2021年05月の記事


今日は何の日
きょうは世界禁煙デー。
なじみの禁煙バーで飲みたいけれど、コロナ休業中。
切ない。外出自粛、3密回避、マスク会食。
〈ねばならぬもののみ増えて五月尽〉加藤瑠璃子。

素粒子より
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予防接種を何度も打ち、うがいを徹底し、子どもは学校を休ませる。
感染対策をしても、あす元気でいられるか分からない----。百年余り前、スペイン風邪の恐怖を自著につづったのは歌人の与謝野晶子である。
歌集『みだれ髪』で名をはせた一流の文化人。夫の鉄幹も有名だが、晶子ほど文学史に刻まれる作品は多くない。幾人もの女性と浮名を流したと何かで読んだが、晶子は夫をどう見ていたのだろう。
「晶子にすれば鉄幹は二人三脚の相手でした」。晶子の出身地、大阪府堺市の与謝野晶子記念館の学芸員森下明穂さんは話す。もとは尊敬した文学の師で、11人の子とともに育て上げた。晶子に離婚する気はなかったと見る。
鉄幹は明治半ばに一世を風靡したが、長い不振に陥る。「豊富な文学の知識をいかにして頭で詩歌を練り上げていくタイプ。若い文学者たちには古びて感じられました」。対照的に晶子は胸の思いを自在に歌い上げ、生涯を通じ文名は高かった。女性の自立をはじめ評論でも活躍した。
年を追って鉄幹は黒衣に徹していく。幼子を入浴させ、妻の手紙を代筆し、多くの購読紙や取り寄せたフランス誌の記事を要約して伝えた。プロデューサーとしての腕は確かなようである。
〈二人にて常世の春を作れりとわれなほ半思はるるかな〉。1942年に刊行された最後の歌集『白桜集』にこの一首があった。波乱続きの夫婦がたどりついた常世の春を思う。あすはその年に没した晶子の命日「白桜忌」。

 天声人語より
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物忘れをすれば新しいものが入りやすくなる。
集めた情報で身の回りを固めていると、人間は干からびていく。情報はどんどん捨てる方がいい。
といっても人の記憶はままならない。「覚えようとするものは忘れがちなものだが、忘れようとするものはなかなか忘れられない」。自分の記憶ですらこうだから、人様の記憶などおよそ思い通りにいかないと考えるのが普通だろう。
ところが最近、「忘れられる権利」が話題になる。自分に関する不都合な情報をネット上から消させる権利、つまりは人様に忘れてもらう権利だ。欧州では、以前のトラブルについて新聞記事がずっとネットに残り、不利益を被った人が訴えて、5月に検索結果の削除が認められた。
日本でも似た争いがある。自分の名前を検索すると犯罪に関わっているかのような結果が出て、生活が脅かされている。そんな申し立てに東京地裁は先日、人格権の侵害を認め、削除を命じた。検索最大手のグーグルが、この命令に従うと表明した意味は大きい。
仮想世界を漂う「記憶」は時に凶器になる。その適切な取り扱い方を確立すべく、試行錯誤が続く。

 天声人語より
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予約の電話もネットもつながらない。かと思えば、コネや権威で先にちゃっかり済ませた人も。
津々浦々で進むコロナワクチンの接種は、「早い者勝ち」ならではの悲喜劇を生む。
会津駒ケ岳のふもとにある福島県檜枝岐村では、高齢者だけではなく全村向けの集団接種が今月末で終わる見通しになった。驚きの早さだ。村住民課長の星友和さんによると、予約すら必要なかった。村内に接種対象者は約460人。国から届いたワクチン1箱(487人分)でまかなえたからだ。
先月中旬から村職員が手分けして各戸を訪問。家族構成や職種を考慮して村役場が接種日時を各人に割りふった。たとえば旅館や民宿を営む家族には、手のすきやすい平日の昼間を指定した。
「小さな村で、顔や仕事を知っているので、都合のつきやすい時間帯が読めました」と星さん。交通手段のない人は役場の公用車で送迎する。日時の変更希望はあっても、苦情はなかったという。
対照的なのは、10年前に公開された米映画「コンテイジョン」の荒々しさ。世界的な感染症の拡大下、官製まもないワクチンを手に入れようと強盗や誘拐が起こる。作り話とわかっていても、コロナ禍のいま見直すと、人間のあさましさにため息がもれた。
「先着順」一辺倒の予約方法では、何千人、何万人もの枠がまたたく間に埋まり、ネット弱者は置いてけぼり。人口の少ない村々にならえとは言わないまでも、もう少しいたわりのある方向へ改善できないものか。

 天声人語より
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夜型生活取り戻すには、朝日を浴びる。
乱れた睡眠のリズムを取り戻すにはどうすればいいのか。
①朝に日光を30分ほど浴び、睡眠ホルモンに関わる体内時計をリセットする
②日中に適度な運動をし、夜とのメリハリをつける。
③胃や腸を休めた状態で眠るために、就寝の3時間前には食事を終わらせる。
④夜は強い照明を使わないで過ごす--などが効果的という。
また、乱れた体内時計を整えて規則正しい生活リズムを手に入れるために、毎日の睡眠時間を記録することを勧める。起床・就寝時刻や寝ていた時間、途中で起きた時間・回数を振り返り、できるだけ毎日同じリズムを繰り返すようにする。休日だけ起床時間が遅くなる場合は注意が必要だ。平日の起床時間と2時間以上ずれると翌週の前半は時差ボケの状態となり、心身への負担が増えるという。
体内時計が乱れたままだと、睡眠時間帯が日常生活に支障を及ぼす「概日リズム睡眠障害」になる恐れもある。「朝起きられないなどの症状は『やる気がない』『だらしない』と見られがちだが、治療が必要な場合もある。受診をためらわないでほしい、と話している。

