「待ちぼうけ」
<<インド>>--ヴァラナシ--


アグラ行きの夜行列車を、今や遅しと待つホームの光景。

我々が乗る予定の、夜行寝台列車は、夜の10時発の予定であるが、ホームの時計は10時を過ぎていても、一向に列車の来る気配は無い。

我々3人のメンバーの一人は、蒸し暑い熱気と悪臭のために、すっかり体調を崩してしまい、ベンチでぐったりとなり、時々吐き気を催す状況となってしまった。

右端の男達は、彼の吐く様子と彼の介抱をしているのである。

彼はマハラジャのレストランでの夕食の時から、気分が悪くなり、食事を摂らずに頑張っていたが、この時になって遂に最悪の状態になってしまった。

ホームの前方からは、爆発物などの危険物を感知する探知機を持った警官がやってくる。

インドでは、列車が遅れるのは当たり前で、私の従弟が10年前にインドを訪れた時は、チベット行きの列車が朝からずっと待っていて、遂にその日は来なかったという経験談を、この時思い出した。

この時ぐらい、日本の交通機関の正確さが、如何に優れているかと言う事を思い知らされた事は無い。

先進国イギリスのロンドンでさえ、列車の遅延が当たり前である事を、更に思い出していたものである。