2021年07月の記事


救命につなげるために、AED使用をためらわずに
新潟県の高校で野球部の女子マネージャーがランニング直後に倒れ、先月死亡した事故は、いつAEDを使えばいいのか、現場での判断と実行の難しさを問いかけた。
女子生徒は、死の間際に脳への血の流れが止まりかけ、あごや肩、胸や腕が、途切れ途切れにあえぐように動く「死戦期呼吸」の状態だったと思われる。(ギャスピングと現場や医療機関では言う)実際に空気は吸えていないが体が動くので、周囲の人たちは心臓が動いていると思い、AEDを使わなかったのかもしれない。息をしているかのように見えてしまう死戦期呼吸のことを多くの人に知ってもらいたい。
息が止まっていれば、すぐに心臓も止まる。現場に居合わせた人は、あえて患者の脈に触れる必要はなく、息をしているかどうか、だけを目で見たり耳で聞いたりして判断すればいい。講習会でも死戦期呼吸を教えるときは動きが大げさになりがちだが、実際には分かりにくい場合もある。突然の事態に直面した一般の人たちに冷静な判断を求めるのは無理だろう。息をしていないことが疑われるときは、一刻も早く胸骨圧迫をしたり積極的にAEDを使ったりすることが大切だ。
日本のAEDの普及率は世界でもトップクラスだ。的確な設置場所やきちんとした保守管理など課題はあるが、使い方はよく知られるようになった。消防白書によると、2015年に病院外でAEDが実際に使われたのは約1100件で600人ほどの究明につながった。だが、蘇生措置を行えた可能性のある人は数万人とみられ、市民の的確な判断と行動なくして救命率の向上はない。
人が倒れた現場は混乱し、AEDの音声支持も聞き取りにくいだろう。電気ショックのボタンを自ら押すことをためらう心理も働く。居合わせた人がAEDの電極を患者に貼り付けさえすれば、ボタンを押す必要もなく、自動的に除細動をする「全自動」AEDを開発し、早く導入すべきだ。技術的には可能で、間違って放電されることや救助者の感電を防ぐ方法もある。メーカーや行政は積極的に取り組んでほしい。
胸骨圧迫やAEDの使用では、衣服を破ってでも脱がすなど患者のプライバシーが守れない場合がある。
一般の人が処置をためらったり、蘇生がうまくいかなかったりした時に責任を問われることを恐れるという気持ちも考える必要がある。
こうした背景には100%の安全と結果責任を追及する最近の日本の風潮があると思う。市民の善意を生かし救命率を上げるためには、米国やカナダなどのように「緊急事態に直面した善意の処置者は、その結果に対して責任を負わされない」という「よきサマリア人の法」の整備が必要だ。

 私の視点より----聖路加国際大学院特任教授・宮坂勝之

善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、英:Good Samaritan laws
とは
「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。
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巨大な渦巻きで結ばれた北海道と東北が、まるで一つの土器のように見える。
先日訪れた青森県八戸市の各所に「JOМON JAPAN」と大書したのぼりがはためいていた。
その念願かなって、青森など4道府県の縄文遺跡17カ所がユネスコの世界文化遺産に登録された。その一つ、八戸市の是川遺跡は大正時代に発掘が始まったという遺跡界の老舗。「東京の大森貝塚、青森の是川遺跡」とも称された。
是川縄文館に入ると、漆塗りの腕輪や朱色の耳飾りなどが目にとまった。楽器らしき出土品は「縄文琴」と呼ばれている。縄文人たちがおしゃれで、色や音の感覚にも富んでいたことに驚く。
今回の登録に先立ち、「関連資産」格下げされた遺跡が二つあった。八戸の長七谷地貝塚は工場に囲まれているという理由。北海道の鷲ノ木遺跡は真下に作られたトンネルがマイナス材料とされた。
4道県が世界遺産をめざことで合意したのは2007年、手を携えて文化庁に国内推薦を求めたが、幾度も落選の憂き目に。「その間にユネスコの審査ハードルが高くなってしまった」と是川縄文館の小久保拓也学芸員。遺跡の価値に加え、周囲の景観まで重視されるようになったという。
B級グルメならぬB級世界遺産となった長七谷地。復元住居の展示館もない。それでも東北では数少ない縄文早期の貝塚で、漁労生活を知るうえで重要だという。テーマパーク感はないけれど、近くに行かれた折には足を延ばしてみてはいかが。

 天声人語より
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巨大な渦巻きで結ばれた北海道と東北が、まるで一つの土器のように見える。
先日訪れた青森県八戸市の各所に「JOМON JAPAN」と大書したのぼりがはためいていた。
その念願かなって、青森など4道府県の縄文遺跡17カ所がユネスコの世界文化遺産に登録された。その一つ、八戸市の是川遺跡は大正時代に発掘が始まったという遺跡界の老舗。「東京の大森貝塚、青森の是川遺跡」とも称された。
是川縄文館に入ると、漆塗りの腕輪や朱色の耳飾りなどが目にとまった。楽器らしき出土品は「縄文琴」と呼ばれている。縄文人たちがおしゃれで、色や音の感覚にも富んでいたことに驚く。
今回の登録に先立ち、「関連資産」格下げされた遺跡が二つあった。八戸の長七谷地貝塚は工場に囲まれているという理由。北海道の鷲ノ木遺跡は真下に作られたトンネルがマイナス材料とされた。
4道県が世界遺産をめざことで合意したのは2007年、手を携えて文化庁に国内推薦を求めたが、幾度も落選の憂き目に。「その間にユネスコの審査ハードルが高くなってしまった」と是川縄文館の小久保拓也学芸員。遺跡の価値に加え、周囲の景観まで重視されるようになったという。
B級グルメならぬB級世界遺産となった長七谷地。復元住居の展示館もない。それでも東北では数少ない縄文早期の貝塚で、漁労生活を知るうえで重要だという。テーマパーク感はないけれど、近くに行かれた折には足を延ばしてみてはいかが。

 天声人語より
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「健康づくりのための身体活動基準2013」は身体活動を「運動+生活活動」
日々のちょつとした動きもスポーツ並みの健康効果があり、ちょっと体を動かすことを増やす「プラス10」を推奨。そうすれば、がんや認知症を減らせるという。
では、どうすれば生活活動を増やせるのか。まず起床から就寝までに、どこで体を動かせるか1日を振り返ることだ。
通勤時に早歩きしたり、掃除や洗濯でキビキビと動いたり。そんな小さな動きが「ちりも積もれば山」。1日10分でも、1週間で合計1時間でもいいし、途中でやめても三日坊主を繰り返すつもりでも構わない。
自分の身体活動レベルを知るときには活動量計が役に立つ。
歩数計の機能に加え、家事などの生活活動で1日に体を動かして消費したカロリーが示される。活動量が基準や目標に対して十分なのか下なのか客観的に教えてくれる。
いわば自分の現在地を示すナビ。最近は結果をパソコンやスマホに送って確認できる。
注意点は、体を動かす次官は一気に増やさず、体調が悪いときには無理をしない。痛みが出たら、医師や運動の専門家に相談を。夏場などは炎天下を避け、熱中症に気をつけよう。

 元気のひけつより
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運動部の男子学生から広がったとされる「そうっスね」「マジっスか」といった言葉遣い。
社会言語学者の中村桃子さんは「ス体」と命名した。親しみと丁寧さを同時に伝えられる語法として浸透していったという。
五輪スケートボードの中継で解説者がその「ス体」を盛んに使っていた。「鬼やばいっスね」「よくやり切ったっスよ」。実況アナウンサーの折り目正しい話し方と比べ、軽快さが際立った。
手すりのようなレールの上を滑る精緻な技が決まると、「『ビッタビタ』はめてましたね」。注目度の低かった選手が高得点をたたき出すと、「練習でもひとりだけ『ゴン攻め』して」。独特の言い回しで、素人にも分かりやすく勘どころを教えてくれた。
スケボーは今大会初めて五輪の種目となった。解説を担当した瀬尻稜さんは国内外で活躍してきた第一人者。肩ひじはらない普段着語り口は、路上から始まった競技の自由さゆえだろうか。
これまでも五輪は、アスリートたちの彩り豊かな言葉を世に残してきた。「いままで生きてきた中で一番幸せ」「自分で自分をほめたい」「こけちゃいました」。それぞれに万感の表情が瞬時に蘇る。コロナ下の今回は、そこにテレビ解説も加わった。後世の専門家「ス体」の盛衰を研究する際、2021年スケボー解説はどう刻まれるか。それにしても瀬尻さんの語り、競技の流れにビッタビタはまってました。大役マジお疲れさまっス。

 天声人語より
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国会閉会中審査は
首相の姿がない。
五輪のさなかに、「感染最多」だというのに。