 はぐくむより
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今春、長野県大町市に「トロバス記念館」という展示施設がオープンした。
日本一の堤高を誇る黒部ダムに至るただ一つの交通手段として、延べ6千万人を運んだ「関電トンネルトロリーバス」の歴史を語り継ぐ。
運航は1964年に始まり、無事故のまま3年前に営業を終えた。車両は15台とも解体される運命だったが、惜しむ声はやまない。ダムの玄関口である大町市は、最後の1台を保存しようと180万円をクラウドファンディングで募った。たちまち目標額の3倍以上が集まった。
「大町の象徴のような乗り物。残したくても市には予算が足りず、一度断念した事業でした」と市職員の宮坂充明さん。市として初めて試みたネット上の寄付集めが予想外の成功を収め、感激したそうだ。
支援者からはメッセージが届いた。「家族旅行の大切な思い出」「大学の山岳部で何度も乗った」「亡くなった父が黒部トンネルを掘った」。県内外のファンからの篤志が多かったという。
「不可能を可能にする何かを信じよう」。トンネル掘削の苦難を描いて大ヒットした映画「黒部の太陽」で、主演の三船敏郎さんが熱い言葉を吐く。工事は落盤や濁流に阻まれるが、現場が奮起し、不可能かと思われた貫通を実現させる。
富山、長野両県を結ぶ立山黒部アルペンルートが全線開通してから来月でちょうど50年。世紀の難工事に比べればスケールこそ小さいものの、最後のトロバスを残したいと奔走した人々の思いも十分に熱かった。

 天声人語より
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コロナ対策
金曜は緊急事態宣言の日みたい。
毎週のように、決定、延長、拡大、そして再延長。
「東京で1日100人」。
こんな解除基準の提言あり。
公明党の調べでは248。
政府発表の2倍の自治体で、高齢者接種が7月に終わらぬ。

素粒子より
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最近見たインド映画「あの雲が晴れなくても」の主役は月である。
舞台は雨の降り続くインドの村。皆既月食を一目見ようと人々が竹で月見やぐらを組み上げ、雲が去るよう歌う。
ドキュメンタリー作品ながら詩情たっぷり。雲の切れ間から奇跡のように顔をのぞかせる月が美しい。それにしても日食ならともかく、皆既月食にこれほど心躍らせる文化が海外にあるとは知らずにいた。胸に手を当てても、子どものころ、月食を待ち焦がれた記憶はない。
月食は古来さまざまな民話を生んできた。インカ帝国の人々は、月を襲って食べる猛獣ジャガーを追い払うよう犬を吠えさせた。中国では、百節参天樹という植物に乗って天宮に上がった犬がつきにかじりつくと読み解いた。
明日の夜、3年ぶりの皆既月食が日本各地で見られそうだ。欠けるのは、年間で最も地球に近い位置にある満月、いわゆるスーパームーンだ。今年最大の天文ショーと呼ばれる。
「スーパー・フラワー・ブラッド・ムーン」。英語圏でと当夜の月を、特大の花の血の月と称する。花々が咲き誇る5月ゆえフラワー。血のような赤銅色に染まるからブラッドというわけだ。欧米では観測しにくく、日本や豪州、ハワイあたりが絶好の地に挙げられる。
日本で「皆既」となるのは午後8時9分ごろ。当夜の空模様が気になるところだが、村をあげて月食をめでるインドの人々にあやかり、どうかその時間帯だけでも晴れますように。

 天声人語より
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政府の対応
気分は、もうとっくに「再延長」してるけど。
相次ぐ知事の要請に、政府は調整中。

素粒子より
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地球は46億年前に誕生した。ウイルスが生まれたのは30億年前。人類にはまだ20万年の歴史しかない。
もし地球全史を1年に圧縮すれば、ウイルスは5月生まれ、人類は大みそかの夜11時37分に生まれたばかりとなる。
この時間軸は、ウイルス学の泰斗、山内一也東京大名誉教授から敎わった。「ウイルスは人類より個性も豊かで、不器用なものも器用なものもいます」と話す。
たとえば天然痘は不器用派の代表格か。ヒトのみを宿主として変異も少ないため、ワクチンに弱い。対照的なのが現下の新型コロナ。多くの哺乳類に宿ることができ、変異も活発で、にほんだけで70万人超を感染させた。
山内さんは1950年代、冷凍保存のいらないワクチンをつくり、その後の天然痘根絶に貢献した。聞けば、先週、1回目のワクチン接種を済ませたところだ。「いつパンデミックが起きてもおかしくないと警告してきた私が打ってもらう側に。ワクチンはいま最も期待できる手立てですから」。
この先、接種が世界規模で進めば、COVID-19の息の根など完全に止められるものと思いきや、それほど単純ではないらしい。弱毒化しても生き延び、ふつうの風邪を起こすウイルスとして存在し続けるのではないか。それが山内さんの描く未来図である。
きょうから国による大規模接種が始まる。モデルナ製など新たに2タイプも承認されたが、ゴールはなお見通せない。私たちは収束までの長い時間軸のいったいどのあたりにいるのだろう。

 天声人語より
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五輪問題
米国の「渡航中止」も何のその。
五輪相らの対応は想定通り。
その説得力のなさ。
緊急事態の「再延長」を横目に、開催へ突き進む。
「安全・安心」を呪文のように。

