Week End Race Rd.5@新東京サーキット レポート
10月11日、新東京サーキットにてWeekEndRace Rd.5が行なわれた。

午後から雨という予報を受けて、雨用の装備を携え垂れ込めた雲をかいくぐ
るようにして、サーキットへ向う。気温も20度を下回りかなり肌寒く感じ
た。

娘にとって、今回は大人の人と一緒のレースをはじめて丁度一年という区切
りのレースとなる。前回のレースでは、公式練習でトップタイムを出し、上
位を狙えるはずであったにも係わらず、練習不足からタイムアタックできち
んと結果を出すことが出来なかった。その結果、一番混戦する中盤の順位か
らのレースとなり、アクシデントに2回も巻きこまれてしまった。

その教訓を今回のレースに生かし、是非目標である「ドライコンディション
で、出走台数の半分より上の順位または入賞」を達成すべく練習に取り組ん
だ。そこでセッティングの見直しを行ない、ペダルポジションを変えた。娘
も自分の走りの見直しをはかり、苦手としていたコーナーの克服やラインの
変更を試みた。また、自分よりタイムが遅い車を、いかに安全にスムーズに
抜くことが出来るかということも重点的に練習をしたのだ。

その結果、練習毎にタイムの更新をし、前回の優勝者のタイムとほぼ同じレ
ベルまで上げることに成功したのだ。周囲の高まる期待感と、自分自身への
プレッシャーに、かなり緊張していたようだったが、レース当日を娘はすが
すがしい顔をしていた。多分、やれるだけのことはやったという思いが娘の
中にあったのだと思う。

今回のSクラスのエントリは18台。すぐ隣のPITには、練習のときからど
うしても追いつけなかった子がいる。前回までのレースとは、少し顔ぶれが
変わった今回のレースでは、走って見ないと周りのレベルを把握することが
出来ず、メカニックである夫も何やら落ち付かない感じだった。

午前9時 公式練習開始
「先週までの練習通りの走りをすれば大丈夫だから、落ち付いてね」そう娘
に話して公式練習に送り出す。4台目にコースインした娘は、少し走りが固
い気がしたが、練習でのベストタイムで周回し、2〜3番手につけるタイム
を出していた。「良い感じじゃない!」思わずチームメイトから掛けられた声
に会釈で応えるが、内心はドキドキしていた。(このまま行ったら表彰台に載
れるかも?)そう考えただけで、身が固くなってしまうような気がした。

午前10時 タイムトライアル開始
前回のレースで、前の車にブロックされた形になり、思うようにタイムを出
すことが出来なかった教訓を活かして、今回は列の一番前にカートを運んで
そこからスタートさせることにする。すぐ前には、現在トップタイムを出し
ている子のカートがある。上手くその子に付いていけば、娘のタイム更新も
期待できた。しかし実際に走り始めると、それまで差していた薄日が雲に隠
れ、風も強くなって急に気温が下がり始めた。カートは、気温の変化でも路
面やキャブの調子が変わるので、走りながらドライバーが調整する必要が出
てくる。娘も、必死にキャブの調整をしながら走っているが、なかなか上手
く合わせることが出来ないらしい。しかも、今回のタイムトライアルでは、
殆ど単独走行でトライアルをすることになってしまった。少しでも早いカー
トが前を走っていたり、後から追いかけられたりする状況になると、自然と
タイムが上がるのだが、具体的に比較する対象が無い状態では、なかなかタ
イムが上がりにくいのだ。
結局、公式練習でのベストタイムを出すことが出来ず、8位で予選を走るこ
とになった。

午前11時 予選第1ヒート開始
レース前に、今回のレースではトップにかなり近いポジションが確保出きる
のではないかという期待があり、ドライバーの娘も、メカニックの夫もかな
り緊張していたのだが、8位といういつもと余り変わらないグリッドからの
スタートになり、それまでの緊張が良い意味で解けたような感じだった。混
戦が予想される順位ではあったが、公式練習などでのタイムから行くと、上
手くすればそこから抜けられる可能性は充分ある。「とにかく巻きこまれない
ように気をつけるよ」そう娘は私に言うと、カートをスタートさせた。