素粒子より
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英国のリバプールは、18~19世紀の産業革命の時代に貿易で発展した。
アメリカ大陸から綿花が荷揚げされ、近くの工業都市に運ばれた。そんな歴史の名残りは、ここで少年時代を過ごしたビートルズの面々の家庭にもうかがえる。
ジョンの父親は船乗りで、ジョージの父も一時船に乗っていた。ポールの父は綿花のセールスマンだったという。かつては綿花だけでなく、奴隷貿易の拠点でもあった。
そんな負の歴史も含め、2004年に街並みが世界遺産に登録されたのは自然なことだったのだろう。ところが先週になってユネスコの委員会から登録の抹消が言い渡された。周囲で再開発が進み、遺産としての価値が損なわれいるという。
ガラス張りの現代的なビルができ、サッカーの新スタジアム建設も予定されている。もっとも今のリバプールにとっては開発で活性化を図るのも自然なことかもしれない。近年の英国は金融都市ロンドンが繁栄する一方、かつての工業地帯が後れを取っている。
登録の抹消は過去に2件ある。ドイツの古い都市では停滞緩和のための橋の建設が問題視された。オマーンの野生動物保護区では区域の縮小がやり玉にあがった。いったん登録すれば地位が永遠に保証されるというほど甘くないらしい。
リバプールにはビートルズが曲名にした「ぺにー・レイン」という小さな通りがあり、当方も訪れたときは興奮した。あそこにはどうか、高いビルなど建てぬよう。
 
 天声人語より
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本当ならきょう、射撃の英国代表アンバー・ヒルさんは日本で初戦に臨むはずだった。
ところが東京行きの荷造りを澄ませ20日、日課の検査でコロナ陽性の判定がでる。「まさか自分が」。5度試しても結果は同じだったと英紙に語った。
「Broken」。彼女がSNSに書き込んだ言葉をあえて訳せば「心が折れた」か「夢が砕けた」か。桜、仏閣、富士山をあしらった投稿が東京大会にかけた思いの強さを伝える。
41年前、モスクワ五輪をめざした選手たちも無念の涙を流した。冷戦下、開幕直前に告げられたボイコット。「競技の場に立たなければ敗北」「思い出したくない。そっとしておいて」。後年、アンケートに答えた日本代表たちの言葉は重く切ない。
同じ悲劇でも、ウイルスが突然もたらす「退場通知」の方は何ともやるせない。コロナ下で五輪を開く以上、予想された事態ではあるが、悲嘆に沈むアスリートを慰める言葉は浮かばない。試合出場が許されず、敗者になる機会さえ奪われるとは。
安心・安全をうたった「バブル」方式は早々にほころびた。来日した大会関係者の感染は120人を超える。激しくぶつかり合う選手の姿を見ていると、先行きに不安も募る。
「人生ほどつらいものはないが、どれだけあらがい、前進し続けるかが重要だ」来日後に陽性と判断され、棄権を余儀なくされたチリ代表の投稿である、。どんなに留意しても悲劇は避けがたいが、堂々と上を向き、また歩き出してほしい。

 天声人語より
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黒い雨
上告断念での政治決着は当然だ。
国の不誠実さの上塗りだけは免れた。
救済対象をどう広げるか。
長崎の被爆者も含めるのか。

素粒子より
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57年前の東京五輪の開会式と同じく、きのうは晴天だった。国立競技場の前には長い列ができていた。
お目当ては、五つの輪をかたどったモニュメントでの記念撮影。しかし彼らと競技場とは、高いフェンスで隔てられていた。
人々と選手が分断された五輪を象徴するかのようなフェンスは、人の背丈の倍以上もある。開催地は確かに日本なのだが、直接触れることのできない五輪。地域住民と選手の交流も多くが取りやめになった。
いくつもの無理な前提がつくられ、崩れてきた。1年でコロナに打ち勝つはず。ワクチンの効果で観客を入れられるはず。バブル方式で分離ができるとの前提も怪しくなっている。
感染が収まらないなか、中止や再延期を求める声は多かったが、政府もIOCも顧みなかった。「アルマゲドンに見舞われ無い限り、計画通りに開かれる」とのIOC委員の言葉は、テレビ放映権料の軛ゆえか。五輪の理念である「連帯」の言葉がむなしく響く。
平和を求め、差別を許さない。五輪をそんな社会運動のようにとらえるのが間違いなのかもしれない。あらわになったのが、巨大スポーツ興行としての顔である。東京五輪の最大の遺産になるのは、五輪へのまなざしの変化だろうか。
興行であっても、もちろんそこには興奮があり、感動がある。生身の人間が極限に挑む姿があるからだ。それでも同時に考え続けたい。東京という場を借りただけのようなこのイベントは、果たして必要だったのかと。

 天声人語より
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オリンピック
阿部兄妹の快挙に、コロナの不安を忘れそう。
でも、東京の感染者、日曜では最多。
暑すぎる。
夕方から試合をとテニス選手。
お気の毒に。

素粒子より
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最近の若者言葉の「やばい」に似て、ドイツ語では「ブタ」をいい意味にも悪い意味には使うらしい。
「ブタクールな」といえば「超かっこいい」の語感になり、「ブタ天気」ひどい天気である。在日独大使館勤務の野口真南さんが書いた『ドイツのことば図鑑』にある。
悪天候は「犬の天気」とも言われ、犬でさえ外に出るのをためらうような土砂降りの雨などを指す。それにしてもこの豪雨は、誰もが言葉を失うような被害をもたらした。ドイツとベルギーで大洪水が起き、200人以上が犠牲になった。
「ドイツ語ではこの惨事を表す言葉がほとんどない」とは、災害現場を視察したメルケル首相の言である。ライン川の支流域で2カ月分に相当する雨が2日で降った。水を橋を壊し、家をのみこんだ。
レンガ造りの街並みが、茶色く濁る水に沈む様子が報じられていた。洪水と気候変動の関連も議論になっており、9月の総選挙で争点になりそうだ。緑の党がどこまで議席を伸ばすかが、注目されている。
世界各地の異常気象に目を奪われることが増えた。中国では地下鉄が水没し、乗客が首まで水につかった。一方でかつてない高温となる地域があり、カナダで49度、極寒の地シベリア北部でも38度に達した。
ドイツ語の「冷めたコーヒー」は「とっくに知れ渡っていること」を意味する。温暖化を抑えるために二酸化炭素排出を減らさねばならないのは、常識の域にある。実行できない人類を試すような気象が続いている。

 天声人語より
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あなたは『お蔭様で』と感じることがありますか?
私たちの日常生活は、一瞬の休みもなく、大自然や、家族は勿論のこと、顔の見えない沢山の人々の働きの力に支えられて、生かされています。
自分自身が生きてゆくことも、どこかで、他人様の役に立ち、感謝されていると実感できればうれしいですね。
世界中でたった一人しかいないかけがえのない自分。
ただ一度だけで決してやりなおしのきかない人生。
衆生の躰性・諸仏の法界、本来一味にしてすべて差別なし。(弘法大師)
わたくしたちの心と体と、御仏のさとりの境界とは、もともと同じもので少しも違いはありません。
今に最善を尽くしていますか? 今を精一杯生きていますか? 
今の生き方が先の明暗を分ける鍵となります。
時は今、ところ足元、そのことにうちこむ命、永遠の御生命。(椎尾弁匡)
健康は最上の宝です。生きていることはすばらしい。自然はいつも私たちの生命を支えてくれています。常に足元をしっかりと踏みしめて、感謝の気持ちを忘れずに生きてゆきたいものです。

 四国第四十五番 海岸山 岩屋寺の頂いた書類より
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他の星にいる知的生命体とどう接するか。
「ファーストコンタクト」と呼ばれる主題はSFに多いが、ポーランドの作家スタニスワフ・レムの古典的作品『ソラリス』が描く世界は壮大だ。地球より大きな惑星ソラリスを覆うゼリー状の海が、一つの生命体なのだ。
宇宙服に身を包んだ人間が手を差し出すと、波はためらいながらもその手を包もうとする。意思があり、思考もしているように見える海。何とか交信できないかと人類は電子装置を沈めたり、X線で信号を送ったりす。
今日は海の日。地球の70%を覆う海は、太古から生命を育んできた。そんな海をときに擬人化したくなる。海が二酸化炭素を吸収し、温暖化を一定程度抑えてくれると知ったときもそうだった。
国立環境研究所によると、人間が毎年排出する二酸化炭素のうち2~3割が海に溶け込んでおり、一部は海藻などに吸収されている。もっともこのまま温暖化が進んで海水温が上がれば、吸収能力が落ちる恐れがあるという。海の包容力にも限界があるということか。
現代文明は母なる大地そして母なる海を傷つけてきた。海洋に流れ出したプラスチックは細かな粒となって、魚たちの体内に蓄積される。レジ袋などを減らす動きは進むものの、いまだに小さな一歩に過ぎないのだろう。
レムは『ソラリス』の物語を通じて、人間中心主義に懐疑を投げかけた。人間の理解を超えた「生きている海」に、どう歩み寄るか。必ずしも遠い惑星の話ではない。

 天声人語より
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熱中症 水分補給し防いで
今後暑さが本格化していくと多発するのが熱中症だ。死に至ることもあるが、「予防策をとれば、発症や重症化を防げる」。
昨年の救急搬送された搬送者のうち65歳以上の高齢者が48%を占めた。背景に脱水症があるという。体の水分は主に筋肉に貯蔵されるため、筋肉の少ない高齢者は脱水症に陥りやすい。成人では体重の6割を占める水分が、高齢者は5割ほど。高齢者は元々、脱水気味で生活している。汗をかけば、すぐ熱中症になってしまう。
暑さやのどの渇きを感じにくくなっているのも特徴。のどが渇いていなくても、こまめに水分を補給する。搬送されて命が助かっても、腎臓や肝臓が傷ついて後遺症が残る人も多くいる。命に関係する病気だという意識を持たないといけない。
高齢者と同様に熱中症のリスクが高いのが子供だ。環境省の熱中症マニュアルによると、思春期前は汗腺などの体温調節能力が未発達で、体温が大人より大きく上昇してしまう。顔が赤くなったりひどく汗をかいたりしていないか、大人が十分観察するよう呼びかける。
一方、食事をきちんととることが予防につながる。環境省の資料によると、体重70㌔の人が通常の生活で一日に摂取する水分は約2.2㍑。このうち食事から1㍑を得ている。食事を抜いたり、サプリメントで済ませたりするのは、水分補給のタイミングを失っているのと同じこと。
トマトやキュウリなど夏野菜は、水分を効果的にとれる。汁物のほか、果物や牛乳を一緒にとることでも水分を補える。
食事を抜くと体調不良となり熱中症にもつながりやすくなる。少量でも決まった時間に食べ、体内リズムを守ることが大事だ。

