2003 10/20 17:37
Category : 日記
私がその少女と出会ったのは、もう7年近く前のことだった。彼女は、娘が転入した
さきの保育園のクラスメートだった。見るからに賢そうで、はっきりとした美しい顔
立ち、運動神経が良さそうな軽やかな身のこなし。どれを取っても文句良いようが無
いといったかわいい少女だったのだが、「こんにちは」といって笑った彼女の笑顔
に、私は言い様のない陰があるのを感じていた。何やら、可愛く笑う彼女の後ろで、
真っ黒い陰が「ニヤッ」と笑ったように感じたのだ。
その予感は、それからしばらくして的中した。娘は、おっとりしてどん臭い所があ
る。田舎の幼稚園ではそれほど目立つ事はなかったのだが、転入先の都会の保育園で
は今までいないタイプで、珍しさからクラスの子が皆娘と遊んでくれた。だがそのこ
とが、彼女の機嫌を損ねてしまった。彼女には、娘のことがうさんくさく感じたのだ
ろう。
ほど無く娘は彼女からいじめを受け始めた。最初は子ども同志のトラブルだからと見
守っていたが、小学校に上がっても収まることは無かった。彼女の母親に言うべきか
悩んだが、噂で却っていじめが水面下になり酷くなってしまったという話を聞き。彼
女の母親に言ってもなにも解決は見ないだろうと容易に想像できた。そこで私は、娘
の考え方を変える事にした。学校とは全く違う環境の友達を沢山作れるようにした
も。しかし、事はそう簡単には進むはずがなかった。娘と私の壮絶な闘いの日々は、
娘が高学年になってもまだ続いていた。私は根気強く娘と話し合い、娘も一つ一つ解
決していった。
そんなある日、例の彼女と仲良しのA子と一緒に班を組んで社会科見学に行くことに
なった。その子も娘のいじめに荷担していた。心配した私が娘に事情を聞くと、娘は
「A子ちゃんが私を嫌いなことは分かってる。A子ちゃんが嫌な顔をした時、他の子が
嫌な気分になるでしょ?それが1番いやなんだけど、取り敢えずおもむろに嫌な顔す
るのだけは我慢してるから、私も気にしないことにしたの。だって、誰にでも好かれ
るなんて無理なことだもん。だから大丈夫だよ」といって笑った。娘は、いじめられ
ることから、自分の気持ちを上手くそらすように上手く対処出来るように成長してい
た。そしていつの間にか、いじめも消滅していった。
そして昨日、久しぶりに例の彼女の話しを聞く機会があった。彼女にいじめられてい
た子は何人もいて、大概の場合彼女の母親に話してもなんの解決も見なかったらし
い。担任の先生に相談しても、彼女は成績の良い生徒で問題はないと取り合ってもら
えなかった人もいた。
その場にいた皆が、自分だけではなかったことを知って驚いていた。その話しを聞い
ていた私は、長崎の12歳の少年を思い出した。彼には発育障害があり、なにか起こる
といきなり切れてしまうことも多々合ったという。そのことについて、母親だけでは
なく、先生や地域の人も皆感じていたのだが、彼の成績が良かった事もあり、それぞ
れが疑問を抱きながら断片的な情報を持ち、それを持ち寄ることが無かったために、
彼の異常性についてしっかりと認識できなかったのだ。
彼女の場合は、それほどの異常性を持っている訳ではなく大事には至らなかったが、
一歩間違っていたらなにか事件が起きていたかもしれない。他人のうちのお子さんに
ついてあれこれ言うのは気が引けるが、勇気を持って誰かに相談するなど情報交換や
アクションを起さなければいけないのかもしれない。これからは、親だけではなく地
域で子ども達を見つめる目を大事にしていく必要があると実感した出来事だった。
さきの保育園のクラスメートだった。見るからに賢そうで、はっきりとした美しい顔
立ち、運動神経が良さそうな軽やかな身のこなし。どれを取っても文句良いようが無
いといったかわいい少女だったのだが、「こんにちは」といって笑った彼女の笑顔
に、私は言い様のない陰があるのを感じていた。何やら、可愛く笑う彼女の後ろで、
真っ黒い陰が「ニヤッ」と笑ったように感じたのだ。
その予感は、それからしばらくして的中した。娘は、おっとりしてどん臭い所があ
る。田舎の幼稚園ではそれほど目立つ事はなかったのだが、転入先の都会の保育園で
は今までいないタイプで、珍しさからクラスの子が皆娘と遊んでくれた。だがそのこ
とが、彼女の機嫌を損ねてしまった。彼女には、娘のことがうさんくさく感じたのだ
ろう。
ほど無く娘は彼女からいじめを受け始めた。最初は子ども同志のトラブルだからと見
守っていたが、小学校に上がっても収まることは無かった。彼女の母親に言うべきか
悩んだが、噂で却っていじめが水面下になり酷くなってしまったという話を聞き。彼
女の母親に言ってもなにも解決は見ないだろうと容易に想像できた。そこで私は、娘
の考え方を変える事にした。学校とは全く違う環境の友達を沢山作れるようにした
も。しかし、事はそう簡単には進むはずがなかった。娘と私の壮絶な闘いの日々は、
娘が高学年になってもまだ続いていた。私は根気強く娘と話し合い、娘も一つ一つ解
決していった。
そんなある日、例の彼女と仲良しのA子と一緒に班を組んで社会科見学に行くことに
なった。その子も娘のいじめに荷担していた。心配した私が娘に事情を聞くと、娘は
「A子ちゃんが私を嫌いなことは分かってる。A子ちゃんが嫌な顔をした時、他の子が
嫌な気分になるでしょ?それが1番いやなんだけど、取り敢えずおもむろに嫌な顔す
るのだけは我慢してるから、私も気にしないことにしたの。だって、誰にでも好かれ
るなんて無理なことだもん。だから大丈夫だよ」といって笑った。娘は、いじめられ
ることから、自分の気持ちを上手くそらすように上手く対処出来るように成長してい
た。そしていつの間にか、いじめも消滅していった。
そして昨日、久しぶりに例の彼女の話しを聞く機会があった。彼女にいじめられてい
た子は何人もいて、大概の場合彼女の母親に話してもなんの解決も見なかったらし
い。担任の先生に相談しても、彼女は成績の良い生徒で問題はないと取り合ってもら
えなかった人もいた。
その場にいた皆が、自分だけではなかったことを知って驚いていた。その話しを聞い
ていた私は、長崎の12歳の少年を思い出した。彼には発育障害があり、なにか起こる
といきなり切れてしまうことも多々合ったという。そのことについて、母親だけでは
なく、先生や地域の人も皆感じていたのだが、彼の成績が良かった事もあり、それぞ
れが疑問を抱きながら断片的な情報を持ち、それを持ち寄ることが無かったために、
彼の異常性についてしっかりと認識できなかったのだ。
彼女の場合は、それほどの異常性を持っている訳ではなく大事には至らなかったが、
一歩間違っていたらなにか事件が起きていたかもしれない。他人のうちのお子さんに
ついてあれこれ言うのは気が引けるが、勇気を持って誰かに相談するなど情報交換や
アクションを起さなければいけないのかもしれない。これからは、親だけではなく地
域で子ども達を見つめる目を大事にしていく必要があると実感した出来事だった。