素粒子より
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伊達政宗の遺訓とも俗に言われてきた五常訓のなかに「智に過ぐれば嘘をつく」との言葉がある。
確かに知恵者はずる賢くウソが多そうだ。策士策におぼれる。戦国武将の自戒とされるのもよくわかる。
ところが、近年の研究によると知能の高さと虚言の多さに明確な関係はないそうだ。ウソをつきやすいと科学的にわかったのは欲ばりな人や創造性の豊かな人、あるいは疲れている人だとか。
京都大学准教授の阿部修士さんの著書『あなたはこうしてウソをつく』でウソ研究の最先端を知った。人間は生まれつき他人をだますのか。それとも成長して不正直者になるのか。阿部さんはそんな疑問から研究を始めたという。
もちろん答えは単純ではない。脳機能を調べてわかってきたのも、性善説と性悪説の両方をあわせもつ複雑な脳のはたららき。「すぐには役に立たない研究ですが、こみいった人間の性質を説明できるメカニズムをみつけたい」と阿部さんは話す。
米国のデータによれば人は1日に平均1回ウソをつくという。誰かを傷つける邪悪な偽りだけでなく、優しさの虚言もあれば、悲しみを忘れようとの自己欺まんもある。そもそも私たちは真実と虚偽とをつねに行き来する存在らしい。
あすは伊達政宗の385年目の命日。五常訓には「義に過ぐれば固くなる」とも記される。正しさだけでは窮屈ということか。さて私は最近いつウソをついただろうか。記憶をたどるが、思い出せない。いや、ウソではなく本当に。

 天声人語より
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五輪開催
「鎖国五輪」と揶揄されてきたが、何だか開催機運にトドメを刺された感あり。
米国が二編への渡航中止を勧告。

素粒子より
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戦前の特別高等警察、略して特高は反体制運動を弾圧した。捕われた人の扱いは熾烈を極めた。
プロレタリア作家小林多喜二を拷問して死に至らしめたのは有名な話だ。
特高が担った役割の一つが外国人、それに朝鮮など植民地の人たちを扱う入国管理だった。戦後、その特高関係者の少なからぬ部分が公職追放を免れ、様々な形で入管の仕事に携わったと国際法学者の大沼保昭氏が指摘している。
もしやかつての体質を引きずっているのではないか。そう思わせる現代の入管である。名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した衝撃はあまりに大きい。
支援団体によると食事も歩行もできないほど衰弱していたという。一時的に収容を停止する仮放免を申請したが認められなかったという。あこがれの日本に留学したものの学費が払えなくなり、不法残留に。最後は命まで奪われた。
先日の紙面によると1997年以降、収容中に少なくとも21人が亡くなっており、うち5人が自殺という。劣悪な扱いの背景には「巨大な権限を持つ入管の不透明性」があると、元入管職員が指摘していた。日本の中に人権の空白地帯があり、放置されてきた。
過酷な環境に置き、日本にいることを諦めさせる。そんな狙いもあるかと疑いたくなる入管行政である。求められるのはむしろ、ひとりの人間として尊重するための法制度だ。

 天声人語より
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五輪問題
IOCの「宣言下で可能」を首相は黙認するのか。
「打ち勝った証し」は、どこへ。
早くも延長論が語られてる「緊急事態」の存続の軽さ。

素粒子より
夏空のもと、純白が緑の葉を覆うように。〈山法師あまねく日差浴びてをり〉勝村博
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往年のチャップリン映画「モダン・タイムス」には、新技術で労働者を縛ろうとする工場が出てくる。
自動飲食機械は、昼休みを与えることなく、短時間で昼食を取らせるためのもの。主人公チャップリンの口にスープ皿をあてがおうとして、顔にぶちまけてしまう。
その点、監視カメラは完璧だ。持ち場を離れてたばこを吸っていると、壁の大型スクリーンにいきなり社長の顔が大写しになり、「なまけるな、仕事だ」と怒鳴られる。がんじがらめの管理にチャップリンはまいってしまう。
自動飲食機械はともかく、監視技術の進歩はめざましい。在宅勤務であっても、いや在宅だからこそのやり方があると先日の紙面で知った。働きぶりを詳しく把握するソフトを、社員たちのパソコンに入れた会社の話である。
電子メールの件名や閲覧したサイトの履歴、作業した時間などの情報が収集され、会社に伝わるという。監視が目的ではないというのが会社の言い分だだが、果たしてどうか。
昔を振り返れば、外回りの仕事ならそれなりに自由があった。多くの仕事をパソコンでこなす現代は、どこにいても監視カメラの前にいるようなものかもしれない。実際、内臓カメラを通じて働いている姿を撮影するソフトもあるというから、恐れ入る。
なまけるなんてとんでもない、在宅だとお昼休みも取らず、際限なく働いてしまうという方もいるのではないか。能率を上げつつ過重労働を避けるには、監視よりもコミュニケーションが肝要であろう。

 天声人語より
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老後の健康、歩いて外出できる体力を
「団塊世代」が、10年足らずで75歳以上の「後期高齢者」となる。その後の人生の明暗は「歩いて外出できる体力の維持」にかかっている。家事をこなし、公共の乗り物で移動し、スーパーで買い物ができれば、一人暮らしも可能だ。外出できれば、近所の人とも交わり、草花や風のそよぎに季節を感じ、心も豊かになる。買い物をすれば計算もする。歩けなくなると一挙にそれらを失い、医療、介護の対象になる。
心身を動かさないと老化は加速する。そのターニングポイントは、男性の場合、定年退職時にある。ここで手を打つには、いわば「大人の義務教育」のように場が有用と考える。「定期的に歩いて外出する場」を提供し、地域とのコミュニケーションの構築、健康・調理などの知識と技術を習得することを目標とした授業をしてはどうだろうか。
歩いて通えることが前提なので、65歳前後の1~2年間、半日程度のコースで週に2回ぐらい学区の小中学校の空き教室に集まってもらう。
全員参加は、ホームルームと健康講座くらいにしておいて、パソコン、園芸、手芸などカリキュラムは工夫次第、講師もメンバーの中から出てくるだろう。栄養の整った学校給食を食べれば、筋力低下予防にも効果があるはずだ。
自治会などで対象者全員に声がけするが、親や孫の世話、仕事や趣味を理由とする不参加は可とする。だが、出欠届は義務とする。元気だけど、自ら積極的に出向かない人々を集めることで、点と点がつながり面となれば、子育てや介護、防災の一助にもなり、地域に飲み仲間やゴルフ友むだちもできるだろう。終了後は自主活動が継続すれば成功だ。地域差はでるだろうが、医療費や介護費の削減に向けて、市町村でこのような「大人の義務教育」に取り組むことはできないだろうか。