 熱中症対策より
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地味で苦しい作業が命を救う。
気候変動の影響が拡大するとともに、地球環境への取り組みの優先順位は高まった。さらに言えば、二酸化炭素排出量だけが温暖化への取り組みではない。中村哲氏の努力に見られるように、温暖化阻止ばかりでなく、既に進行している気候変動がもたらす被害を最小限に抑える努力も必要だからだ。
学術研究も変わってきた。地球環境変動と紛争に関する共同研究を進め、このコラムもその研究に負っている。昨年にはグローバル・コモンズ・センターを開設し、人類が環境を変えてしまった時代、すなわち人新生を考え直す試みを続けている。危機にあるからこそ学術知を集約しなければならない。
アメリカがパリ協定に復帰し、主要7カ国首脳会議は気候変動への対処を提言、日本政府も温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロとする方針を打ち出した。望ましい変化だが、温暖化への取り組みがかけ声で終わっては意味がない。気候変動を抑制するコストを自覚した上で、温暖化が現に招いている被害を少しでも減らす。政治空間で消費されるスローガンとは無縁の、まさに中村哲氏が取り組んだような地味で苦しい作業が残されている。

 時事小言より---藤原帰一
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熱中症 現代の災害。暑さを甘く見るな
梅雨明け直後や猛暑日、熱帯夜が続くと、多くの熱中症患者が運ばれてくる。
暑さに慣れれば次第に減るが、熱波が来たり去ったり繰り返すような夏は特に要注意だ。
ここ数年は「熱中症弱者」の被害が目立つ。独居老人だけでなく、高齢者を介護する家族、障害者と暮らす高齢者らの孤立も防がなければいけない。
高齢者は、運動もせず、屋内で日常生活を過ごしているだけで熱中症になる。
家族や周囲の人が屋内の温度を管理することが大事だ。離れて住んでいても、午後の暑い時間に「部屋の温度計は何度かな」と電話一本してみる。30度以上なら「暑いからクーラーをつけようね」と教えれば、安否確認にもなる。
周囲に熱中症を疑うべき人がいたらどうするか。
まず意識がはっきりしているか確認する。自分で水を飲むことができれば、現場で応急措置する。水が飲めなかったり、少しでも様子がおかしくなったりしたら、医療機関に搬送する。
大切なのは、1人にせず、必ず誰かが見守ること。目を離した間に急に悪化することがある。自分が調子が悪くなったら、声をかけて助けを求めよう。
これから行楽シーズンを迎えるが、外出は高齢者や小さな子どもら体力の弱い人に合わせた計画を立てることも必要だ。楽しくて張り切ってしまうかもしれないが、無理をしない、させないことが大事だ。

 昭和大病院救命救急センター長・三宅康史
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ベートーヴェンの「田園」を指揮することなったていた指揮者がいた。
舞台の袖からものすごい顔をして出てきて、こわい表情のままタクトを振り上げた。その瞬間、演奏者の一人が声を上げた。「マエストロ、違います」。
指揮者は間違ってベートーヴェンの「運命」をやろうとしていたらしい。池辺晋一郎著『音楽ってなんだろう?』にある逸話である。はたから見ても分かるほど、その立ち振る舞いに違和感があったのだろう。
話は変わって五輪開会式の作曲担当である。「違います。あなたではない」と言われたのがミュージシャンの小山田圭吾氏だった。小中学校の頃、同級生や障害者にひどいいじめをしていた。20代半ばになって、それを雑誌で得意げに語っていたことが問題となった。
我が身を省みず五輪そしてパラリンピックの仕事を引き受けたことにあきれるが、組織委員会もろくに調べず起用したのだろう。深刻なのは、外部から指摘された後も続投させようとしたことだ。それが一転、小山田氏の辞任、楽曲の一部削除となった。
開会式直前ゆえ、続投も「許されるかなと考えた。だが、判断が甘かった」組織委は説明する。世間を甘く見たと内心思っているかもしれないが、彼らが甘く見たのはオリパラの理念そのものである。森清朗氏の問題から何も学んでいない。
小山田氏が担当したのは式の冒頭の4分間だという。別の曲に差し替えるのではなく、いっそ無音にして反省と謝罪の意を表してはどうか。

 天声人語より
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スマホの通信量節約、無線LANの活用を
携帯電話の通信費が政府レベルで問題になるこのごろ。長男が驚くようなことを言った。「すまをほ家でWi-Fiにつないでいない友達、けっこう多いと」。
動画や音楽のストリーミングなど、スマートフォンで人気のサービスの多くは、大量のデータ通信を必要とする。例えば国内最大規模の動画サービスdTVの場合、4段階中2番目によい画質を選ぶと、1時間ドラマを12話見たら約7?バイトの通信料になる。スマホの1カ月の通信料の一般的な上限だ。このためdТVやアマゾン・プライム・ビデオなどでは、作品を事前にスマホにダウンロードし、出先では通信をほとんど使わず視聴できる機能を備えている。その前提となるのが、家庭に無線LANがあることだ。
だが総務省の通信利用動向調査によれば、2014年末のブロードバンド回線接続世帯の無線LAN利用率は73.7%、これがスマホ保有世帯では68.9%に下がる。また家庭に無線LANがあっても、家族全員がスマホを接続しているとは限らない。「自分の家族はスマホで無線LANの設定をしない。携帯電話の通信量上限も知らないらしく、『スマホが遅くなる』と言っている」と嘆く人もいる。パソコンと違い、スマホは家庭内回線なしでネットに接続できてしまうためだろう。だがそれでは、スマホの通信量は天井知らずになる。
スマホの無線LAN接続は難しくない。
すでに無線LANルーター(親機)がある場合は、スマホの設定画面で「Wi-Fi」の項目をタッチすると、SSIDと呼ばれる親機の識別記号が表示されるので、それを選んでパスワードを入力する。SSIDとパスワードは親機のマニュアルなどに書いてある。これだけで家の中でスマホが通信し放題だ。無線LANがなくても、家にネット回線があれば、無線LAN親機を購入して回線に接続、同様の操作をすればいい。3~4部屋以上の家庭なら、1万数千円の高性能のものがよい。「11ac」という最新の高速通信規格に対応した製品がおすすめだ。
スマホの通信費の高さや通信料がすぐに上限に達することが問題になるが、無線LANを使っていないことが、その隠れた原因の一つかもしれない。この際、家族が自宅でスマホを無線LANに接続しているか、点検してみてはいかがだろうか。

 ネット点描より
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ビールのグラスを傾け「おいしい」というだけのCМき究極のワンパターンながら、やっぱり喉が鳴る。
しかしこれまで見た映像で一番うまそうなビールは、黒澤明監督「野良犬」の一場面にあったように思う。
「配給のビールがあるのを思い出してね」。ベテラン刑事が若い刑事を家に連れてきて、一緒に飲む。終戦直後の夏の日、汗みどろになって聞き込みをした刑事たちの喉の渇きを思う。配給という言葉の響きとともに。
暑いさなかに得がたい冷たさ。そんな飲み物、食べ物は長く記憶に残る。汗びっしょりになって遊んだ後、友だちの家で飲んだ麦茶。夏のラジオ体操で配られた色鮮やかなアイスキャンディー。
富安風生の句に〈一生の楽しきころのソーダ水〉がある。その光景は喫茶店でおしゃべりする若者たちか。あるいは駄菓子屋でラッパ飲みする子どもか。「冷やしラムネ」「夏氷」など文字にするだけで涼やかな気分になるものが、この国にはある。
総務省の家計調査で昨年のアイスの年間支出額が過去最高だったという。2人以上の世帯で年間1万円を初めて超えた。冷房のきいた職場と違い、巣ごもり生活でつい手を伸ばしてしまう人が増えたのか。もちろん昨年の夏もかなりの暑さだった。
きのうの四国を最後に全国すべての地域で梅雨明けとなった。〈それぞれに何かを終へし麦酒かな〉古川朋子。ビールでも氷菓子でも、暑さのなかでがんばる自分へのご褒美がいる。そんな季節がまためぐってきた。

 天声人語より
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暑い
明日は大暑。
アスリートもご用心を。
〈駈ける蹴る踏む立つ跨ぐ跳ぶ転ぶ〉渡辺白泉。