スタート直後、やはり1コーナーはかなり混戦していた。娘はコントロール
ライン通過直後コースのど真ん中にカートを進め、なるべくクリアに進める
道を慎重に選んで走っていったために、少し順位を下げてしまう。しかし、
慎重にかつ大胆に、前のカートを一台づつ抜いていく。大きなアクシデント
も起こらなかったので、9位までポジションを回復したところでフィニッシ
ュになる。

午後12時50分 予選第2ヒート開始
一つ順位を下げてのスタートではあったが、今回も第1ヒートと同じように
慎重にスタートを切って行く。今回は、余りに慎重になり過ぎて、スタート
直後に13位まで順位を落としてしまった。しかし、それでも娘は一台一台
確実に抜いて順位を回復していく。元々の順位の辺りまで回復してくると、
さすがにタイムが接近しているせいか、相手も簡単に抜かせてはくれずバト
ルになる。コーナーで少しづつ距離を詰めて、ストレートで並びかけるほど
にはなるが、3台で入り乱れた状態なのでなかなか抜くことが出来ない。

6位グループのトップの後にピッタリと他の車がついていて、娘がうまくつ
くことが出来ない。仕方なく、ストレートで早めに前の車の隣りに並び、1
コーナーの進入でインを取る。ラインがキツクなるので、下手をするとその
ままアウトに出てしまうのだが、娘はなかなかの踏ん張りを見せ、コーナー
出口で相手の前をうまく押さえることに成功する。残り2周で、今度は6位
の車にアタックをしかける。しかし、娘と7位の車が競り合っていた時に、
少し逃げらる隙を与えてしまったため、あとカート1台分及ばずにフィニッシ
ュすることになった。

午後1時50分 Sクラス決勝スタート
今回も慎重にスタートした娘は、順位を少し落としてしまう。しかしレース
中盤に3コーナーでクラッシュ発生。運良くその直後にそこを通りかかった
娘は、少しだけぶつかられたものの上手くこらえ、8位まで順位を回復する
ことに成功する。また6位争いのグループを捕らえた。またもや3台で息を
呑むバトルが始まった。どのカートも殆どタイム差は無いように見える。コ
ーナーで前のカートと並びかけるのだが、なかなか簡単には抜かせてくれな
い。そこでまた、ストレートで勝負を掛ける。前のカートも後に付かせない
ように、微妙なラインを取ってくる。そこでまた、コントロールライン手前
から、カートを横に並べる。相手も負けじと張り合ってくるが、どうにかセ
競り勝ち、娘が順位を一つ上げた。PIT前でその様子を見つめているチー
ムメイトから、歓声が上がる。

2コーナー、3コーナーも丁寧にこなし、ピッタリと前のカートについて行
く娘。少し前まで4コーナー出口が苦手だったのだが、ここの所の練習でラ
インの変更をしロスを無くして来たせいか、前のカートを突っついて行きそ
うな勢いでピッタリと追走していく。そして、集団が最終コーナーを立ち上
がってストレートに差しかかった時、娘はまた勝負に出た。ストレートエン
ドでカートを並べ、スット前に出たのだ!「やった、6位だ!」思わず私も
声を上げてしまった。その時点で、少し前に5位のカートが見えていた。今
抜いたばかりのカートからの追撃をかわしながら、少しでも前へと走らせる
が追い付くまでには至らず、そのまま6位でチェッカーを受けることになっ
た。

娘は、ずっと目標にして来た、ドライコンディションでの6位入賞を達成で
きてとても嬉しそうだった。PITに戻ると、チームメイトの皆が「頑張っ
たね!」と声を掛けてくれた。娘の師匠であるショップのお兄さんも掛けつ
けて「よくやったな!」とニッコリ笑いながら娘と握手をしていた。

それにしても今回のレースは、前回と違ってレベルが高かった。路面状態が
良かったこともあるのだが、優勝タイムが、前回のものよりも0.5秒も上回
り、今までのレースのように、大きなアクシデントが起こることも殆どなか
ったのだ。それだけに、落とした順位を回復していくのはかなり大変だった
だろうと思う。その中で、6位に入賞で来たことは、娘にとっても、娘を送
り出すメカニックの夫にとっても、大きな前進であるといえると思う。