2006年3月
2006年03月31日

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韓流・賃貸住宅保証金制度

 韓国ソウルの借家率は60%(全国では46%)と言われている。
 「チョンセ」(保証金)という賃貸制度がソウルでは賃貸住宅全体の70%を占めている。韓国独自の賃貸住宅制度で、住宅価格の50%〜80%に相当する高額の保証金を入居時に家主に一括払いする。ただし、月々の家賃は要らない。保証人も不要。契約期間は普通2年。契約期間が満了すれば保証金は借主に全額返金される。

家主はチョンセを自由に運用することが出来る。例えば株に投資したり、銀行に預けたりしてその運用益を収入とする。最近は銀行の利率が低下したので家主がチョンセを返還できなくなるトラブルが多発しているという。

 チョンセほど多額の金額を必要としないので、最近増えているのが月々の家賃を払う「ウォンセ」でチョンセほど保証金が必要でないので若い人はこの制度を使う。保証金は家賃の50倍位は必要である。ただしチョンセ同様、契約終了後は全額戻る。


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2006年03月30日

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定期借家制度
賄賂で成立した定期借家制度

『不動産業界の2億円余の賄賂で成立した定期借家制度』が導入されて5年になる。定期借家契約の普及率は僅か4.7%という国土交通省の調査結果がある。

 国土交通省は定期借家制度普及のため2001年4月一代限りの定期借家制度「終身賃貸借制度」を導入した。2002年7月施行の「都市再生関連法」によって供給される賃貸物件は総て定期借家契約が条件となっている。

一方東京都は2002年12月限定枠を取外して一般都営住宅全般(約6千戸)へ拡大し、公営住宅法を無視して定期借家制度を導入した。このように国と東京都は、民間住宅市場で受容れられていない定期借家制度を普及させようと御節介な努力をしている。

8千億円の需要があるという定期借家市場の為に不動産業界は、2006年の定借法見直しに向けて再び多額の政治献金攻勢をかけるのか。


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2006年03月29日

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店舗を明渡しは中止になる
    建物が売れず立退き撤回する


 10数年前から台東区浅草2丁目でスナックを営む北倉さんは、昨年12月に家主から建物を売却したいので今年6月の現契約の満了に伴い店舗を明渡して欲しいと通告をうけた。

 その後、同棟の3店舗と2階のアパートの居住者7世帯が次から次と明渡ししに応じ、最後に北倉さんだけが残り、心細く不安な日々を過ごした。

 3月に入り、日頃加入している民商の役員より、「借地借家人組合に加入して居住と営業の権利を守るために闘わなければ権利は護られない。」と進言され、台東借地借家人組合に加入した。

 その後、組合役員の立会いの下に家主代理人の不動産屋と何度となく交渉を重ねる内に、契約期限の6月を過ぎてしまった。最近にになって不動産屋は「景気が悪く建物が売れなくて、家主の気持ちが変わってしまた」と伝えてきた。

 結局、店舗を明渡しはご破算になり、更新料無し、家賃の値上げも無しで契約の更新をすることが出来た。無事従来通りに営業が続けられるようになり、北倉さんは「組合に加入してよかった」と痛感している。
家人新聞より


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2006年03月28日

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立退き交渉纏る
 明渡し交渉1年後に決着

 東浅草に10年前から店舗併用住宅を借りて皮革加工業を営む吉田さんは、昨年1月に2階に住む家主から突然、「土地・建物を売却するので速やかに退去してもらいたい。就いては多額の負債を抱えているので立退き料等の補償には一切応じられない」という通告を受けた。

 職業的には分業制のパーツ作業なので取引先は殆ど地域的に纏っており、他所に移り住めない。近所を探してみたが、現在の家賃より遥かに高い物ばかりで、引越しは無理である。

 そんな折、借地借家人組合があることを知り、訪ねてみた。組合の借家に関するの説明を受け、組合に加入することにした。居住の権利は借地借家法で護られているので、慌てて立ち退く必要がないことがよく解り、安心することが出来た。落ち着いて有利な条件が出るまでゆっくり交渉に臨めばいいことがよく理解出来た。

 その後1年が過ぎ、土地・建物の所有権が金融会社に移転していた。新所有者の代理人が来て「出来るだけの補償を考慮するので、近隣の代替物件に移転を考えて頂きたい」との申入れがあった。組合役員立会いの下で3度の交渉が行われた。

 その結果、移転先の入居費・内装費・差額家賃6年分を補償することで交渉は纏った。現在吉田さん以前より新しい店舗で忙しく仕事に励んでいる。


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2006年03月26日

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敷引特約は消費者契約法に違反し無効
「敷引き」は無効 神戸地裁が逆転判決

 関西地方などでマンション明け渡しの際、損傷の有無にかかわらず敷金(保証金)の一部を差し引く「敷引き」特約は無効として、神戸市中央区の男性(29)が東京都港区の不動産業者に約25万円の返還を求めた控訴審判決で、神戸地裁は20日までに、返還請求を棄却した神戸簡裁判決を取り消し、業者に全額返還を命じた。

 村岡泰行裁判長は「賃借人の利益を一方的に害し、消費者契約法により無効」と判断した。
 大阪の弁護士らでつくる「敷金問題研究会」によると、控訴審で敷引きが無効と認められたのは初めて。同研究会の増田尚弁護士は「敷引きに法的根拠はなく、制度そのものに疑問を投げ掛ける判決。関西の慣例というだけではもう通用しない。制度を見直す時期だ」と話している。(共同通信) - 7月20日12時48分更新