素粒子より
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「自分は弱いね」「どうしてこんなに弱いのかな」。
白鵬はよくそんな言葉を口にするのだと、トレーナーの大庭大業さんが近著『白鵬の脳内理論』に記している。黒星を喫したときに漏らすは思いは謙遜でも何でもない。
弱いと思うから横綱は稽古に向かう。「強い人が勝つからではなく、勝った人が強い」とも語ったていたという。その言葉通り、勝ちへの執念を見せてくれた名古屋場所だった。けがで休場を重ねた後、進退を懸けた場所で全勝優勝した。堂々たる復活劇である。
場所の序盤はハラハラさせられ、終盤は度肝を抜かれた。立ち合いの奇策やひじ打ちなど、横綱らしくないといえばその通り。しかしそれでも勝ちに行く姿を誰が否定できるだろう。相撲が勝負である以上は。
白鵬に敗れたとはいえ、照ノ富士も驚くべき復活となった。大関だったが病気やけがで序二段まで落ちた約650人中500番目くらいになり、給料も出ず、付け人もいない身に。それでも「元の位置に戻る」と自分に言い聞かせてきたという。
後ろに下がらない。何があっても。そんな姿を今場所はずっと見せてくれた。千秋楽では張り手を連発する白鵬に、強く張り返した。14勝という文句のつけようのない形で横綱への昇進が確実になった。
「竜虎」。2人の取組を見ながらそんな言葉が浮かんだ。思えば最近は、欠場で横綱の影が見えない場所が多すぎた。竜虎が相打つなか、他の力士が挑んでいく時代が少しでも長く続いてくれれば。

 天声人語より
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炎暑の中で五輪?
熱中症警戒で「屋外の運動は控えて」と言われるなか、開幕まで3日。
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講談社を創業した野間清治氏は、金融に明るくなかったらしい。
あるとき教師をやめた妻から退職金の運用について聞かれ、しっかりした銀行に預けるのがいいと答えた。そして勧めたのが何と日本銀行だった。
「あそこなら大丈夫だろう!」と言われた妻は日銀に預けに行って、断られたという。個人の資産運用は中央銀行の仕事ではない。おなじように気候変動対策も果たして彼らがやるべき仕事だろうか。
日銀が脱炭素に取り組む企業を間接的に支援すると発表した。そうした企業に投資や融資をする金融機関へ、日銀が金利ゼロ%で貸し付けするという。しかし日銀の使命は、物価の安定そして金融システムの安定のはずだ。
「気候変動は中長期的に経済・物価・金融情勢に極めて大きな影響を及ぼす」と日銀は言うが、そんな論法を使うなら他にも色々当てはまりそうだ。少子化は経済に大きく影響するとして、日銀がお見合いパーティーを支援するといえば笑われるだろう。
それでも環境に資するなら構わないとの意見もあろう。では温暖化対策として原発の建設にお金が重点的に回ったとしたらどうか。議論の分かれるような個別政策は、有権者が選んだ政府が担うのがスジである。
脱炭素で先行した欧州中央銀行などに日銀が追従した面もある。リーマン・ショック後、各国中央銀行は従来の常識を外れた金融緩和を続けてきた。それはあくまで、彼らの使命の範囲内だったように思うのだが。

 天声人語より
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大相撲名古屋場所
白鵬は引退をかけた場所で全勝優勝した。
横審も文句のつけようがないだろう。
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桟橋に名曲「ドナウ川のさざなみ」が響くと、小学生らが船に駆け寄る。
船内で本を選べるのは接岸中の40分間だけ---。かって広島県に「ひまわり」という名の図書館船があり、瀬戸内の島々をめぐった。
20万人もの県民が暮らしたが、公立の図書館はなかった。「農村に本を運べるバスのように、島にも船で届けよう」と県立図書館が1962年に運航を始めた。19の島々を回って、書籍に接したいという人々の願いに応えた。
一帯の島に橋がかかったことで使命を終え、81年に引退。運行距離は地球2周半に達した。船体は寄港先だった生口島で保管されたが、年ごとに朽ち、尾道市は6年前に解体を決める。惜しむ住民らがペンキを塗り直して保存を訴え、解体は見送られた。
島に朗報が届いたのは今月初め。日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に選ばれたのだ。「勝海舟を乗せた咸臨丸と並んで認定されたのは驚きです」。保存運動を率いた地元の医師永井晃さんは喜ぶ。
船に捧げられた歌を島で聴いた。〈レモン畑のおじいさんも 赤ちゃん抱いた母さんも みんなの本がやってきた〉。こんなワクワクを最近感じたことがあっただろうか。おさないころ見知らぬ1冊を開くたびに世界が広がった。本や雑誌をネットで購入できるようになり、いつしか物語と出会う喜びを忘れていた。
船に乗り込むと、舳先から船尾まで丁寧に繕われ、書架も再現されていた。桟橋で本を持った子どもたちの歓声が聞こえるような気がした。

 天声人語より
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背骨の圧迫骨折はビタミンDと運動で予防しよう
背中が丸くなり、身長が低くなった。背骨の一部が出っ張ってきたと感じたり、午後になると背中が痛んだりする。そんな症状のある人は、背骨がじわじわと潰れて変形する圧迫骨折を起こしているかもしれない。高齢者の場合、骨がスカスカになる骨粗しょう症が原因のことが多い。
背骨は、12個の腰椎と5個の腰椎という骨が連なってできている。胸椎や腰椎の高さが、どれか一つでも、元の高さより20%以上減っていると圧迫骨折と診断される。痛みがあるのは3分の1だけ。痛みがなく、気づかないまま潰れていることも多い。
起きやすいのは、胸椎と腰椎の境目付近。腰の少し上あたりだ。骨折すると、変形したまま固まってしまう。骨粗しょう症で骨が弱くなった高齢者だと、尻もちをつく程度の衝撃で起きることが多い。
骨粗しょう症は高齢の女性や早く閉経した人がなりやすい。閉経すると、骨を壊す細胞の働きを抑える女性ホルモンが減るためだ。たんぱく質やカルシウム、ビタミンDの付則や運動不足もリスクを高める。遺伝の影響もあり、母が骨粗しょう症だと娘もなりやすい。
最初の骨折を防ぎ、骨折の連鎖を断つには、薬による治療だけでなく、適切な栄養と日光浴、運動療法が不可欠。骨の健康維持に重要なのがビタミンD。多く含む青魚や干しシイタケを意識してとりたい。日光浴も効果的だ。紫外線が皮膚に当たるとビタミンDができる。日焼け止めを塗らずに夏は30分、冬は1時間が目安。サプリメントで補う選択肢もある。
1日8千歩を週3日以上歩くと骨密度が増える。転ばない体づくりも大切だ。流し台に両手をおき、肩幅に開いた足を曲げたり伸ばしたりする屈伸運動がお勧め。足の指をグーパーと動かして足の感覚を磨く運動や、バランスをよくする片足立ちの訓練もよい。予防策を続ければ結果は出るのであきらめないことが大切だ。

 体とこころの通信簿より-----辻外記子
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五輪の開幕が迫る東京・臨海部を歩いた。目に飛び込んできたのは、迂回路や駐車場閉鎖を知らせる数々の看板。
栃木、大阪、佐賀など遠方から動員された警官とすれ違う。選手村には韓国とクロアチアの国旗が。
先月読んだニューヨーク・タイムズの記事が頭をよぎった。「五輪を中止すると、菅首相は政治的に溺死する」「東京で感染が急拡大すれば、『ゴジラ異変株』と呼ばれるかも」。表現はともかく、痛いところを突いてくる。
83年前、同紙はもっと厳しい筆致で日本を批判した。「東京で五輪が開催されるなら、参加拒否で米国民の道徳的判断を示そう」。満洲、上海、南京へと兵を進める日本が「平和の祭典」を開くことを難じた。
当時、日本国内では軍部が公然と五輪に背を向けていた。人も金も鉄も持てる資源はすべて戦争に投入すべしとの機運が高まり、第1次近衛内閣は1938年7月15日、五輪返上を閣議決定した。
五輪を断念し、戦争へと突き進んだ過去を肯定することはできない。だが民の思いには共通するところもあるような気がする。このご時世、大がかりなスポーツ行事を開いている場合かという素朴な疑問。あるいは本当にやってくるという現実感の乏しさだろうか。
開会式を待つ新国立競技場へ足を伸ばした。荘厳な調べが歩道にまで響く。リハーサルのさなからしい。立ち止まってしばらく耳を澄ませてみた。それでも実感は湧いてこなかった。この街で1週間後に五輪の幕が上がる。

 天声人語より
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病気の子どもの食事
病気になると、基礎体力が低下する。病中は症状の緩和、病後は体を回復させることが大切だ。
「高熱や下痢を発症したら、まずは病院へ連れて行きましょう。過程では固形物をとるのを控え、脱水を予防するため水分補給に努める」
高熱や下痢のさなかには、水分とミネラルの補給が重要。スポーツドリンクが適しているという。スポーツドリンクの糖分は、水分の吸収率を高くしてくれる。ただし、冷たすぎると交感神経が刺激されて体が休まらない。ひと肌程度の温度で飲むといい。
症状が落ち着いてきても、微熱があるなら炎症が残っているということ。ぶり返す可能性もあるので注意したい。嘔吐や下痢がなかったり、食欲が戻ってきたりしているなら、様子を見ながら少量ずつ食べさせる。
こうした時期の食事として、代表的なのはおかゆだ。
軟らかく煮て、ペースト状にした野菜などを加えると栄養価が高まる。
ふだん食べていないために、ごはんが苦手で、病気の時にパンを食べたいという子どももいる。おかゆは消化しやすく、米のたんぱく質は栄養的にすぐれている。日ごろからお米を食べ慣れておくといい。