 オピニオンより-----健康運動指導士・山田佐世子
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反戦や労働問題を主題とした版画家、鈴木賢二に「署名」という作品がある。
子どもをおんぶしたお母さんが署名用紙に向かい、眉間に力のこもった表情で名前を書く。白と黒だけの骨太の木版画である。
先日、東京・町田市立国際版画美術館で目にしたとき、長いこと足がとまった。自分の名前を記して何かを求める。その行為の重みが伝わってくる。1960年の作で、聞けば労働者を守る運動に材を取ったらしい。
署名という行為が、これほど侮辱されたことがかつてあっただろうか。愛知県知事のリコールをめぐり、運動団体の事務局長らが逮捕された。アルバイトを使い、有権者の名前を大量に書き写させ署名偽造の疑いである。
「予定通り署名が集まらず、焦りがあった」と事務局長は語っていたという。署名に「予定」があるのもおかしな話だが、切羽詰まった彼にとって署名は、ペンを紙に走らせる筋肉の運動にしか映らなかったのか。忘れてならないのは、現職の名古屋市長がリコール署名の後押しをしていた事実である。
戦後史に残る運動に、50年代の原水爆禁止の署名がある。3千万筆超を集め、原水禁世界大会が始まるきっかけになった。小さな声でもやがては大きくなり、「それがかならず、こだまとなってかえってくる」。当時の新聞に投稿された賛同の言葉だ。
小さな声が集まらなければ、作ってしまう。歴史に汚点を残す偽造事件は、この国の民主主義に起きている腐食を示しているのではあるまいか。

 天声人語より
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老いを遅らせるには--心がけが大切
「アンチエイジング」という言葉が注目を集めている。アンチエイジングと
は、できる限り老いを遅らせて若さを保とうという試みだ。
若さ、アンチエイジングというと、スキンケアやサプリメントなどを思い浮
かべる人は多いが、一番大切なのは「気持ち」だ。やりたいことをやること
。無理をし過ぎないことを心掛けると良い。自分を責めないで、いい加減に
、気ままに生活することがお薦めだという。
また、適度な緊張感、ストレスも刺激につながる。ある程度の年齢を過ぎた
ら仕事をしないで家の中で閉じこもっている人は少なくない。だが、ボラン
ティアでも良いので「誰かの役に立っている」という実感を感じられること
を意識的に行うことが大切だ。
そして「きれいになりたい」と願い、行動を起こすことは、世界を広げ自分
を内面からも輝かせる。
たばこと紫外線はなるべく避けよう。特にたばこは肌に悪く、体の循環に悪
影響を与える。
アンチエイジング5カ条
◆いくつになっても男と女
  「美しさ」に磨きをかけよう
◆肌の若返りは心の若返り
   メークアップは外見、心も若返らせる
◆バランスの良い食事と適度な運動
   アンチエイジングの効果は食事と運動が9割
◆よく笑い、よく話し、よくかむ
   笑いは免疫力を高め、かむことは脳の活性化になる
◆長生きこそ最大の誇り
   いくつになっても積極的に社会貢献を
 
 北里大名誉教授・塩谷信幸
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作家の佐伯一麦さんは若いころ、東京で電気工として働いていた。団地や電気室やボイラー室などに赴き、作業をする。
1980年代の当時、多くの現場でおなじみだったのが、防火用のアスベストだ。
工事のため石綿の上からドリルで穴を開けると、粉じんが部屋中に舞った。じかに吸い込み続けるうちに咳が止まらなくなり、胸を患う。石綿が原因と診断されるのはずっと後のことだ。
自分の体験に加え、医師や被害にあった人を訪ね歩いて書いたのが『石の肺 僕のアスベスト履歴書』である。危険に無策だった国によって「アスベスト禍の人体実験をされたといえるのではないでしょうか」。佐伯さんの訴えだ。
被害者の救済への大きな一歩となったのが一昨日の最高裁判決である。建設現場で石綿を吸い込んだ元作業員と遺族の主張がほぼ受け入れられ、国と建材メーカーの責任が認められた。危険を知りながら、防じんマスク義務化や危険性表示などの手を打たなかったことが問題とされた。
その「不作為の罪」が続いた期間は1975年から約30年に及ぶ。経済が優先され、働く人の健康が後回しにされた年月である。提訴からも13年がたち、何人もの原告がこの日を迎えられずに亡くなった。長すぎた空白を少しでも補う救済措置がいる。
アスベストの名は「永久不滅」を意味するギリシャ語に由来する。火や熱に強く安価な資材として高度成長期に多用され、対策が遅れた。日本経済の影の部分が問われている。

 天声人語より
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緊急事態宣言
沖縄も緊急事態に。
「効果ありません」なんて、元官房長官が言ったばかりだけど。

