「村の賑わい④」
<<インド>>--アグラ--


車は再び別の村の、商店街に入ってきた。

此処でも、派手なサリーを着た女性たちが目に付くが、何となく懐かしさを憶える光景である。

駄菓子屋かタバコ屋のような店先に、子供達が群がっている光景は、一昔前の日本を見るような感じがするからだ。

何も無い時代に、こんな商店の店先は、子供の夢を実現させてくれる品物がたくさん置かれていたものである。

私が少年の頃、紅梅キャラメルと言うのがあった。

箱の合わせ目を剥がすと当りのマークが出て来て、もう一箱貰えたり、箱の中の巨人軍の選手たちのカードを揃えたり出来たのである。

僅かな小遣いを手に持って、このキャラメルを買うために、駄菓子屋の前に走ったものである。

インドのこの子等も、同じような夢をこの店先で楽しんでいるのではないかと、勝手に想像したのであった。