 子育てより
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光る波、白い砂。海水浴の名所として知られる千葉県勝浦市の浜は例年、20万、30万もの人びとでにぎわう。
市観光商工課の吉野友希さんはこの3ケ月、考えに考えた。海水浴場を開くべきか、開かざるべきか。
昨年は迷いがなかった。初めての緊急事態宣言を受け、県内すべての自治体が海開きをあきらめたからだ。だか、ワクチン接種の進む今夏は違う。観光行政の担当者としては当然、サーファーや家族連れを呼び込みたい。
例年であれば7月半ばの海開きを8月に延ばす案、駐車場の台数を減らす案も検討した。そのうえで区長や観光協会長ら8人の考えを訪ねて歩いた。
「都会から大勢が来れば住民の感染が心配」「高齢化で感染対策に当たる人手を確保できない」「うちの浜でクラスターが発生したら目も当てられない」。海開きを望む声は皆無だった。
春先は解説に傾いていた市だが、土壇場で不開設に転じる。「海を開けば活気は戻りますが、感染拡大を避けたいという声は切実でした」と吉野さん。マリンレジャーの盛んな千葉県内でも市町村によって結論は割れた。
〈おお美しい勝浦 山が緑の 優しい両手を伸ばした中に 海と街とを抱いている〉。勝浦湾を一望する高台で与謝野晶子の詩碑を見た。かくもみごとな浜が目の前にあるのに、海開きができない現実が切ない。
全国の海水浴場はざっと1千カ所。開こうとも開かずとも煩悶の夏である。一方、五輪の準備は粛々と進む。その落差に目まいがする。

 天声人語より
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五輪問題
開幕まで1週間。
危機がどんどん迫りくる。
五輪後に東京の感染2406人の試算。

いよいよ夏日が続く。マスクが辛い。
〈胡瓜切るひとつ転がる夕立くる〉遠藤千鶴羽。

素粒子より
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〈庶民が苦しまず平穏に暮らし、幕府の仁政が庶民に行き届くように〉。
「寛政の改革」で知られる松平定信は存命中、そんな願い事を自らしたためていた。自筆らしき「願文」が後に発見され、評伝にも収められている。
寛政の改革と言えば、武士を借金苦から救う「棄捐令」や、無宿人らに職業教育を施した「人足寄場」が名高い。飢饉に供えて村々の米穀の蓄えにも力を注いだ。毀誉褒貶はあるものの、弱者に寄り添う姿勢に限れば「仁政」と評すべきだろう。
このごろの日本でとんと聞かなくなった言葉の代表格は、仁政かもしれない。たとえば菅義偉氏の場合、その政治手法が醸し出すものは、あくまで冷たく厳しい。かつては左遷人事で官界を掌握。首相の座に就くと、政権による無理難題の押しつけが次々に露見した。
よりによって今回は、銀行や酒屋を脅して「自粛警察」を演じさせようとしたのだから始末に負えない。4度目の緊急事態を宣言するや、お酒の提供を続ける飲食店を懲らしめる策に打って出た。「自分の手を汚さずに圧力をかけさせる気か」。憤る声が各方面から上がった。
「聚斂之臣」という言葉がある。重税を取り立てて民を苦しめる役人を指す。コロナで危機に直面した飲食店を、感染拡大の主犯かのように圧し続ける。やり口こそ違え、まるで聚斂ではないか。
仁政では圧政、徳治主義ではなく脅治主義とでも呼ぼうか。五輪の開幕が迫るにつれ、日ごと政権の馬脚が表れてきた気がする。

 天声人語より
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五輪問題
宣言解除を急いだ先月、こうなると言われていた。
東京で千人を超す。
やってくる選手団を見て、ワクワクするより、大丈夫なのかと心配になる。

素粒子より
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紅花に棘がるとは知らなかった。先週訪れた山形県米沢市の紅花畑で不用意に触れてイタタッ。
花の色も想像とは違った黄色だった。
「朝霧でトゲが柔らかくなってる早朝に摘みます」と話すのは織物会社「新田」常務で染色家の新田克比古さん。咲き始めは黄一色。数日たって赤みが出てきたころ、手袋を着けて摘むそうだ。
花々から赤の色素を引き出す工程は複雑だ。花弁を水で洗う花振り。素足で花を圧す花踏み。ぬれたムシロに数日置く花寝せ。さらに臼でつき、団子状に丸め、薄く広げて天日に干す。つややかな色を求めて先人たちの染めの技に学び、改良を重ねる。
江戸時代、最上川流域の紅花は船で運ばれ、高値で取引された。だが明治に入ると、中国産や化学染料に押されて衰退期に。先の戦争中は「食糧増産に役立たない」と統制され、作付けは途絶えてしまう。復活したのは戦後まもなく、少数の農家が保存していた一握りの種が、奇跡的に花を咲かせた。
工房で染め分けられた布地を拝見した。淡い桃色から深い紅色へ。まるで音階のように濃くなっていく。桜色、薄紅色、一斤染、退染、桃色、中紅、韓紅花。一つひとつ名を与えられた色相の豊かさに感じ入った。
古代エジプトのミイラを包んだ布からも見つかったという紅花の成分。目もあやなその色は、地中海からインド、中国、山形まで。時空を超えて人々を魅了してきた。美しくもあやしい花を間近で見るうち、ついまたうっかり。イタッ。

 天声人語より
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ワクチン不足問題
ワクチン不足を「風評」だと自民党政調会長。
からば、各地の接種停止は「幻影」か。

素粒子より
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久しぶりに田舎の実家で草むしりをしたら、すぐにブーンという音が襲ってきた。
顔が手が首筋が次々とかまれていく。かゆい。今年もまた、蚊の季節だ。
「わたくしは、蚊に攻められているのである」。明治の作家小泉八雲の随筆の一文を思い浮かべる、当時、東京の八雲邸近くには5、6種類の蚊がいた。このうち「全身に銀色の斑点と縞目のある、小さな針みたいなやつ」が「容易ならぬ豪敵」だったと憎々しげに書いている。
はて、八雲を悩ませたのは何という蚊だったのか。東京大学助教の三條場千寿さんに推理をお願いすると、最も身近なヒトスジシマカの疑いが濃厚だという。その共著『あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話』によれば「根っこからの都会っ子」だとか。
日本にいる蚊は100種類以上、世界では3600種。花の密が何より好きなやつ、蚊を食べる輩も。研究熱が高じて蚊を「美しい」とさえ感じるという三條場さんの蚊話は驚くことばかりだった。いかに蚊について知らなかったか。世界に目を転じれば、蚊は「人類最大の敵」とまで言われる危険な存在。マラリアの死者は世界で年間40万人に上る、。しかも、地球温暖化で生息地は年々広がっている。
それでも蚊を絶滅させるようなことはできないと八雲は書いた。いつの日か蚊が生まれ変わり「刺すような歌をうたいながら、自分の知っている人たちを噛みに」いきたいとも。安全な共存しか道はないということか。かゆくても。

 天声人語より
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ワクチン供給問題
こんなに自治体が頑張って接種すると、政府は考えていなかったんだ。
在庫切れが続々。

素粒子より
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原に広がるシロツメクサは日本に元々いるようでいて、江戸時代にやってきた外来種である。
オランダから長崎に輸入されたガラス製品の梱包材に使われていた。詰め物にしたからツメクサ。四つ葉のクローバー探しでも愛されるようになった。
人間の都合で連れてこられたのは、アメリカザリガニも同じだ。1927年に食用ガエルのえさとして輸入された。ふるさとルイジアナ州の沼地に日本の田んぼが似ていたため、盛んに繁殖ができた。
ザリガニを釣った記憶が長くたっても鮮明なのは、あの真っ赤な色ゆえか。子どもたちに
愛されるのは今も変わらないが、生態系への影響が強く指摘されるようになった。ハサミで水草を切り、魚の産卵場所を脅かしているという。
環境省が特定外来生物に指定し、輸入や販売そして野外に放つのを禁止する方向だと先日の記事にあった。規制は早ければ2023年に始まるという。何らかの手を打つことは釣用だとしても、子どもたちのザリガニ釣りまで禁じることのなきよう。
小学校を舞台にした灰谷健次郎の『兎の眼』に、先生が教室にザリガニを持ち込み、みなを驚かせる場面がある。「ぼくはじっとじっと見た-----赤いやつが出た。ぼくは鼻がずんとした。サイダーを飲んだみたい。ぼくは心がずんとした」。一人の子の作文である。
子どもたちが生き物に触れ、自然の面白さを知ること。大人たちが生態系を守ること。どうバランスを取っていくか。ザリガニが問いかけている。