素粒子より
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「お天気で何よりです」というように、日本語の天気はそれだけで晴天を表す。
英語のウェザーはいくぶん異なっており、もともと暴風の意味を持つという。動詞として使われると「難局を切り抜ける」の意味にもなる。
天気とは本来悪いもの。だから積極的に備える。英語にはそんな考え方がうかがえると、気象エッセイスト倉嶋厚さんが書いていた。例年にも増して、備えと心構えが必要になりそうな今年の梅雨である。
初夏を楽しむ余裕もなく、続々と宣言される梅雨入りは、平年より20日以上早い地域が目立つ。四国や近畿は統計を取り始めてから最も早くなった。ではそのぶん早々に明けるかというと、過去の記録を見る限り期待できない。長梅雨を覚悟した方がよさそうだ。
梅雨を「五月雨」というのは旧暦に由来するためだが、今年は違和感がない。厚い雲に覆われたこの暗さも「五月闇」の季語を使えば少しは味わいが出るか。〈鍵盤に触れし残響五月闇〉徳田千鶴子。
何かの楽器に触れるのは、たしかに雨の日のなぐさめになる。読書もそうだろう。〈黴くさき書架より恋の物語〉広瀬綱子。黴もまた夏の季語である。じめじめした気分も、小説の世界に入り込めば、いっときは忘れられるか。
熊本県はすでに大雨の被害に見舞われている。風水害をもたらす梅雨や台風だが、大切な「空の水道」「空の給水車」でもあると倉嶋さんは書いた。なるだけ穏やかな給水でありますよう。

 天声人語より
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リコール署名問題
「知らなかった」そうで。
旗を振った川村、高須両氏の無責任な態度にあきれ返る。
民意なんて、こんなものと侮っていたな。
「維新」の衆院候補予定者だった人物は。

 素粒子より
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髪を切ってもらう順番を待ちながら、他愛のない話をする女性がいる。最近読んだ本のことを美容師に話す客がいる。
会話に「戦争」や「敵」といった言葉がまじるのは、美容室がある場所がパレスチナ自治区のガザだからだ。
「次の戦争はもとひどくなる。ガザを地図から消す気よ」「まだ消せるものがある?」「私たちよ。いっそ楽にかるかもね」。2015年の映画「ガザの美容室」は、危険と隣り合わせの日常がどういうものかわ教えてくれる。
種子島より小さい面積に200万のパレスチナ人が暮らす。世界でも有数の人口密集地であるガザ地区は「天井のない監獄」と言われる。何度もイスラエルに攻撃されてきた地域が、今また空爆にさらされている。
ビルとビルの間に炎があがる。高い建物が丸ごと崩れ落ちる。現地からの映像に現実感を失う。イスラム組織ハマスの拠点を狙っているというが、子どもを含む多くの市民の命が奪われている。
空爆の理由は、ハマスによるロケット弾攻撃でイスラエル市民に犠牲が出たことへの報復という。ではハマスが攻撃に乗り出した理由はというと、エルサレムでのパレスチナ人排除だ。そんなふうに対立した経緯をたどれば、1948年にパレスチナ人が故郷を追われたイスラエル建国にまで行き着く。
複雑な歴史の上に平和を築くのは容易ではないが、まず求められるのは停戦である。仲介を担う米国やアラブ諸国の責任も重い。ガザに「天井のない地獄」を強いてはならない」

 天声人語より
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コロナ対策と経済
コロナ対応の巧拙がGDPにくっきり。
なにしろ、G7で最低の接種率だから。

素粒子より
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洋の東西を問わず、弱い者が強いものに立ち向かうお話の中では、力を合わせるのが肝要だ。
「ブレーメンの音楽隊」では年老いて居場所がなくなったロバや犬、猫や鶏たちが集まり、鳴き声をあげて泥棒を追い出す。
「猿蟹合戦」では子蟹や栗、蜂が頑張って猿をこらしめる。そんな話を思い出させる反乱劇が政府のコロナ対策で起きた。まん延防止等重点措置にとどまるはずだった北海道と岡山県、広島県が一転して、緊急事態宣言の対象となった件である。
おととい政府から諮問を受けた専門家たちが次々と異論を唱え、当初の案を押し返した。彼らは前日夜、非公式のオンライン会合を開き、意見のすりあわせをしていた。政府方針は甘すぎる、ゆえに追認してはいけないとの思いからだろう。
専門家たちの行動力には敬意を表する。気になるのは、政治家でもない彼らがひそかに作戦会議のような動きをせざるをえなかった点である。おのおのが自然体で意見しても耳を傾けてくれない。そんな扱いを何度もされてきた裏返しか。
専門家の危機感といえば、政府分科会の尾身茂会長が東京五輪について、医療の逼迫度合いをみて開催の是非を判断すべきとの考えを示した。首相はじめ政府関係者が中止の選択肢に目をつぶるなか、至極真っ当な発言だ。
政府は五輪に必要とみられる医療資源を全て明らかにし、開催の是非を分科会に諮ってはどうだろう。何を言われるか分からないと思うと怖くてできないか。

 天声人語より
医師会などは人を出せないといっているが、応募したら約2倍近い人数が集まった。看護師も同じである。
この話の差は何か。スポーツドクターは医師会の医師ではないのか。マスコミは追及して報道すべきだ。
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GDP5.1%減
1月~3月期のGDPが四半期ぶりマイナスに。
新型コロナウイルス対策で年初に出された2度目の緊急事態宣言で、再び国内の経済活動が大きく制約されたことが響いた。

 紙面より
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新緑が山を彩る秋田県小坂町の直売所に、淡いピンクと緑の皮に包まれたタケノコが並び始めた。
地元ではネマガリタケと呼ぶ。雪の重みで根元が曲がることからその名がついた。
数ある山菜のなかでも採取の難しさは群れを抜く。「人間だけではなくツキノワグマも大好物だからです」。山菜のネット通販会社「あきた森の宅急便」代表の田中奈津子さんは話す。この季節、腕に自慢のお年寄りたち30人が山に分け入り、採れたてを全国に発送する。
ネマガリタケが育つのは、生い茂ったササやぶの中だ。這うように進むうち、同じくタケノコを探すクマと鉢合わせする危険も。地元の人々は腰につけたラジオとクマ鈴を大音量で鳴らし、奥を目指す。
振り返れば、ここ数年クマをめぐる痛ましいニュースを聞かない年はない。秋田でも5年前、ネマガリタケ採りの男女4人が相次いで襲われ、亡くなった。環境省によれば、被害を受けた人は昨年度が過去最多だった。
地元の方々が危険を知りつつ山に入るのは、わけがある。過疎と高齢化が進む山里では、タケノコは貴重な収入源。山で生計を営む人もいる。話をうかがい、クマとヒトが争わずに山の恵みを分け合う手立てはないかと思いをめぐらせた。
直売所で買ったネマガリタケを自宅でゆでた。トウモロコシのような甘い香りが食欲をそそる。タケノコ汁を味わいながら、東北の名人たちに感謝の気持ちが湧く。残雪を踏みしめる足音とクマ鈴の響きが耳の奥にこだました。