 2005年7月14日 神戸地裁の敷金返還裁判で借主が全面勝訴した。神戸地裁は敷金の全額を返還するよう不動産業者に命ずる判決を下した。敷引特約は「賃貸業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にある」として信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであると判断し、消費者契約法に違反し無効であると結論づけている。


 

   下記は2005年7月14日 神戸地裁の敷金返還裁判に対する敷金問題研究会のコメントです。

   敷引特約を消費者契約法10条により無効とした判決

 敷金問題研究会
                               共同代表 浦井裕樹
                               同    増田 尚



 神戸地裁(村岡泰行裁判長)は、平成17年7月14日、敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、賃借人からの敷引金の返還請求を棄却した1審判決を取り消し、賃貸人に対し25万円の返還を命じる判決を言い渡しました。

1 事案の概要
  賃借人(29歳男性、神戸市内在住)は、2003(平成15)年8月、神戸市中央区に所在するマンションの1室につき、家賃月5万6000円(共益費月6000円)、賃借期間2年との内容で賃借し、単身で、約7カ月間居住していました。
  この賃貸借契約には、保証金(敷金)として30万円を差し入れることになっていましたが、解約時には、いわゆる敷引として25万円を控除して、残余の5万円を返還するとの特約(敷引特約)が付けられていました。
  賃借人は、このような敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、保証金25万円あまりの返還を求める訴えを提起していました。

2 判決の概要
  判決は、敷引特約が消費者契約法10条に違反するかどうかについて、民法のない義務を負担させものであって、民法の適用による場合に比して、消費者の義務を加重する条項であると判断しました。
  また、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するかどうかについては、敷引特約は、「さまざまな要素を有するものが渾然一体となったもの」との立場(いわゆる渾然一体説)に立ち、以下のとおり、各要素について分析をすすめています。

�@賃貸借契約成立の謝礼(礼金)という要素については、「賃借人に一方的に負担を負わせるものであり、正当な理由を見いだすことはできない」。

�A自然損耗の修繕費用という要素については、「二重の負担を強いることになる」。

�B更新料免除の対価という要素については、「賃借人のみが…更新料を負担しなければならない正当な理由を見いだすことはできず、しかも、賃借人としては、賃貸借契約書が更新されるか否かにかかわらず、更新料免除の対価として敷引の負担を強いられるのであるから、不合理」。

�C空室損料という要素については、「賃借人が使用収益しない期間の空室の賃料を支払わなければならない理由はな」く、賃貸人が「自らの努力で新たな賃借人を見つけることによって回避すべき問題であ」る。

�D賃料を低額にすることの代償との要素については、「賃料の減額の程度が敷引金に早々するものであるかはどうかは判然と」せず、また、「賃貸期間の長短にかかわらず、敷引金として一定額を負担することに合理性があるとは思えない」。

  以上のような分析に基づき、
敷引特約は、
「賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にある」
と評して、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであると判断し、消費者契約法10条に違反し無効であると結論づけました。

3 本判決の評価
  本判決は、敷引特約について、消費者契約法違反を理由に無効であると判断したものであり、控訴審レベルの判断では初めてのものです。
  本判決は、敷引特約を構成するあらゆる要素について、その合理性を疑問視し、消費者の利益を害するものであると判断しており、敷引特約そのものの問題性を浮き彫りにしたものといえます。
  現在、大阪府では、「賃貸住宅の退去時における原状回復に関する防止方策研究会」において、原状回復問題への対応を協議しているところですが、敷引特約を無効とした本判決を踏まえて、敷引特約による「尻抜け」を許さないよう、トータルな措置をとることを期待しています。
 また、不動産業界に対しても、敷引特約の見直しの検討を求めます。


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2006年03月25日

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地主が更新料を要求
地主に借地契約の更新請求を通知した

 台東区元浅草で永年豆腐店を営みむ関口さんは13坪を借地している。先月末に3軒先に住む地主に地代を持参した折り、突然地主から「来月10日に契約が満了になる。契約を更新するのであれば更新料として500万円支払って頂きたい」と言われ、慌ててしまった。家に帰り、家族と更新料について話し合った。だが昨今の景気動向では、とても高額な更新料を支払うことは出来ない。

 困り果て、近所の人から借地借家人組合があることを知り早速組合に加入した。組合の説明で、関口さんの借地契約書には「更新料支払特約」が書き込まれていない。このように更新料の支払い約束の無い場合は、法律的に更新料の支払義務がないことは判例上確定している。従って更新料を支払わなくても何ら問題がないし、借地の更新も問題なく出来るという説明であった。

 後日組合の指導により、借地法4条に基づいた「借地契約の更新請求」を地主に内容証明郵便で通知した。借地法4条は借地権が消滅した場合でも借地人からの請求によって一方的に更新を認め、地主は原則としてこれを拒めない。借地契約は地主と合意しなくても前の契約と同一条件の借地権が設定されたものとみなされ、借地契約は法定される。

 「次回、地主宅に地代を持参する時は地主に更新料は法定されていないし、判例上も支払義務がないことは確定していることを説明し、更新料支払い拒否の意思を明確に伝える積りである。今ままでは地主の要求に言われるままに応じて来た。これからは借地法を勉強して根拠の無い要求には一切応じない決心を固めた。これからは組合とともに頑張りたい」と語った。