 天声人語より
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老後の健康、歩いて外出できる体力を
「団塊世代」が、10年足らずで75歳以上の「後期高齢者」となる。その後の人生の明暗は「歩いて外出できる体力の維持」にかかっている。家事をこなし、公共の乗り物で移動し、スーパーで買い物ができれば、一人暮らしも可能だ。外出できれば、近所の人とも交わり、草花や風のそよぎに季節を感じ、心も豊かになる。買い物をすれば計算もする。歩けなくなると一挙にそれらを失い、医療、介護の対象になる。
心身を動かさないと老化は加速する。そのターニングポイントは、男性の場合、定年退職時にある。ここで手を打つには、いわば「大人の義務教育」のように場が有用と考える。「定期的に歩いて外出する場」を提供し、地域とのコミュニケーションの構築、健康・調理などの知識と技術を習得することを目標とした授業をしてはどうだろうか。
歩いて通えることが前提なので、65歳前後の1~2年間、半日程度のコースで週に2回ぐらい学区の小中学校の空き教室に集まってもらう。
全員参加は、ホームルームと健康講座くらいにしておいて、パソコン、園芸、手芸などカリキュラムは工夫次第、講師もメンバーの中から出てくるだろう。栄養の整った学校給食を食べれば、筋力低下予防にも効果があるはずだ。
自治会などで対象者全員に声がけするが、親や孫の世話、仕事や趣味を理由とする不参加は可とする。だが、出欠届は義務とする。元気だけど、自ら積極的に出向かない人々を集めることで、点と点がつながり面となれば、子育てや介護、防災の一助にもなり、地域に飲み仲間やゴルフ友むだちもできるだろう。終了後は自主活動が継続すれば成功だ。地域差はでるだろうが、医療費や介護費の削減に向けて、市町村でこのような「大人の義務教育」に取り組むことはできないだろうか。

 オピニオンより-----健康運動指導士・山田佐世子
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中身のないコメントを言うことに全力をあげる。
そんな事なかれ主義のアナウンサーが、最近放送されたNHKドラマに出てくる。「やっぱり僕、スポーツっていうのは体を動かすっていうことだと思うんです」さすがにこんな人は現実にはいない。
いや、われらが首相の言葉は案外、それに近いかもしれない。「国民のために働く内閣」という看板も当たり前すぎて空虚だったが、コロナと五輪をめぐる発言も負けていない。
感染が広がるなかで開催することの危険性を何度問われても、「国民の命と健康を守っていく」「安全・安心の大会にしたい」と繰り返した。感染対策について十分な説明がないまま、緊急事態宣言下で五輪が開かれることになった。
人の流れを抑えるための強い自粛と、多くの人を動かす巨大イベントの同時存在。「アクセルとブレーキを一緒に踏んでいる」など、これまでも政府が発するメッセージの矛盾は指摘されてきたが、いよいよ極まっている。
ジョージ・オーウェルの不気味な近未来小説『一九八四年』には、監視国家が人々に押し付ける「二重思考」なるものが出てくる。「戦争は平和なり」「自由は隷従なり」「無知は力なり」。本来は矛盾した言葉を繰り返すことで、人々の感覚をまひさせるのだ。
いま強いられているのも、この二重思考のの類かもしれない。「自粛は祝祭なり」「感染拡大は安全・安心なり」。国際オリンピック委員会の奥の院で、誰かがつぶやいていそうな気がする。

 天声人語より
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インターバル速歩、早歩きとゆっくりを交互にする。
インターバル速歩は、ややきつめの早歩きと、ゆっくりとした歩きを3分間ずつ交代に繰り返すというものだ。最初の3分間を歩いてみると体温の上昇を感じた。その後ゆっくり歩きをしていると、ふたたび早歩きしようという気持ちが起こってくる。交互に5セットしてみると、少し汗ばむように感じた。これを週4日以上繰り返すと、体力の向上などの効果が期待できるという。これなら無理なくできそうだ。
早歩きのやり方の基本はこうだ。まず背筋を伸ばす。25㍍ほど前の方を見ながら歩く。足を踏み出すときはできるだけ大股にして、かかとから着地する。ひじは直角に曲げて大きく振る。こうすると大股で歩きやすくなる。
早歩きのスピードも重要なポイントだ。歩いていて「ややきついな」と感じることが大切。5分ほどで息がはずみ、10分で汗ばみ、15分ですねに軽い痛みを感じる程度が目安だという。
1日30分まとまった時間がとれないときは、朝昼晩で10分ずつなど小分けしてもよい。週4日するのが難しいのであれば、1週間の早歩きの合計で1時間を確保できるよう、週末にまとめて取り組んでもかまわない。
早歩きは「体力」の向上が目的だ。

 元気にキレイにより
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広島政界における河井克行、安里夫妻の買収事件で忘れられないのは、安芸高田市長で丸刈りになったことだ
克行被告から60万円受け取ったことを記者会見で認め、「反省を示さなくちゃと、こういうヘアスタイルにした」と語っていた。
頭に免じて市長を続けたかったようだが、ほどなく辞任に追い込まれた。それでも最悪の事態は避けられたらしい。この前市長を含む地方政治家ら100人が、現金の受領にもかかわらず全員不起訴となった。渡した側の夫婦は公選法違反に問われ、国会議員も辞めたのだが。
数万円、数千円を受け取っても処分されるのが過去の例だが、今回は300万円でも逃げ切りか。捜査協力の見返りに検察が罪をお目こぼしするような行為は事実上の司法取引ではないか。公選法は司法取引の対象外だから、あつたとすれば裏取引だ。
検事たちはこう言いたいかもしれない。元法相という大物の摘発を最優先した。受領側の協力なしにはたどり着けず、不起訴というアメも必要悪だと。この国の司法制度はそれほど変幻自在なのか。
釣り人たちの間では狙う魚は「本命」、それ以外の魚は「外道」と呼ばれる。本命一直線の人なら、外道は釣れても海に放すそうだ。針の傷が致命傷になる魚もいれば、ゆうゆうと生き延びる丈夫な魚もいる。
放たれた広島政界の「外道」たちはどうか。あろうことか不起訴が決まったその日、現金を受け取った県議13人のうち6人が議会の主要ポストに選任されたという。

 天声人語より
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夏バテの陰にひそむ鉄分不足
疲れや、だるさが抜けずにいる人も少なくない。一見、夏バテと思える症状の陰に貧血が隠れていることもあり、注意が必要です。
鉄欠乏性貧血が夏になって出てくることもある。
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足し、ヘモグロビンがうまくつくれなくなる。体に十分な酸素を運べなくなり、息切れや立ちくらみなど様々な症状が出る。疲れがとれないというだけでなく、微熱が続いたり、爪が薄くなって割れたりするなどの症状があれば、単なる夏バテと油断せず、受診したほうがいい。
夏は、暑い屋外と冷房の利いた屋内の温度差で自律神経が乱れ、胃腸の不調を招いて食欲が落ちることがある。鉄分が不足して貧血にならないようにするためにも、夏こそ、しっかり食べる。
鉄分は、肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質、豆類やホウレンソウ、小松菜などの野菜、海藻などに多く含まれている。毎日の食事のなかでバランスよくとり入れることが大切だ。
ただ、食欲もなく、疲れやだるさのために料理する気力がわかない場合もある。手間をあまりかけず、うまく鉄分をとる工夫を、管理栄養士で医学博士の本田さんに教えてもらった。
本田さんは「鉄分を一気にとろうとせず、こまめに補給していく意識を持つ」と助言する。例えば、鉄分が多く含まれるあさりや干しエビのつくだ煮などを食卓に一品添える。枝豆もお勧めで、飽きたら、さやから取り出してすし酢につけ、トマトとあわせてマリネ風にするのもいいという。
青魚の缶詰を使う手もある。水を入れたペットボトルの中にかつお節、煮干し、昆布を入れてだしをつくっておく。魚の缶詰にだしをあわせてみそをとき、ゴマやシソ、ネギなどの薬味を加えると、火を一切使わずに鉄分が豊富な冷や汁ができる。そうめんのつけ汁にしてもおいしい。

 続・元気のひけつより
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山を愛した随筆家、串田孫一に、ひとりで谷を登ったときのことを綴った文がある。
谷川の上流に行くにつれ、下流では気づかなかった水の音が聞こえてきた。小さな滝になっている場所があり、岩にぶつかって水しぶきがあがるところがある。
耳をすますと「それは少人数の室内楽のようにも思われた」という。緑の傾斜のなかに水の通り道を形づくる谷。流れをせき止める土の塊など、あってはならなかったはずだ。
静岡県熱海市の土石流災害で谷の最上部にあった盛り土が注目されている。200㍍にわたって盛られた土が崩壊したため、流れる土砂の量が増えて被害を大きくしたのではないか。そんな人災の可能性について静岡県などが調査を進める。
盛り土が雨水を吸収し、一時的にダムのようになったという指摘もある。コンクリートダムの強さもなければ「緑のダム」たる森林の保水力もない。「脆弱なダム」はなぜそこに築かれたのか。宅地造成か、残土の捨て場か。行政の監視は届いていなかったのか。
土石流には「山津波」さらに「泥流」の呼び名もある。「津波のような泥水が家を軽く持ち上げていった」。紙面にあった地元の人の言葉に水と泥の恐ろしさを思う。一刻を争う捜索が大量の泥に阻まれている。
谷村、谷田、谷川など谷の字が入った姓の多さは、そこがだいじな暮らしの場だったことを示している。美しい水をたたえ、ときに増水する姿には畏敬と畏怖の念が向けられていたはずだ。

 天声人語より
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五輪問題
「無観客」の前に、開催は誰が、いつ、どこで決めた。
首相は4度目の宣言を「先手先手で予防措置」と説明した。
ずっと後手ですけど。