 天声人語より
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コロナと、早い梅雨入り
どうなる「大阪危機」。
累計の死者数が東京を超えた。
接種加速の看板を掲げて、国も受け付け開始。
二重予約などで混乱しませんように。

素粒子より
まだ使う薬の承認も下りないのに、予約とってもいいものか。
一般庶民には分からない話だ。
マスコミもそのあたりは何も報道がないが、承認されるとのみこみなのか。
実体を報道してほしいものだ。

平年より21日も早く近畿、東海が梅雨に。
〈黒南風や生きものの匍ふ忘れ潮〉野上恵
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事故から10年後に遺族が植えたヤマボウシの葉が緑に輝く。
20年の節目に立てられた「安全の鐘」には真新しい千羽鶴が。きようで発生から30年となる滋賀県甲賀市の信楽高原鉄道事故現場を訪ねた。
慰霊碑には犠牲者42人の実名が刻まれていた。一人ひとりの名を追っていく。取材の前に読んだ訴訟記録『信楽列車事故』には、犠牲者の人となり、遺族それぞれの思いが記されていた。
夫を事故で失った女性は翌年、42個のおにぎりを作り、公開された事故車両の前に供えた。「亡くなった方はみな、お昼を食べられませんでしたから」。午前10時35分に起きた惨劇だった。
母を奪われた男性には今回、電話で話を聴いた。「事故後、父は別人のように憔悴しました。自分も三回忌までは落ち着きませんでした」。父はJR西日本を相手取った訴訟にも加わり、証言台に立つ。「責任逃ればかりの鉄道会社に怒りが収まらなかったようです」。90代の父はいま、高齢者施設で暮らす。
遺族らは鉄道事故の原因を調べる常設機関をつくるよう粘り強く国に働きかけた。訴えが10年後に実り、「航空・鉄道事故調査委員会」が誕生する。衝突、脱線、転覆、逆走。各地の現場の調査へ調査官が駆けつけ、原因の究明にあたってきた。
遺族らの結成した組織はおととし解散し、年を追って式典への出席者も減ったと聞く。再び慰霊碑の前に立つ。埋めがたい遺族の喪失感を思い、鉄道の安全を改めて祈った。

 天声人語より
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「健康づくりのための身体活動基準2013」は身体活動を「運動+生活活動」と定義
日々のちょつとした動きもスポーツ並みの健康効果があり、ちょっと体を動かすことを増やす「プラス10」を推奨。そうすれば、がんや認知症を減らせるという。
では、どうすれば生活活動を増やせるのか。まず起床から就寝までに、どこで体を動かせるか1日を振り返ることだ。
通勤時に早歩きしたり、掃除や洗濯でキビキビと動いたり。そんな小さな動きが「ちりも積もれば山」。1日10分でも、1週間で合計1時間でもいいし、途中でやめても三日坊主を繰り返すつもりでも構わない。
自分の身体活動レベルを知るときには活動量計が役に立つ。
歩数計の機能に加え、家事などの生活活動で1日に体を動かして消費したカロリーが示される。活動量が基準や目標に対して十分なのか下なのか客観的に教えてくれる。
いわば自分の現在地を示すナビ。最近は結果をパソコンやスマホに送って確認できる。
注意点は、体を動かす次官は一気に増やさず、体調が悪いときには無理をしない。痛みが出たら、医師や運動の専門家に相談を。夏場などは炎天下を避け、熱中症に気をつけよう。

 元気のひけつより
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この2月、南米ペルーの元大統領がひそかに新型コロナワクチンの接種を受けていたことが発覚する。
売ったのは在職中の昨秋で、家族もいっしょ。「私は治験に参加したつもりだ」。いかにも苦しい釈明である。
ほかに外相と保健相も、ぬけがけの接種が露見する。元大統領に対しては、国会が「接種は国民の平等などを定めた憲法に違反する」として10年間の公職追放を決議した。その直後、ご本人が感染を公表するというとんだ顛末に。
南米の騒動は対岸の火事ではなかった。こちらの舞台は愛知県西尾市。主役は大手薬局チェーンを経営する名士夫妻。順番待ちをせず早く接種を受けられるよう、秘書が再三再四、市側に迫っていた。
担当部署は抵抗したものの、副市長が根負けする。土檀場で接種には至らなかったそうだが、行政の公平性は踏みにじられた。一向につながらない予約電話にため息をついて各地の人たちはあきれ果てているだろう。
接種の進む米国でもルール破りは後をたたない。接種の担当者が「きょうの分は尽きました」とウソをついて、何時間も並んだ高齢者を追い返す。こっそり親族や知人を呼び寄せて接種していた。65歳以上に限って接種した街では変装騒ぎも。30代と40代の女性がおばあさんのふりをして1度目の接種に成功、2度目で発覚したという。
てんやわんやのワクチン狂騒曲が世界五大陸で鳴り響く。わが身かいいさゆえの企てが一度に噴き出し、地軸がずれてしまいかねない当節である。