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2006年03月24日

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理由の無い建物明渡請求

近隣の空地が妙に目立ってきていた矢先であった。


 松本さんは、夫婦2人で約20年の借家住いだ。台東区三の輪で5坪の平屋の建物を月額35000円の家賃で借りている。

 平成11年12月末、安穏な暮らしは唐突な一通の配達証明付内容証明郵便により揺り動かされた。

「平成12年6月末日をもって建物賃貸借契約を解約します。…」という家主の代理人の弁護士からの明渡請求であった。近隣の空地が妙に目立ってきていた矢先であった。

 組合に相談、入会。家主に対する対応策の説明を受け、埼玉県の家主へ現金書留郵便で家賃を送り、反応を観ることにした。

 予想通り1月中旬に家賃受取り拒否の文面と共に家賃が送り返されて来た。即日、東京法務局へ弁済供託をしたのは勿論のことである。その後も供託を続けた。

 平成14年1月、家主の代理人の弁護士から再度建物明渡通告書が送られて来た。「自己使用に基づき明渡しを求めたところ、貴殿はそれを拒否し、家賃を供託して使用を継続しております。しかし、この敷地地代は平成13年7月から20%弱増額され、貴殿に賃貸していたのでは土地の有効利用はできず、私にとっては損失が大きくなるばかりです。 よって、私は、再度、賃貸借の解約を申し入れますから、本書到達の日より6か月後、建物を明渡すよう通告します。」

 松本さんから上記の建物明渡通告書のコピーが送られて来た。組合が調べた所では、固定資産税・都市計画税共に下がり続けているので地代が値上がりする理由は考えられない。また、家主は借地人ではなく、土地・建物は家主名義である。従って、「敷地地代は平成13年7月から20%弱増額され」という事は有り得ない。理由のない建物明渡通告書は無視することにした。

 2年後、家主側は建物明渡の調停を申立てきた。
 結果的に、調停は家主側が建物明渡を撤回することで終了した。根拠の脆弱な建物明渡請求は認められないという常識が調停の場で確認された意味は重要である。


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2006年03月23日

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「敷金・礼金不要」? 
マンション:短期滞在型の中途解約トラブル増える
       「敷金・礼金不要」?よく確認を

「システム権利金」って何?


敷金・礼金なしで部屋を月単位、週単位で貸すいわゆる「短期滞在型マンション」で、中途解約時の返金をめぐるトラブルが増えている。前払いの料金に含まれる権利金・保証金の扱いがあいまいなことが原因だ。

国民生活センターや東京都消費生活総合センターには最近、「契約期間前に解約したが、残金を返してくれない」「契約前に入金してキャンセルしたところ、大部分が返金されない」という相談が相次いでいる。

相談の対象は「ウィークリー」「マンスリー」の名前で全国展開する大手業者。都消費生活総合センターによると、この業者は契約時に短期利用システムを使うための「システム権利金」を部屋代と合わせて請求し、中途解約の場合は権利金の部分を返金せず、部屋代のみを返す精算方法をとっている。

同センターが主な5業者を調べると、この大手業者の精算方法がとりわけ複雑で、契約時に解約条件や返還金額について十分な説明をしていないケースがあった。このため、同センターが仲裁に入って未利用分の返還を求めた。この業者は「十分説明したつもりだったが、中には納得いただけなかったケースもあったようだ。今後は誤解のない契約を結びたい」(同社賃貸事業本部)と残額を返金した。

同センターの法律アドバイザーで消費者問題に詳しい弁護士の高見沢重昭さんによると、消費者契約法に照らせば、中途解約に際して客側に一方的な損害を与えかねない契約条項は無効と判断されることがある。また、返金についての説明が不十分な場合も、重要事項の説明義務違反にあたり、契約を取り消すことが可能という。

高見沢さんは「敷金・礼金不要という宣伝をうのみにせず、契約時に中途解約条件をよく確認することが大切」とアドバイスする。短期滞在型マンションは全国に約10万室あると見られる。宿泊施設か賃貸住宅かの法律上の線引きがあいまいで、業界の統一ルールもない。強引な契約を結ぶ一部業者が問題化している。

                 毎日新聞 2004年4月2日 東京朝刊


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2006年03月22日

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地上げ屋が旧家主の明渡要請書面を使って立退きを強要


 戦後より浅草の鳥越に住み、子供達の養育を終えた深田さん。今は一人暮らしで和裁仕立てとタバコの販売を行っている。

先日、第*開発の社員と称する者が突然現れた。「建物を売却したので新家主の要求に宜しく対応してほしい」という旧家主の署名捺印つきの書面を提示し、近日中に現存家屋を壊してマンションを新築するので「できるだけ早い期日に家屋を明渡して欲しい」と宣告された。

 50年来の近隣の知人に囲まれて、楽しく平穏に生活を過ごしてきた深田さんにとって「突然の明け渡し要求」に単純に応じる訳にはいかず、頭を悩ませ困り果てていた。古い知人に相談した処、区内に借地借家人組合があるから早急に組合に加入して頑張りなさいと進言され、すぐ組合事務所に出向いた。

 組合の役員より説明を受けた。家主が代わっても新家主に賃借権はそのまま承継される。新家主に対しても従前の契約内容がそのまま継続される。単に貸主が交代しただけで借家関係に何の変化も無いことがよく解った。新家主に正当事由が無いと明渡し請求は出来ない事も理解出来た。新家主が明渡裁判をしても建物に人が居住していることを知っていて建物を買った事を理由に裁判所は普通以上に正当事由を認めないという説明を受けて、深田さんは安心して従来の生活を維持出来ることを知った。

