キスをしたら、赤ちゃんができる?―メルマガ GENKI UP「性教育はじめの一歩」より―
もう10年近く前、娘が幼稚園の年中の時。家に帰って来た娘を着替えさせ
ようとしたら、お腹が見えるからどうしても嫌だと言って泣き出した。とり
あえず、話を聞いてみると…。
「キスをしたから、赤ちゃんが出来てお腹が大きくなるって…」と消え入り
そうな声で言った。事の真相はこうだった。前の日に同じクラスの男の子が
娘の事を好きだと言ってくれたのだと言う。もともとその子とは仲が良かっ
たので、「私も大好き」と答えたのだと言う。するとその子は「ありがとう」
と娘に言ってキスをしてくれたのだという。娘にしてみれば、大好きなディ
ズニービデオの王子様とお姫様みたいなつもりでキスをしたのだ。しかし、
それを見ていた子から今日、「キスなんかしたら、赤ちゃんが出来てお腹が大
きくなっちゃうんだぞ!」と言われたのだ。その後娘は、いつお腹が大きく
なってくるのか心配で、誰にも話せずにいたのだ。私は娘を抱きしめて「そ
んなこと絶対ないから大丈夫」と言った。

幼稚園のママ友にその話をすると、彼女もその噂を聞いたという。どうやら、
娘がキスをするところを見ていた男の子が、お母さんにその話をしたらしい。
その子のお母さんが「キスなんかしたら、赤ちゃんが出来てしまうから、し
てはいけない」と言った事が発端だった事がわかった。

キスをしても妊娠をする事はない。近頃ではキスにも余り抵抗がなくなって
来たが、事が起きたのは10年近く前。「幼稚園児がキスをした」という事に
面食らった母親が、とっさにそんな事を言ったのだ。しかし、なんの知識も
ない子どもにしてみれば、大人である親の言ったことは全て真実である。

子供に正しい知識や認識を与える事、これは親の義務だ。ところが、こと「性」
の事になるとついつい親は逃げ腰になってしまう。子どもの素朴な疑問に、自
然に素直に答えることから、性教育の一歩目は始まるのだ。