 天声人語より
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救命につなげるために、AED使用をためらわずに
新潟県の高校で野球部の女子マネージャーがランニング直後に倒れ、先月死亡した事故は、いつAEDを使えばいいのか、現場での判断と実行の難しさを問いかけた。
女子生徒は、死の間際に脳への血の流れが止まりかけ、あごや肩、胸や腕が、途切れ途切れにあえぐように動く「死戦期呼吸」の状態だったと思われる。(ギャスピングと現場や医療機関では言う)実際に空気は吸えていないが体が動くので、周囲の人たちは心臓が動いていると思い、AEDを使わなかったのかもしれない。息をしているかのように見えてしまう死戦期呼吸のことを多くの人に知ってもらいたい。
息が止まっていれば、すぐに心臓も止まる。現場に居合わせた人は、あえて患者の脈に触れる必要はなく、息をしているかどうか、だけを目で見たり耳で聞いたりして判断すればいい。講習会でも死戦期呼吸を教えるときは動きが大げさになりがちだが、実際には分かりにくい場合もある。突然の事態に直面した一般の人たちに冷静な判断を求めるのは無理だろう。息をしていないことが疑われるときは、一刻も早く胸骨圧迫をしたり積極的にAEDを使ったりすることが大切だ。
日本のAEDの普及率は世界でもトップクラスだ。的確な設置場所やきちんとした保守管理など課題はあるが、使い方はよく知られるようになった。消防白書によると、2015年に病院外でAEDが実際に使われたのは約1100件で600人ほどの究明につながった。だが、蘇生措置を行えた可能性のある人は数万人とみられ、市民の的確な判断と行動なくして救命率の向上はない。
人が倒れた現場は混乱し、AEDの音声支持も聞き取りにくいだろう。電気ショックのボタンを自ら押すことをためらう心理も働く。居合わせた人がAEDの電極を患者に貼り付けさえすれば、ボタンを押す必要もなく、自動的に除細動をする「全自動」AEDを開発し、早く導入すべきだ。技術的には可能で、間違って放電されることや救助者の感電を防ぐ方法もある。メーカーや行政は積極的に取り組んでほしい。
胸骨圧迫やAEDの使用では、衣服を破ってでも脱がすなど患者のプライバシーが守れない場合がある。
一般の人が処置をためらったり、蘇生がうまくいかなかったりした時に責任を問われることを恐れるという気持ちも考える必要がある。
こうした背景には100%の安全と結果責任を追及する最近の日本の風潮があると思う。市民の善意を生かし救命率を上げるためには、米国やカナダなどのように「緊急事態に直面した善意の処置者は、その結果に対して責任を負わされない」という「よきサマリア人の法」の整備が必要だ。

 私の視点より----聖路加国際大学院特任教授・宮坂勝之

善きサマリア人の法(よきサマリアびとのほう、英:Good Samaritan laws
とは
「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法である。誤った対応をして訴えられたり処罰を受ける恐れをなくして、その場に居合わせた人(バイスタンダー)による傷病者の救護を促進しよう、との意図がある。
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鎌倉末期、京の都で疫病が猛威をふるった。
知恩院の高僧が後醍醐天皇の命を受け、念仏を7日間で100万回唱えたところ、感染が収まる。この言い伝えが各地に広まったのが「百万遍念仏」である。
車座になった人々が10㍍を超すような長い数珠を手から手へ回し、念仏を唱える。「疫病退散」「家内安全」。願いをこめ、百万遍の祈りはいまも各地で続く。
「1日1000万回」。菅首相が新型コロナワクチン接種をめぐり、新たな目標を唱えている。すべての高齢者が2回の接種を終える期限を7月末と定め、逆算した数字らしい。だが実現の道すじはまるで見えない。
連日のように接種をめぐる混乱が続く。予約の電話やサイトがつながらず、困り果てたお年寄りが続々と市町村の窓口へ。高齢者向けの接種は本格化したばかりで、まだ1日あたり5万回に届かない。それをいきなり「百万遍」にと号令されても、現場は疲弊するばかりだろう。
ふりかえれば幾度も誓ったり約束したりしてきた首相である。昨秋の就任会見では「来年前半までにすべて国民に行き渡るワクチンの確保をめざす」。年明けに緊急事態を宣言した日は「1カ月後に必ず事態を改善させる」。残念ながらどれも実現していない。
当方に順番が回ってくるのはいつか。成人で最後の接種者になると仮定して手計算すると、「百万遍」の約束が果たされた場合はこの10月にも。万々一いまのペースのままなら4年後と出た。行く道が遠すぎて目まいがする。

 天声人語より
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エネルギー基本計画
再エネ倍増の方針に期待する。

素粒子より
しかし、コストが4倍にもなるという試算が示され、全面的に賛成とはならない。
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「こちらは発熱外来」「面会禁止」。きのう訪れた東京都立川市の立川相互病院の1階にそんな案内があった。
2、3階の窓には、真新しいメッセージが貼られている。「医療は限界 五輪やめて!」「もうカンベン オリンピックむり!」。
病院によると、掲示したのは先月末。昨年来、重症を含む242人のコロナ患者の入院治療にあたってきた。「ギリギリの人員配置で、将棋倒し的に医療崩壊につながりかねません」。
病院が声を上げざるを得なくなった理由の一つは、五輪の大会組織委員会が先月、看護師500人を派遣するよう日本看護協会に要請したことだ。医療従事者たちからたちまち疑問の声が上がる。「看護は犠牲的行為であってはならない」。ナイチンゲールの名言を引用した投稿がSNSを駆けめぐった。
五輪への派遣を要請された日本看護協会はこの3月、『ナースたちの現場レポート』を刊行している。コロナと格闘してきた看護師ら162人がこの1年の思いをつづった手記集である。
描かれたのは、自分からわが子に感染したらどうしようという不安。最期のオンライン面会で泣き叫んだ遺族の悲痛な声----。未曾有の感染症と対峙する看護師ならではの悩み、迷い、そして使命感を伝える。
緊急事態宣言が延長され、国際オリンピック委員会の会長すら来日を延期するという厳しい状況下で、あす「看護の日」を迎える。危機に直面した看護力をスポーツの祭典に回すなど、もはや現実の話とは思えない。