 その後役員が近隣の土地・家屋の権利関係を法務局で調べた処、半年前に近隣6軒の土地・家屋が第*開発によって取得されていた。 近隣の人も底地を買われ困っている事がわかり、近日中に班会を開き、役員同席で借地借家法の理解を深めて、新家主・新地主への対応策を検討する事になった。深田さんは組合に加入して平穏な日々が暮らせる事に感謝している。


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2006年03月21日

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不動産屋が勝手に契約を解除
 不動産屋の小賢しい手口


 台東借地借家人組合に相談の電話があった。


 「不動産屋へ来月分の家賃を支払いに行った。ところが、不動産屋は家賃の受取を拒否した。来月アパートの契約が満了するが、家主が契約の更新を拒否しているので家賃は受取れない。直ぐに部屋を明渡すように準備をしてもらいたい。次の引越し先は既に見付けてあるから心配要らない。」と言う返事が返ってきたというのである。「不動産屋が言うように直ぐに引越さなければならないのか」と心配そうである。


 「取敢えず、本当に家主が契約の更新を拒否しているのかを確認するために直接、家主宅へ家賃を持参してみてください」と返答して電話を終えた。


 その日の夕方、相談者から再度電話があった。家主は契約の継続を希望しており、契約更新をするので今まで通り部屋を使って欲しいという返事であり、家賃はすんなり受取ったということであった。家主は何故、不動産屋がそんな勝手なことをするのか訳が解らないと驚いていたという。


 この不況で不動産屋は、借家の回転率を上げることを考え、家主に無断で借家契約解除する。その人を自分の管理する別の借家へ仲介し、入居させる。その空いた借家に新規の客を入居させる。仲介・管理を任された賃貸物件で、これを繰り返す。所謂、借家人の盥回しで小賢しい手数料稼ぎを企んでいたようだ。


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2006年03月20日

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火事で明渡請求
明渡係争中に出火 即修復工事をし、家主の解約の請求を断る

 
 浅草橋1丁目に住む木村さんら3名は、昨年から家主に家屋の老朽化を理由に借家の明渡し請求を受けて困った末に組合に加入した。

 組合役員は、家屋の老朽化を理由にした明渡し裁判では老朽化が正当事由として認められることは稀であることを説明した。家主の明渡し請求に正当事由がないことを知り、安心した。家主の解約要求を拒否し、今まで借り続けていた。

 最近、組合員の入居する長屋の一部から出火があり、組合員2名が消火活動上の水害と営業備品の損傷を受けた。 早速、役員立会いで班会議を開き、早急に原状回復を図り従前と同じように営業や生活ができるようにすることで全員の意思が固まった。

 その後、家主代理の弁護士から「家屋が通常の修繕工事では修復不能につき、建物を解体するので明渡せ」との書面が送られて来た。
 役員協議の上「現家屋は通常の使用に耐えうる状態にあり、建物明渡しには応じられない。また、従来どおりに営業と生活を続けることを再確認させてもらう」との回答書を送った。

 その後、木村さんよりも更に古い借家に住んでいる役員から激励を受け、今後10年以上まだまだ住めるとの確信を得て頑張っている。


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2006年03月19日

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地上げ 
 頻繁に「業者」が現れ、明渡を迫られている

 台東区台東4丁目で木造2階建ての住居を借りている平山さんは、戦前の親の代からこの場所に住み続けている。

 10年程前から「地上げ」が横行し、建物の所有権が二転三転し、その度に家主(業者)が入れ代わっていた。昨年からは、この建物が競売物件の対象となり、今年の夏に3度目の競売開始の通知が東京地方裁判所から届いていた。

 最近、平山さん宅に頻繁に「業者」が現れ、時には強圧的に、時には穏やかに、明渡を迫っている。平山さんは、その都度「高齢の母親がいるし、夫婦共に近所の職場で働いているので明渡す意思はない」と断っている。それでも業者は執拗に「今回が補償を貰う絶好のチャンスで、以後は補償額が下がる一方だ」とか「新しい家主が決まったら永くは住んでいられない」などと、なかなか引き下がらない。

 平山さんは、業者があまりにもしつこいので、今度は組合役員に立会って貰い、業者と話し合いをすることにした。 話合い当日、組合役員から正規の代理人としての資格を有しているかと業者に質問したが、業者は明確な返答が出来ずに狼狽していた。

 平山さんは「移転の意思は全くなく、今後も末永く家族3人でこの家に住み続ける」と明確に伝えた。更に組合役員が「この物件は抵当権設定より先に賃借されているので、第三者に対抗力を有している。今回の競売で競落されても、されなくても借家権は十分に法律によて保護されている」と伝えた。業者は「その通りです」と言って引き上げて行った。  


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2006年03月18日

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マンション火災で「防火扉の説明義務あった」
「防火扉の説明義務あった」マンション火災で最高裁
2005年09月16日 アサヒ・コムより

 東京・西麻布のマンションの最上階で00年に起きた火事をめぐり、入居者が「室内の防火扉が作動せず、天井が焼け落ちるなど部屋が台無しになった」として、売り主と仲介会社を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が16日あった。最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は「会社側には防火扉の作動方法などについて説明する義務があった」として、請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

 00年10月、ポーラ化粧品本舗元会長、鈴木常司さんの8階の自宅(210平方メートル)の寝室から出火。寝室と居間の間の廊下にあった防火扉は作動せず、居間などに燃え広がった。5億3000万円で購入し、数日前に入居したばかりだった。同年11月に死去した鈴木さんの遺族が売り主の三井不動産と販売を仲介した三井不動産販売に「防火扉の説明を怠った」として原状回復費用やマンションの値下がり分など約2億8000万円の賠償を求めた。

