はとおじさんの責任 ―オリーブニュース―
我家の近くの公園には、「はとおじさん」と呼ばれる人物がいる。名前のとおり「は
とおじさん」は、毎日、夕方近くになると鳩に餌をやりにくる年配の男性のことであ
る。そのため、その公園の周りには、常時鳩が2〜30羽いる。公園に隣接するお宅
の屋根は、鳩のフンで真っ白くなってしまい、公園の遊具のあちらこちらにも、鳩の
フンがついている。

しかし、それだけでは済まない。鳩はおじさんが公園にやってくる時間まで、公園の
前の電線に群れをなして止まっている。公園の間口は10m足らず。その短い距離の電
線に、2〜30羽の鳩が止まっているのだ。電線の下には、歩道があるのだが、その
歩道は、公園の前だけフンで真っ白になってしまっている。つまり、鳩がそこに止ま
っている時間は、フンが雨のように降って来る。時間は丁度小学生が下校したり、近
所の主婦が買い物に出掛ける時間帯にあたる。我家の子ども達も含めて、そこで鳩の
フンの襲撃にあった子ども達は少なくない。

そのため、その時間になると。下校途中の小学生も、近所の主婦達もみな、公園の前
だけ車道を歩くことになる。その公園は、ローカル線の駅からすぐのところにあるの
で、夕方近くになると、人だけではなく車の交通量も多くなる。そのために、歩道に
もガードレールが着けてある。しかし、ガードレールのついたきちんとした歩道があ
りながら、車道を通らざるをえないのだ。

ある時、その歩道を通って公園から表に出ようとした子供が、歩道を走りぬけて、車
道に飛び出した。そこへ丁度車がとおりかかり、もう少しで事故になりそうな場面に
遭遇した。たまたま、その子が知り合いの子だったので、飛び出したら危険だからだ
めだよ、と話しをすると。「だって、ここいつフンが落ちてくるか解らないんだも
ん」と言い返された。その子には、厳重に注意をしたが、そのこの気持ちも理解でき
る。

その公園は、我家からすると隣りの学区にあたるので、保護者の方々が何か対策をし
ていらっしゃるのか分からないが。はとおじさんはかなりまえから餌をやりつづけて
いることを考えると、今のところ大きな事故が起きていないので、特に対策はしてい
ないのかもしれない。しかし、このはとおじさんのようなケースは、きっと全国のい
ろいろな場所で起きている問題だと思う。対象は、鳩であったり猫であったりするか
もしれない。

鳩やのら猫に餌をやるという事は、半分は放し飼いにしているのと同じ事である。い
かに、好意で餌をやっているだけだといっても、飼い主としての責任を果たせないの
だとしたら、即刻餌やり行為は止めるべきではないだろうか。ましてや、今。鳥イン
フルエンザの問題が浮上している。生きた鶏やそのフンなどに触れたことで人に感染
するのではないか、と言われている。

まだ、なぜ日本で発症したのかなどの、感染経路が特定できていないが、一説では渡
り鳥などが媒介したのではないかともいわれている。だとしたら、鳩のフンでも媒介
になるかもしれないのだ。幼稚園などでは、ペットとして飼われていた鳥を処分する
ところも出てきている。飼っていたものをいきなり処分するというのも、飼い主とし
て無責任だと思うが、餌だけを与える行為にも、飼い主としての自覚と責任を持つべ
きだと私は思う。