素粒子より
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ルールブックにはどこにも書いてないが、大リーグには長く守られてきた暗黙の決まりがあるという。
例えばホームランを打った後、派手なパフォーマンスをしてはいけない。
喜ぶどころか、まずいことをしたかのような顔でベンチに戻る名選手もいたと、ディクソン著『メジャーリーグの書かざれるルール』にある。今は緩んでいるかにも見えるが、日本に比べれば確かにおとなしい。ファン向けには「二つのチームがある地域では、そのどちらしか応援できない」なども。
オールスター戦に投手と打者の両方で出場してはいけない。そんなルールはもちろん存在しないが、これまで二刀流で選ばれた者はいなかった。エンゼルスの大谷翔平選手の快挙である。
毎日のようにテレビで活躍を見ることができるのは、連載の野球マンガを読む楽しみに似る。チームがさほど強くはないのもマンガならば重要な要素か、一人ひとりが自分のチームメイトのような錯覚すらおぼえる。
二刀流を危ぶむ声はかつては少なくなかったし、今もある。たしかに投手で大量失点したときなど気持ちを立て直せるのかと心配になる。しかし翌日に本塁打を連発する姿を見れば、懸念は打ち消される。きのうまでに放った31本塁打は両リーグのトップである。
冒頭の本には名監督による警句もあった。「昨日のプレーがすごかったとまだ感じているなら、今日は全力でやっていないということだ」。すごさが上書きされ続ける大谷選手には無縁の言葉か。

 天声人語より
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五輪開催の意義
完全な形→海外客断念→上限1万人→5千人→無観客!?打ち勝てずに、ずるずると。
あげくの果てに、緊急事態宣言の下で開催強行へ。
いったい誰の何のための五輪か。

素粒子より
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丁半ばくちの最中、怒声が飛ぶ。そのさいころを見せてみろっ。かじると内部から鉛が出てくる。
重心を調整し、特定の目が出やすくするいかさまで、ドラマや映画でおなじみだ。
もっと高度な方法もあるらしい。検事による事例研究『いかさま、騙しの技法』には、昭和初期の「電気装置」が出てくる。丁または半り目だけに鉄粉を付け、場の下に仕込んだ電磁石に電流を通す。なるほど、鉛より確実に操作できそうだ。
三菱電機のいかさまも、望ましい数字をはじき出す仕掛けがあった。品質検査に記入する架空のデータを作るため、専用のコンピュータープログラムが使われていた。鉄道向けの空調設備やブレーキの関連装置の検査で、数字が偽装されていた。
不正は長崎製作所で30年以上続いており、責任を取って杉山武史社長が辞任することになった。気になったのは会見での社長の発言だ。「日本語で言うと、偽装ととざえざるを得ない」。おそらく「世間的に言うと」くらいの意味合いだろう。
世間から見ると偽装だが製造現場の認識は違う。そんな気持ちがにじんだか。日本の製造業は「現場力」が支えてきたと言われる。指示待ちではなく、独自に問題を解決する力である。その力はときに独善に陥ることが今回また示された。
不正はあったが、別の試験で安全は確認しているというのが三菱電機の言い分だ。検査に意味はなく、自分たちのやり方が正しい。そんな思い込みに乗客の安全が賭けられていた。

 天声人語より
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買収問題
100人不起訴は検察審査会で異論必至。
300万円受領でも不問は筋が通らない。
七夕に。
〈文字にせぬ願ひのありて星今宵〉今橋眞理子

素粒子より
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伊豆半島を流れる狩野川は1958年の台風で決壊し、鉄砲水や土石流が多くの住民の命を奪った。
上流の月ケ瀬地区にあった医療施設には気象に詳しい博士がいた。早めに患者ら30人を率いて避難し、難を逃れた。
「月ケ瀬の教訓」としていまに語り継がれる。博士の迅速な決断には敬意を覚えるが、わが胸に手を当てれば、迷わず避難できるかまるで自信がない。この5月に導入された新しい避難情報も、のみ込めていなかった。
旧制度のもとに頻繁に耳にしてきた避難勧告という言葉も消えた。警戒レベル5段階の呼称も見直された。①早期注意情報 ②大雨・洪水・高潮注意報 ③高齢者等避難 ④避難指示 ⑤緊急安全確保。レベル5はもはや安全な非難ができない段階だという。
そして迎えた7月の水害多発期。東海や関東が豪雨に見舞われ、そのレベル5が初めて発令された。土石流が起きた静岡・熱海で取材中の記者によれば、破壊の跡はすさまじい。布団や自動販売機が路上で泥にまみれ、消防車両が行き交う。空は厚い雲に覆われ、被害者の全容はなお見通せない。
さかのぼれば、避難勧告という語が新法に明記されたのは1961年。狩野川台風に続き、大勢の住民が逃げ遅れた伊勢湾台風がきっかけとなった。その後も豪雨が被害を及ぼすたび、避難情報の見直しが重ねられてきた。
新制度はどこまで住民に浸透していたか。自治体による警告の発し方は適切だったのか。痛ましい被害を繰り返さぬためにも検証は欠かせまい。

 天声人語より
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表現の不自由展の行方
東京と大阪で開けない事態に。
見て見ぬふりは黙認とおなじだ。

素粒子より
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ここは180㌢。あちらは2㍍」。それほどの水位だったと聞いてもピンとこない。
高い空、静かな川面。だが確かに、この地を濁流が覆ったのだ。
昨年7月4日未明、熊本県南部の芦北町。岩永醤油4代目の岩名が幸三さんは消防団の見回り中、「いつもの雨と違う」と直感した。慌てて戻った工場はもう浸水していた。家族を起こし、2階へ。水の猛威になすすべはなかった。醤油タンクは根こそぎ倒れ、泥だけが残った。壁に染みた水位の跡が被害を伝える。
5代目を継ぐ長男宗大さんがいるから、廃業の2文字はよぎらなかった。グラウンドファンディングで支援を募ると、940人から1千万円が寄せられた。「昔より我が家の食卓には岩永醤油があります」「帰省の折にはいつも刺し身醤油を買って戻ります」。
添えられたメッセージを読んだ幸三さんは、1909年創業の歴史を肌身で知った。昨年9月末に醤油、今年4月に味噌の出荷を再開。「夢のように早い1年でした」。
昨年7月の九州豪雨は死者79人、行方不明者2人を出した。甚大な被害を引き起こしたのは線状降水帯。積乱雲が連なり、豪雨をもたらす。気象庁は今夏、その発生を伝える取り組みを始めた。早く導入されていたら、との思いが募る。
いまも町内には爪痕が残る。土砂崩れの現場には茶碗や櫛のかけら。観光案内所の七夕飾りにはいたわりの言葉が。「みなさん1年頑張って来ましたネ」。短冊の何げない言葉に胸が絞めつけられた。

 天声人語より
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都議選
ようやく3人にひとりに。
女性都議が最多の41人当選。
その都民ファストの公認で当選した候補が無免許運転していた。

都民は何を見ているのだ。
ことしも、7月初めに土石流に襲われた。各地の傷の癒える間もなく。
〈荒梅雨に信じゐる山崩れけり〉。枝澤聖文
素粒子より
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レジ袋が有料化されて1年、うっかりマイバッグを持参し忘れる日がいまだにある。
大5円か小3円か。レジで切ない選択に追い込まれる。
プラスチックの歴史をさかのぼると、レオ・ベークランドという化学者に出会う。貧しい靴職人の家に生まれ、1907年、樹脂の人工合成に成功させる。商品名ベークライトは「最良の物質」ともとはやされ、彼に巨富をもたらす。
だが黄金期は短かった。1960年代ごろから、プラスチックの語に「見せかけ、偽造、人工物」の含意が濃くなる。石油危機をへて、石油製品たるプラスチックも評判を落としたという。
各地の海では、鳥や深海魚の胃から見つかるプラスチック片が問題に。米海洋研究家チャールズ・モアは2011年、太平洋を「プラスチックスープ」と呼んで警鐘を鳴らした。夢の素材から、地球に害をなす物質へ。プラスチックに対する世の見方は何とも揺れ幅が大きい。
気がつけば、わがレジ袋観も百八十度近く転換した。いまではマイバッグを忘れた日は胸がチクチクする。プラスチックのストローにも痛みが。この先、チクチク感をもよおす製品は広がっていくだろう。
「2050年には海洋プラスチックが魚の総重量を超える」。衝撃の試算が発表されたのは5年前。プラスチックスープと化した海洋の改善にどこまで役立っているのか見当もつかないが、平然とレジ袋を受け取っていたころの自分に戻ることはもうない。

 天声人語より
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「健康づくりのための身体活動基準2013」は身体活動を「運動+生活活動」と定義
日々のちょつとした動きもスポーツ並みの健康効果があり、ちょっと体を動かすことを増やす「プラス10」を推奨。そうすれば、がんや認知症を減らせるという。
では、どうすれば生活活動を増やせるのか。まず起床から就寝までに、どこで体を動かせるか1日を振り返ることだ。
通勤時に早歩きしたり、掃除や洗濯でキビキビと動いたり。そんな小さな動きが「ちりも積もれば山」。1日10分でも、1週間で合計1時間でもいいし、途中でやめても三日坊主を繰り返すつもりでも構わない。
自分の身体活動レベルを知るときには活動量計が役に立つ。
歩数計の機能に加え、家事などの生活活動で1日に体を動かして消費したカロリーが示される。活動量が基準や目標に対して十分なのか下なのか客観的に教えてくれる。
いわば自分の現在地を示すナビ。最近は結果をパソコンやスマホに送って確認できる。
注意点は、体を動かす次官は一気に増やさず、体調が悪いときには無理をしない。痛みが出たら、医師や運動の専門家に相談を。夏場などは炎天下を避け、熱中症に気をつけよう。