 一、二審判決によると、防火扉は電源が入っていなかった。扉のスイッチにふたがあり、ネジで開ける仕組みだった。

 第二小法廷は「販売会社と、同社と密接な関係がある仲介会社には、少なくともスイッチの位置や操作方法を説明する義務があった」と判断。「防火扉が作動していれば損害が軽減できたことは明らかだ」と述べた。


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2006年03月17日

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賃料増減請求権に期間制限を

 借地借家人組合の組合員の中には、土地・家屋の明渡し又は家賃・地代の値上げ等の問題が進捗しないままに供託を20年以上に亘って続けている場合が少なからず存在する。

 例えば貸主から賃料の値上げ請求を受け、借主が値上げに不服で賃料の合意が得られない。そこで借主は従前の賃料を貸主に提供する。貸主は当然その賃料には不満であるから受領を拒否する。借主はそれを法務局へ弁済供託する結果になる。

 前期の法定手続きをして従前の賃料で弁済供託していれば借主は債務不履行の責を免れる。調停・裁判で新賃料が確定され、不足額があるとときは、その不足額に年10%の利息を付して支払う。以上が借地借家法11条及び32条の趣旨である。

 ここで問題になるのは、借主が賃料を供託しているにも拘らず、貸主が長期間、調停・裁判を提起してこないで借主を生殺し状態のまま放置する場合である。家賃・地代は不確定のままの状態で継続することになる。

 この様な弊害を可能な限り除去するためには、立法論的には賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加える。例えば「賃料増減請求権の行使期間は5年とする」というように期間の制限を設ける。
 これよって権利を有しながら長期間、その権利を無為に行使しない権利の上に眠る貸主に請求権の行使に期間制限枠を嵌める。それによって当事者間で協議をするか或は裁判制度を使って問題を解決するかを決断させる。

 「賃料の増減請求権は5年の消滅時効にかかる」(大阪地裁2000年9月20日、東京地裁1985年10月15日、名古屋地裁1984年5月15日の各判決がある)


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2006年03月16日

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賃借人が破産した場合  
(問)賃借人が破産した場合、賃貸借契約はどうなるのか。

(答)〈賃借人が破産した場合〉

 賃借人が破産するという典型的なケースは、借家人が店舗を借りて営業し、その経営が行詰って自己破産する場合である。破産しても何とか営業を続けていきたいと思っても、従来は賃借人が破産した場合は民法621条に基づいて賃貸人及び破産管財人は解約の申入れをすることが出来た。

 今までは、借家人が破産した場合、破産が契約の終了原因になり、解約の申入れには「借家法1条の2の『正当事由』を考慮する必要はなく、もっぱら621条が適用される」(最高裁1970年5月19日判決)。このように破産を理由にして借家契約の解除が出来た。他方、借地人が破産した場合は、解約の申入れには「賃借土地上に建物を所有している場合は、借地法4条1項但書、6条2項の『正当事由』が必要である」(最高裁1973年10月30日判決)としている。

 だが破産法の改正(2005年1月1日)により、破産しても再起出来るよう挽回の機会を与える必要があるとして民法旧621条が削除された。その結果、賃貸人は破産したことを理由に借家契約を解除することは出来なくなった。従って、賃借人は賃料を支払っていれば賃貸借契約は継続することが出来るようになった。営業も居住も今まで通り続けられる。

 借地についても破産に関しては考え方は同じである。しかし借地の場合、例えば銀行から融資を受けて建物を建築し、銀行への支払いが出来なくなった場合、大概は借地人の建物を任意売却或は競売で資金の回収を図るので破産というケースをとることは稀である。

〈賃料はどうなるのか〉

賃借人が自己破産の申立をする。裁判所から破産手続開始決定前に賃借人が延滞していた賃料については破産債権となり、賃貸人にとっては保護されない債権となる。従って賃貸人は延滞賃料を全額回収することは困難となる。

 破産手続開始決定後の賃料については財団債権となる。賃貸人は解除権を奪われた見返りに賃貸人には賃料の受領が財団債権の中で優先的に保障される。

 なお、破産手続開始決定前に延滞していた賃料については破産債権となるが、破産手続決定後に、賃借人が財団債権としての賃料の不払・延滞等の事由があれば、当然、賃貸人から民法541条に基づいて契約を解除される。


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2006年03月15日

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第*開発から明渡し請求が  
 12月までに立ち退かないと立退き料は出さない

 台東区鳥越に住む山崎さんは、印刷業をしている。仕事は極端に減っている。そんな折、昨年9月第*開発の顧問弁護士から借家の明渡しを通告する内容証明郵便を受取った。

 山崎さんはどう対処していいのか解らず、台東借組へ相談した。組合は明渡し要求には応じられない趣旨と借家を継続して使用する趣旨を内容証明郵便を送った。すると、第*開発は2005年4月以降の家賃の受領を拒否する文書を送り付けてきた。

 近くに都営地下鉄「大江戸線」の駅が出来たので、4年程前から近所で地上げが続々と進んでいた。第*開発は、既に何軒かの家と立退の交渉を決着させていて、山崎さんの家主も土地建物を既に売渡していた。

 今年の4月末、第*開発の口座へ4月の家賃10万円を振込んだところ、5月の初めに、第*開発はそれを小切手で送り返してきた。組合は家賃の受領拒否なので即刻法務局へ4月分の家賃を供託した。数日後再度10万円を小切手で送り返してきた。小切手は取り敢えず預かって置き、5月末に5月分の家賃を供託した。

