に消費者契約という網をかぶせるものです。

 借地借家人は「消費者」

 借地借家契約と消費者契約の関係は次ぎのようになります。
 (例1)個人の家主と個人の借家人が住居目的で借家契約をした場合、家主は事業として貸家契約をするので「事業者」になります。借家人は、個人で、しかも事業のための借家契約ではないので、「消費者」になります。この借家契約は「消費者契約」です。

 (例2)個人の家主と個人の借家人が店舗目的で借家契約をした場合、借家人は、個人ですが店舗営業という事業のために借家契約をするので「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。

 (例3)個人の家主と会社名義で住居として借家契約をした借家人は、たとえ住居目的であっても、契約の当事者が個人でなく会社名義なので、「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。

 では、借地借家契約が「消費者契約」である場合、借地借家人はどんな権利行使ができるのか?

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2006年06月03日

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借地法定更新で更新料支払いの慣習は認められないとした事例
判例紹介

 土地賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められないとした事例(平成14年1月24日、東京地方裁判所民事第45部判決。未掲載)


(事案)
 Xは、東京都墨田区内に土地428.08平方メートルを所有し、これをYに建物所有の目的で賃貸していた。

 右契約が平成12年10月31日の経過により満了するため、Xはその10ヶ月前に期間満了の通知をした。

 YはXに対し、契約更新の希望と更新の際の条件の提示を要請した。

 Xは堅固建物の存在を前提として、契約期間を30年とする場合の更新料を2040万9963円(1平方メートル当たり4万9125円)と提示。

 合意に達しないまま、平成12年11月1日、法定更新となり、XはYに対し、賃貸借契約の更新に当たっては、合意更新であると法定更新であるとを問わず、更新料の支払いが条件になることは、現在では社会的な慣習となっていると主張して、更新料2040万9963円等の支払を求めた事案。Xの請求棄却。


(判旨)
 「YがXに対して本件賃貸借契約更新の条件の提示を要請したのは、YがXの条件の提示を見て、これに応じるかどうかを検討しようとしたものであって、更新料の支払義務を認めたものということはできない。……また、賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められない」


(寸評)
 法定更新の場合に、更新料支払の義務があるとする慣習はないとするのが判例の立場であることは、周知のこと。それにもかかわらず、依然として、更新料請求の訴訟が提起されるのは、更新料の支払拒絶を明言せずに、条件交渉をする賃借人が多いことをあらわしている。更新料交渉について注意を喚起するために紹介した。

(弁護士 田中英雄)

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2006年06月02日

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借地の更新料の支払い拒否

地主に 更新料の支払いを断り、

          拒否された地代の供託を通知


 大田区新蒲田3丁目所在の宅地39坪を賃借中の中本さんの契約期間満了は平成14年の6月。また、同一地主から賃借人の荒井さんも宅地50坪の期限は同年10月であった。

 地主より不動産業者を差し向けるとの連絡があり、やっと平成17年になって業者と話し合いとなった。業者は地主より伝えられていた、坪5万円の更新料に固守し交渉は決裂した。

 しかし、地主は請求額の更新料を3月末日までに、持参せよとの書面により催促してきた。

 組合と相談し、中本・荒井の両氏は、平成16年12月分までの持参した地代が受領されていることから、既に借地契約が法定更新されていると説明された。更新料の支払い義務は法律上の規定にはなく、更新料支払いの商習慣も最高裁が否定していることも説明された。

 そこで、組合は、地主に対して借地人らは更新料の支払いに応じないことと、拒否された地代を供託する旨を内容証明郵便にて通