 元気のひけつより
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強烈んな引きで知られ、釣り人なら一度は挑戦しようと憧れる巨大魚アカメ。
イトウやビワコオオナマズと並ぶ「三大怪魚」の一つに挙げられる。次々にしとめる名人が高知市にいると聞いて訪ねた。
「川上のおんちゃん」こと元タクシー運転手の川上清次さん。小学校に入る前から糸を垂れてきた。数年前、自宅近くの鏡川で大きな魚影を見て、血が騒ぐ。何度挑んでも空振りで終わる人が多い中、短期間に1.35㍍級の超大物を5匹も釣り上げ、全国区の話題に。幻の大魚を一目見たいと同好の士が集まるようになった。
釣り哲学はシンプルだ。「魚は獲物ではなく大切な対戦相手。失礼なことは絶対にしない」。しとめると自ら川に飛び込み、針を外す。浅瀬で20分ほど休ませ、「また帰ってことよ」と川に放つ。
本場の高知県でもかつてはレッドリストで絶滅危惧種に指定されていた。生育環境が改善し、捕獲できる「注目種」に改められた、釣ったら逃がすよう県は呼びかける。
レジャー白書によれば、日本の釣り人口は長く減り続けてきたが、3年前に底を打つ。3密を避けられることもあって人気が高まり、いまは久々の釣りブームのさなかだ。
坂本龍馬もめでた海岸として名高い桂浜にある水族館を訪ねた。水槽のアカメを電灯で照らすと、二十数匹の丸い目が紅色に変わる。いつか四万十川の清流で挑んでみたいと夢を抱いて入館したが、鎧で身を固めた侍のような巨体に圧倒される。わが闘志はシュンとしぼんだ。

 天声人語より
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救命につなげるために、AED使用をためらわずに
新潟県の高校で野球部の女子マネージャーがランニング直後に倒れ、先月死亡した事故は、いつAEDを使えばいいのか、現場での判断と実行の難しさを問いかけた。
女子生徒は、死の間際に脳への血の流れが止まりかけ、あごや肩、胸や腕が、途切れ途切れにあえぐように動く「死戦期呼吸」の状態だったと思われる。(ギャスピングと現場や医療機関では言う)実際に空気は吸えていないが体が動くので、周囲の人たちは心臓が動いていると思い、AEDを使わなかったのかもしれない。息をしているかのように見えてしまう死戦期呼吸のことを多くの人に知ってもらいたい。
息が止まっていれば、すぐに心臓も止まる。現場に居合わせた人は、あえて患者の脈に触れる必要はなく、息をしているかどうか、だけを目で見たり耳で聞いたりして判断すればいい。講習会でも死戦期呼吸を教えるときは動きが大げさになりがちだが、実際には分かりにくい場合もある。突然の事態に直面した一般の人たちに冷静な判断を求めるのは無理だろう。息をしていないことが疑われるときは、一刻も早く胸骨圧迫をしたり積極的にAEDを使ったりすることが大切だ。
日本のAEDの普及率は世界でもトップクラスだ。的確な設置場所やきちんとした保守管理など課題はあるが、使い方はよく知られるようになった。消防白書によると、2015年に病院外でAEDが実際に使われたのは約1100件で600人ほどの究明につながった。だが、蘇生措置を行えた可能性のある人は数万人とみられ、市民の的確な判断と行動なくして救命率の向上はない。
人が倒れた現場は混乱し、AEDの音声支持も聞き取りにくいだろう。電気ショックのボタンを自ら押すことをためらう心理も働く。居合わせた人がAEDの電極を患者に貼り付けさえすれば、ボタンを押す必要もなく、自動的に除細動をする「全自動」AEDを開発し、早く導入すべきだ。技術的には可能で、間違って放電されることや救助者の感電を防ぐ方法もある。メーカーや行政は積極的に取り組んでほしい。
胸骨圧迫やAEDの使用では、衣服を破ってでも脱がすなど患者のプライバシーが守れない場合がある。
一般の人が処置をためらったり、蘇生がうまくいかなかったりした時に責任を問われることを恐れるという気持ちも考える必要がある。
こうした背景には100%の安全と結果責任を追及する最近の日本の風潮があると思う。市民の善意を生かし救命率を上げるためには、米国やカナダなどのように「緊急事態に直面した善意の処置者は、その結果に対して責任を負わされない」という「よきサマリア人の法」の整備が必要だ。

 私の視点より----聖路加国際大学院特任教授・宮坂勝之

善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、英:Good Samaritan laws
とは
「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。
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ベトナム戦争報道で知られるカメラマンの石川文洋さんは、日本列島を歩いて縦断したことがある。
そのとき実感したのが「日本の道路は基本的に自動車優先で、歩行者のことは考えられていない」ということだ。
町なかにはたしかに歩道があるが、町と町をつなぐ道には見当たらない。白い線だけが引かれた路側帯を歩くときには常に緊張したという。しかしこの事故現場には、白い線すらなかった。
おととい千葉県八街市の道路で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込んだ。歩道もガードレールもない通学路が車にとって格好の抜け道になっていたとは。身を守るすべもなく、8歳と7歳の幼い命が奪われた。
逮捕された運転手からは基準値を上回るアルコールが検出された。東京都内へ資材を運んで「帰る途中に酒を飲んだ」と供述しており、目立ったブレーキ痕もないという。またも飲酒が車を凶器に変えてしまったのか。
繰り返される被害に「私たちは鈍感になりすぎてしまってはいないだろうか」。2003年にダンプカーの事故で6歳の娘を失った佐藤清志さんが手記に書いていた。ことの悪質さをはっきりさせるために、交通事故ではなく「交通事件」「交通犯罪」の表現を使うべきだとも、重く響く訴えである。
子どもたちの未来が、不条理に断ち切られた。凶器を扱う自覚なしに、誰もハンドルを握るべきではない。そして凶器から人間を守る手立てが、この国にはまだまだ足りない。

 天声人語より
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コロナ禍の不安
首相が繰り返す「無観客もありうる」なんて当然だ。
まだ「中止」の道もあるはず。
ワクチン供給への不安が募る。
争奪戦に。

素粒子より
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洗濯機を回すべきか、回さざるべきか。梅雨のこの季節は、刻々と変わる気象情報が気になって仕方ない。
洗うのを諦めたのに少し日が差せば、悔しい思いもする。〈梅雨は降り梅雨は晴るるといふことを〉後藤夜半。
きのうの関東は梅雨の晴れ間となり、我が家もタオルやシャツをお日さまにあてることができた。庭のキュウリやトマトも満身に日を浴びている。洗濯物が光合成をするわけではないが、何だかエネルギーを吸収しているような。
英国の作家カズオ・イシグロの近刊『クララとお日さま』は、太陽の恵みを信じるロボット「クララ」の物語だ。「お日さまに出会えた運のいい日は、顔を前に突き出し、できるだけたくさんの栄養をいただこうとしました」。
自分のエネルギー源である太陽光が、人間の病気も直すと信じて疑わない。だから病の床にいる少女のため、栄養分を注いでほしいとお日さまにお願いするのだ。雨の季節に読み返すと、クララの思いは間違っていない気がしてくる。
本の表紙にあるのは大きなヒマワリである。「日輪草」や「日車」の名前もあり、英語では「サンフラワー」。人々は昔から、そこに小さな太陽を見たのだろう。他の草花を見下ろすようにすっくと立つ姿に今年も出会うことができた。
〈向日葵の百人力の黄なりけり〉加藤静夫。雨でもそれほど冷え込まなくなったのは、盛夏が近づいているからだろう。気がつくと百日紅や木槿のなども我が物顔で咲き始めている。

 天声人語より
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日銀短観2年半ぶりの高水準
6月の短観が発表され、大企業・製造の指数は前回3月から9㌽改善して14となり、2年半ぶりの高水準だった。
非製造業の指数も2㌽上向いて1となり、4四半期連続で改善し、5四半期ぶりにプラスに転じた。

紙面より
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いつかは最後まで読みたい小説に、島崎藤村の『夜明け前』がある。
明治維新の前後を描いた対策である。頭から読んで何度も挫折し、いっそ第2部から始めようとページをめくるが、牛の歩みだ。
このままでは一生無理かもしれないと、ダイジェスト版も手に取った。うーん、これでは読んだことにならないか。でも挫折で終わるよりはましか----。要約という近道。2時間ほどの映画にも、そんなものがあると知って驚いた。ファスト映画というらしい。
映画を10分程度に編集し、字幕などであらすじを紹介する。そんな動画が昨年春からネット上にひろがっている。予告編と違って結末が分かってしまうから、本篇へのいざないでなく広告収入が目当てだろう。著作権法違反にあたるとして投稿者が逮捕される例も出ている。
要約がビジネスになる。代表的な例が1920年代に創刊された米国の雑誌「リーターズダイジェスト」だ。様々な雑誌から記事を抜粋し、要約する手法は大当たりした。米紙によると創業者は、多すぎる情報に人びとが圧倒されており、取捨選択が必要だと考えた。
最近のネット記事でも頭に要点を記すのがはやりのようだ。情報や論考であれば要約がなじむのはわかる。しかし芸術や娯楽は違うのではないか。ファスト映画に需要があるのは、もしや映画も情報の一つだと考える人が増えているからか。『夜明け前』のダイジェスト本はやはり、遠ざけておくことにしたい。

 天声人語より
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