 6月になると、再度、第*開発の社員が訪ねて来るようになた。「立退き料を幾ら払えば明渡してもらえるのか或は「何時頃立ち退いてもらえるのか」と執拗に粘る。立ち退く気はないと言って無視を決め込むが相手はへこたれない。そんな事の繰り返しで数か月が過ぎた。商売のことを考えると将来の見通しは暗いので、心は揺れ、未だ結論はでない。


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2006年03月14日

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「法定更新」
 借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し)

 組合員の借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し等)の殆どは、「法定更新」で対応できる。
 �@期間満了の1年前〜6ヶ月前までの法定通知期間に、当事者双方から何らの更新拒絶の申出がない場合には、前の契約と同一条件で借家契約は継続する。更新拒絶の申出が法定通知期間内になされていない場合は、満了の6ヶ月前に法定更新される事が決定され、家主は反証を挙げて更新を否定することは出来ない。

これが借地借家法26条1項(旧借家法2条1項)による法定更新である。家主または不動産業者は通常、契約満了の2〜3ヶ月前に契約の更新の通知をして来る。だが、この時点で期間満了の1年前〜6ヶ月前までの法定通知期間の条件を充たしていない。従って借家契約は法定更新される。

 �A仮に、家主が法定通知期間内に更新拒絶の通知をした場合でも、借家人が期間満了後も借用を継続しているのに家主が遅滞なく異議を述べないと�@同様、法定更新される。

 �B家主が遅滞なく異議を述べても、更新拒絶に対する正当事由を裁判所が認定しなければ、契約は法定更新される。 更新料の支払い請求に対しては、契約が法定更新されてしまえば、更新料の支払いを拒否すればいい。

家賃の値上げ要求に対しては、既に契約が更新されているので家賃の値上げ要求は拒否して従来の家賃を支払えばいい。家主が家賃の受領を拒否したら供託すればいい。調停・裁判で適正家賃(*)が決まるまで供託を続けていればいい。家賃の増額請求の消滅時効は5年である。5年以上の差額家賃の請求はない。

 建物明渡し請求に対しては、組合の顧問弁護士を頼んで明渡し裁判で徹底的に争えば結果が出るまで地方裁判所で4〜5年は掛かる。高等裁判所まで争えば明渡し裁判をやた目的はほぼ達成したも同然である。

(*)借地借家法 第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。


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2006年03月13日

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OCR供託制度 
平成15年から地代・家賃の弁済供託の申請システムが変更

 平成15年10月6日から地代・家賃の弁済供託の申請システムが変更された。 供託規則の改正により全国の供託所でパソコンによる供託事務処理システムを利用して、供託書をOCR(光学的文字読取装置)により処理することになった。OCR用供託書による申請以外は受付けられない。OCR供託制度になったことにより供託申請に押印が不要になた。

 このOCR供託制度のメリットは、供託書の記載が供託カードの発行により簡略化されたことだ。 地代・家賃は供託原因が消滅するまで毎月継続して供託されるものである。従って地代・家賃の供託を申請する時に「供託カード」交付の申出をするとOCR用供託書の記載内容を登録したカードが発行される。

それ以後の供託からは、用紙に�@申請年月日�A供託者氏名�B供託カード番号�C供託金額�D供託する賃料欄を記入するだけでよくなる。以上5ヶ所に記入したOCR用供託用紙に供託カード及び80円切手を添えて供託窓口へ提出すればよい。従来のように封筒を自分で用意する必要はなくなった。

 供託に関して不明の点は、東京法務局民事行政部供託課(電話03・5213・1353)へお問い合わせ下さい。


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2006年03月12日

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「e(電子)内容証明」
インターネットを利用した[e(電子)内容証明]

「e(電子)内容証明」とは、従来の内容証明郵便を電子化し、インターネットを利用したIT時代を象徴する便利な郵便サービスである。

概要は次の通り。差出人がパソコンで作製した内容証明文書を郵便局の専用のホームページに送信。その後、日付印がその文書内に自動的に挿入され、『内容証明の証明文』『差出人宛ての謄本』『受取人宛て原本』をシステムが自動印刷。

さらに印刷時にはシステムが、文書が確実にプリントアウトされているか再電子化して差出人が作製した元の電子文書と突合せて全て確認。そして封筒に自動封入・封緘後、郵便物として発送される。

�@余白�A最小文字ポイント�B最大頁数(5頁)の規定はあるが、現行の内容証明郵便より規定が緩和されている。従来の内容証明郵便3頁分の文字数が、電子内容証明文書なら1頁に収まる。

まず、事前に利用登録をして、利用者IDを取得し、パソコンのワープロソフト(ワードか一太郎)で文書を作成する必要があるが、24時間いつでも差出し可能。

利用料金はクレジットカードか料金後納を選択。受付時に必要な内容証明文書3通が自動的に作製され、封筒も事前に準備する必要はなく、システムで用意されたものを使用し、宛名書き等もすべて自動で行われ、窓口で作製するより迅速に処理できる。詳しくは郵便局か下記ホームページで。
(http://www3.hybridmail.go.jp/)


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2006年03月11日

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短期賃貸借の保護規定は廃止されたが附則第5条で
法定更新した借家契約は抵当権設定後の短期賃貸借の保護があるか

