私が生まれた日
私が生まれた日は、すごく寒くてみぞれが降っていたそうだ。私の誕生日には、必ずといって良いほど、雪が降るのだ。

うちの父は、男尊女卑を絵に描いたような人だったから、私が生まれた時、「なんだ女か〜」と言って、すぐに病院にこなかったそうだ

母は随分後になってからも、そのことをブチブチ言っていた

でも、私が大人になってから、偶然、私が生まれた日に父と一緒にいた人の話を聞く機会があった

その人が言うには、父は、「女のこが生まれたんだよ〜」と言いながら、そのお店のコースーターをひっくり返して、その裏に赤ん坊の私の似顔絵を嬉しそうに書いてその人に見せたそうだ

父はとても絵が上手だった、広告美術の1級を持っていて、昔は大きな映画の看板を描く仕事もしていた時があったくらい

だから、絵がうまかった父にちなんで、私の名前には「絵」という字が入っているのだ

今になって、きっと照れ屋の父は、すぐにくることも。嬉しいと口に出すこともうまく出来なかったんだと思えるようになってきた

そう、何年も前のある寒い晩に、あるお店で一人の男の人が、コースーターの裏に絵を描いてたという、お話でした