少子化時代のこどもと社会:「近頃の部活事情」
今年公立中学に入った娘は、吹奏楽部に入部した。娘の中学の吹奏楽部は、毎年のよ
うに市や県の代表になっていた。それだけに練習もキツイ。娘は、1学期中も夏休み
も、土日も殆ど休み無く、毎日朝からお弁当を持って部活へ出掛けていた。

そんな忙しい日が続いた夏休みのある日、娘が私に「2000円頂戴」と言ってきた。何
に使うのか聞いてみたところ、翌日開催される吹奏楽の市大会に出場するに当たって
の入場料とパンフレット代だという。市の教育委員会や吹奏楽連盟が主催する大会に、
市立の学校が出場するのだが、その出場者の生徒からも入場料を取るというのだ。そ
の金額が合わせて約2000円なのだった。公的な大会で、市内の小学校から社会人まで
が出場するのだが、参加人数はかなりの数に上るはずである。その人達から、子ども
1200円大人2000円の入場料を取るという。

大会の全ての出場者が演奏し終わった後に、表彰式が行なわれるのだが、入場料を払
って客席に入らないと、表彰式までいるところがないのだ。まあ、他の学校の演奏を
勉強のために聴くという意味合いもあるようだった。お金のことで細かいことを言う
のは嫌だが、それでも公的な大会で1200円もの入場料を取ることはいかがなものだろ
うかと思った。

そしてその日の夜、帰って来た娘が持って来たパンフレットを見て、飽きれてしまっ
た。全市の団体が出場する大会は数日にかけて行なわれるのだが、その全ての日程の
学校の名前と演奏曲目などを印刷しただけのものだったのだ。しかも、同じ県内の違
う会場で開かれている、他の市大会の分まで全て載っていた。なぜこれを500円も出
して購入しなくてはいけないのか?まったく意味がわからなかった。

パンフレットには、協賛の団体や楽器メーカーの広告も載っていた。アマチュアの大
会の入場料やパンフレット代に、映画などの興業など以上の値段を出さなければなら
ないのだろうか?公的な大会で、収益事業なのだろうか?会場代くらいしかかからな
いはずだ。その日出場する人数に単純に、入場料をかけて算出すると1日で120万円
にもなった。これはもう完全に収益事業として行なっているとしか考えられない。し
かも、県大会や地方大会でも同じ事が起こった。確かに私立の学校も参加はしている
が、青少年育成のための大会である。なにか市からの援助などがあるのではないか?
疑問は頭から離れなかった。

この話しをクラスメートのお母さんにすると。サッカー部でも同じようなことがある
のだと逆にこぼされてしまった。中学の名前入りのジャージをお揃いで購入させられ
たのだが、その金額が5万円なのだという。中学の名前が入っているので、学校側で
備品として揃えて貸し出せば済むことだと思うのだが、なぜ購入しなくてはいけない
のだろう。

このご時世でも、教育に関連した事柄になら親はホイホイお金を出すと思っているの
だろうか?それとも、貧乏人の子は部活をやる資格がないということなのだろうか?
なんとも後味の悪い思いを残した、夏休みの出来事だった。