(問)コンビニを経営する大家のアパートに住んでいる。4年前に借家契約は法定更新にした。大家はバブル期に利殖目的の副業としてアパートを始めたもので、土地・建物はその時点で銀行の抵当権が設定されていた。最近、本業のコンビニ経営に失敗し、アパートが競売に掛けられた。このまま住み続けられるのか心配です。

(答) 2004年4月1日施行の民法395条の改正によて短期賃貸借の保護規定は廃止された。しかし、「短期賃貸借契約に関する経過措置」(附則第5条)によて2004年4月1日以前に結んだ短期賃貸借契約については最長2007年3月31日まで短期賃貸借の保護規定は適用される。

 その場合、敷金は買受人(新所有者)に承継されているので新所有者から返還される。しかし、この規定がなくなると敷金は経済的に破綻した旧所有者に返還請求することになり、差入れた敷金は事実上回収不能ということになる。

 抵当権登記後に抵当不動産上に設定された利用権は、抵当権が実行されると効力を失うというのが原則だ。しかし、例外的に抵当権設定後の短期賃貸借(民法旧395条)に限って、抵当権者・買受人に対抗することが出来る。これを短期賃貸借と言い、借家契約は3年以内に限って保護される。

 従って、抵当権の実行により差押の効果が生じるまでは、3年以内の期間を定めた借家契約であれば、借家人は何回でも契約を更新することが出来る。その場合、法定更新の規定も適用される。また抵当権の実行により所有権が買受人に移転し、買受人から明渡し請求を受けても3年に限って、その期間内は住み続けられる。

 しかし3年を超えた期間を定めた場合、判例は一貫して抵当権者・買受人に対抗出来ないとしている。期間を定めない借家契約の場合、判例(*)は「正当事由」があれば、いつでも解約できることを理由に「短期賃貸借」に該当するとしている。法定更新後の借家期間は期間の定めのない借家契約と同じ扱いで民法395条が適用される。

 期間の定めのない借家契約の場合、買受人からの解約の申入れには正当事由が必要である。しかし、正当事由の認定に際し、短期賃貸借という特殊事情を考慮し、借家人の権利を弱める方向に判断されている。従って正当事由の判断は相当程度に緩和して考える。買受人の利益を保護する方向に判例は統一されつつある。事実、借家契約を保護した判例は皆無である。

 結論、借家権を買受人に対して主張出来る。 しかし、裁判所の建物明渡判決があり、買受人の明渡し要求があれば、僅かな猶予期間で建物を明渡さなければならない公算が大きい。相談者はその覚悟をして措く必要がある。要するに、借家契約を結ぶ前に、登記簿で抵当権設定登記の有無を調べるという基本的な労を惜しんではならない。

(*)「競売手続きだ開始された時点においては、期間の定めのない賃借権であったのであるから、民法395条によって保護される賃借権であったと認められる」(東京高等裁判所2001年6月22日判決)


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2006年03月10日

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定期借地
普及しているのか定期借地

 定期借地契約が導入されて約10年になる。
現在、事業用定期借地権は10年以上20年以下の存続期間になているが、期間の延長が予定されている。

次に30年以上の期間の経過後に借地上の建物を地主に譲渡することを約して借地権を消滅させることが出来る建物譲渡特約付定期借地権がある。

その他に50年以上の存続期間を定めて設定される借地権については、特約をすれば期間が満了すると確定的に借地権が消滅し、土地を更地で返還してもらえる(借地借家法22条)。

その特約は�@契約の更新が無いこと、
�A借地期間の延長が無いこと、
�B借地借家法13条の建物買取り請求権を排除すること、
以上3点を公正証書等の書面によってしなければならない。この条件が充たされると、その場合は借地人の費用負担で建物を解体し、更地にして返還しなければならない。

 これは投下資本の回収が望めないことを意味する。例えば後5〜6年で契約期間が満了する財産的価値の無い定期借地権を中途で買う人間がいるであろうか。このように借地権の換金性が低いことから普通借地権(都市部の借地権割合は90〜70%)に比べて定期借地権の財産的価値は著しく低く、価値は不安定である。

 定期借地権進協議会の実績調査(平成14年12月)によると、この10年間に定期借地契約で建設された建物は全国で4万601戸(1戸建が27352戸、マンションが13249戸)であるという。
首都圏の定期借地の1戸建の延床面積の平均は124�u、地代の平均は30376円、保証金の平均は890万円、住宅価格の平均は2669万円という調査結果である。
 目先の安さで定期借地を選択しても将来的に後悔しなければいいが…。


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2006年03月09日

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借地人がなぜ更新料を支払うのか
地主側には更新料を請求する法的根拠はないが

地主側の立場から書かれた『悪質借地人に対抗する地主の正攻法』安西勉著(自由国民社)の中に次のような内容が書いてある。

借地人がなぜ更新料を支払うのかという理由で一番多いのが
�@特別な理由があるというのではなく、「更新料を払うのは慣行だから」というものだ。
�A次に多いのが地主と争うのがいやだからという結果があるという。

このことから著者の結論は、地主側には更新料を請求する法的根拠はない。
しかし、「更新料というものは、なにも特別な理由づけをしなくても、当然のこととして支払ってもらえる場合が多いということ」要するに、駄目もとでいいから、取敢えず借地人に更新料支払いを要求する。 すると、大概の借地人は理由もわからずに払うケースが多い。

「もしそうでなく、借地人としては本当は支払いたくない場合であっても、地主が更新拒絶などの権利を行使すれば、支払ってもらえることが多いということです」要するに、支払わないとごねてゴチャゴチャ言うようであれば更新拒絶で威嚇してみれば、借地人はビックリして厭々ながらでも更新料を払うものである。

 地主側には更新料を請求する法的根拠はなくとも、「地主がもっと強く更新料を請求していれば、支払ってもらえたであろうケースが多い」というのが地主側の結論である。

 地主側の更新料支払い請求はこの程度のものでしかなく、裁判になれば勝てないことは充分承知している。しかし、更新料を支払ってもらえない理由は「そのもっとも大きな原因は、要するに地主が怠慢だということ」が著者の下した最終結論である。


「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」(最高裁1976年10月1日判決)。

「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日)。


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2006年03月08日

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土地の明渡訴訟
建物占有移転禁止の仮処から土地明渡の裁判

 「東京地裁の建物占有移転禁止の仮処分決定書に基づいて店舗併用住宅が仮処分の執行を受けた、どう対処したらいいか」と台東借組に電話相談があった。

 相談者の竹内さんは谷中で17坪の借地。地代は月額28300円で昨年9月に半年分を銀行から地主に振込んだ。ところが、地主は振込んだ地代を返金してきた上、今後も受領しないと通告してきた。

 竹内さんは供託の知識もなく、そのまま放置していたが、今回仮処分の執行を受け、心配になって組合に相談した。組合役員は竹内さんに会い、関係書類を見せてもらい、今後の方策を話合った。先ず組合に加入してもらい組合の顧問弁護士と相談することを薦めた。組合は取り敢えず、受領を拒否された地代15カ月分を法務局に供託した。

 地主は建物占有移転禁止の仮処分をしたことから、当然地代不払を理由にした土地明渡の裁判を目論んでおり、裁判になることは必定である。

 予想通り地主は2003年土地の明渡し訴訟を提起してきた。

 なお、賃借人があらかじめ賃料の受領を拒否し、賃料の提供があても受領しない意思が明白な場合には、賃借人が口頭の提供をしなくても債務不履行の責任は生じない。従って、供託をすることもなく、賃料の支払を怠った場合でも賃料不払いにはならず、それを理由にした契約解除は無効という最高裁判決(1957年6月5日)がある。


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2006年03月07日

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更新料支払い請求
  更新料支払い請求を拒否し、賃貸契約は法定更新

 浅草橋のマンションに2年前から親子二人で住んでいる田中さんは、家業不振な折に今年4月に契約更新を迎え、不動産屋から家賃2ヶ月分相当の更新料を請求された。月々の家賃も前払いから当月払いにして、何とか支払ってきた。そんな状態では更新料を請求されても払える訳も無い。

 その頃から階上に住む管理人が何かに付けて嫌味を言うようになった。最近では、田中さん親子が昼間営業に出ている間に「無契約状態だから、部屋の鍵を取り替え、室内の物品は田中さんの事業所に送る」などと言われるようになった。

 田中さんは、組合役員と相談し、役員立会いの元で家主と管理人に「申し入れ」をすることにした。家主に都合を打診したところ当分都合が悪いと言うので、書面による以下の「申入書」を送った。

 家主宛には(1)特約で更新料支払いを約束していないし、借地借家法でも借家人の更新料支払い義務は法定されていない。従って更新料の支払義務は無い。(2)契約は借地借家法26条の規定で既に法定更新されている。従って無契約状態ではない。

 管理人宛には(1)公序良俗に反する言動はしない事。(2)管理・点検以外の目的で勝手に部屋に立ち入らない事。

 その後は、管理人の不穏当な言動は影を潜めた。

第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。


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2006年03月06日
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建物を取壊すから立ち退け
 新家主の寺は建物明渡訴訟を提起して来た

台東区谷中は寺町である。谷中100箇寺といわれる程寺が多い。谷中の殆どの借地は寺が地主である。

今回のトラブルは、寺から借地して建てられた中古の2棟のアパートの老朽化が著しいので取壊すから直ぐに立ち退けということ始まった。立退き料も満足に出さずに、借家人全員を短期間で立ち退かそうという強引なものだ。

アパートA荘に居住15年の金井さんと別棟のB荘に居住23年の谷さんは、2000年4月に家主から突然、部屋の明渡し請求をされた。

 家主は契約を解除したのだから直ぐ立ち退けの一点張りで家賃の受取も拒否した。両人は困って台東借地借家人組合に相談し、その場で組合に入会した。

 家賃は弁済供託することにして、 両人は組合のアドバイスを基に家主に対して立退きを拒否した。両人以外のアパートの借家人は、家主の執拗な明渡し要求に屈して2000年中に総て退去してしまた。

 両人の明渡し拒否の強い態度に家主は、明渡し交渉を諦め、2001年12月中旬アパートを放棄して、転居先も告げずに突然、家主は引越してしまった。

2004年1月寺は旧家主名で調停を申し立て、両名に立退き料として450万円を提示した。だが両人は調停で問題点は金銭ではないこと、住み続けたいという点を強調した。主張は平行線のままで、調停は3回で不調という結果に終った。

この調停の中で家主は、地主である寺から強硬に借地の更地返還を迫られていたことが判明した。

 家主は借地期間10年という借地法に違反する契約を寺から押付けられていたことも判明した。未だ10年の借地期間が有るので家主は慌てて立ち退くことは無かった。家主も被害者ということになる。

2005年1月新家主の寺は建物明渡訴訟を提起して来た。寺の表面的明渡しの理由はアパ−トの老朽化が著しいので取壊したいから立ち退けというものである。しかし、寺の近隣では、以前から寺と石材店とが組んで築30年のアパートを取壊し、そこに墓地を造成