 天声人語より
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コロナ対策
また、相次ぐ自治体の措置要請を、国が追認する展開なのか。
まん延「防止」というより「確認」するみたいに。

素粒子より
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1871年、明治政府はそれまで存続した藩を廃し、県と改めた。
生まれたのは天童県、松本県、名古屋県、岸和田県、今治県----。府県の総数は305もあった。今年はその廃藩置県から150年を迎える。
「各地の旧藩主にとって廃藩置県は電撃的なリストラでした」と話すのは府県制の歴史に詳しい神奈川県横浜市麻溝台高校教諭の石田諭司さん。305府県体制は長続きせず、明治政府はいきなり75府県に統廃合。各地で復活を訴える運動が起き、47区分に落ち着いたのは明治半ばのことだ。
1903年には28道府県に再編する法案が作られている。北関東に巨大な宇都宮県が君臨。四国では徳島、九州では宮崎になど3県が消えるという構想だった。翌年、日露戦争が勃発し、お蔵入りになったそうだ。
都道府県境を越えて出かけてよいだろうか。コロナ下でそう迷う場面が増えた。「他県からむやみに来ないで」「不要不急の遠出は控えて」。訴える知事たちの顔が浮かぶ。必要かつ緊急の用向きでも、いま住む東京都から出る瞬間、チクリと心が痛む。
思えば、これほど自治体が線引きを強く意識したことはなかった。外出自粛の要請には精いっぱい従っているつもりだが、境目に近いエリアにお住いの方々は日々、どんな心持ちだろう。
ウイルスは都道府県境などものともせず感染者を増やす。このごろは地図で見る県境が、細く薄い点線ではなく、濃く太い実線のように思われてならない。

 天声人語より
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ワクチンの遅れ
はや1カ月。
まだ1%余。
高齢者接種の歩みが、遅かったPCR検査拡大に重なる。
「気長に」と河野氏に言われても。
各国より極端に少ないし、重症者は増えているし。

素粒子より
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那須高原、小諸、盛岡、ブラジル----。牧草地研究の専門家である福田栄紀さんは転勤続きだった。
故郷・島根で闘病中の母を励ますため、せっせと手紙を送った。
書き出しはいつも「今年〇番目の手紙です」。多い年には60通を超えた。季節の移ろい、家族の近況のほか、短歌を詠んで送ったこともある。〈母に出す手紙の切手か致し八十路の日々の続くを信じ〉。返信も届く。「元気でおんはるかいな」。お国言葉がうれしかった。そんなやり取りは5年前、母が89歳で亡くなるまで続いた。
〈手紙読むのが楽しみと笑顔見せ言うてくれたけ。切手十枚また買うた。途中で逝くなや。〉。昨秋、日本一短い手紙コンクール「一筆啓上賞」に応募する。生前の母に語りかけるつもりで文案を練った。この作品がみごと大賞の一つに選ばれる。
送った便りは9年間で通算510通に。兄は地元で暮らし、妹は母の世話をするため帰郷した。「介護を兄と妹に任せきりにしているという後ろめたさがあった。手紙は僕にできる唯一の親孝行でした」。
残された手紙を拝見して思い出したのは、サトウハチロー産の詩である。〈母ありて われうれし 母ありて われよぢれ 母ありて われすなおなり〉。きようは母の日だが、感染症のせいで対面もままならぬ異常な日々はなお終わらない。
かく言う当方も、故郷に80代の病む母がおり、もう1年近く会えずにいる。たまの手紙や電話しか見舞う手立てのないのがもどかしい。

 天声人語より
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ワクチンの遅れ
よし、五輪は大丈夫だ。
そう思えた人はいないだろう。
首相答弁に説得力のなさ過ぎ。
そもそも、高齢者に「早い者勝ち」を強いるのは酷だ。
接種予約で大混乱、各地で。

素粒子より
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約束守れない首相 覚悟は
緊急事態宣言の延長と対象地域の拡大が決まった。菅義偉首相は当初、17日間の「短期集中」と明言していたが、約束を守れなかった。年初に2度目の宣言を出した際も「1カ月で絶対阻止」としながら、結果として2度の延長を余儀なくされた。
なぜ約束が果たされなかったのか。結果を国民はどう受け止め、行動すればいいのか。多くの人が知りたい肝心の部分があいまいにされたまま、我慢を強いるお願いばかりが繰り返される。これでは対策の効果が上がるとは思えない。
首相は記者会見などで、17日間という宣言の期間の妥当性について問われても、正面から答えず「人流は減少している」と繰り返した。そのような説明で、コロナ禍に苦しみ様々な我慢を強いられ、医療の現場で苦闘する人たちから、理解を得られると考えているのだろうか。
一方で首相は、夏の東京五輪・パラリンピックについては「人類が新型コロナに打ち勝った証し」と位置づけ実現に突き進む。五輪開催を意識するあまり、コロナ対応が後手に回り、中途半端になっているように見える。
過去にない感染症の脅威にさらされる国民の命と健康を、何より最優先に対応する。その覚悟があるのかどうか、首相はいま厳しく問われている。

 紙面より----首相官邸取材キャップ・星野典久
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変異株の猛威
はこびる変異株に、各地で連日「過去最多」がずらり。
「しっかり」という気合よりも、首相は具体策を。

特許の一時放棄で火花が散る。
ワクチン普及が世界中の願いである事実を忘れずに。

素粒子より
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主権者たる国民の求めに応じて、国が行政文書を公開する。そんな情報公開法の施行前夜だった2000年度。
多くの省庁が異常な量の文書を廃棄していた。法の施行をにらんだ「駆け込み廃棄」だったとみられている。
NPO法人の情報公開クリアリングハウスがその後、明らかにした実態である。財務省環境省の廃棄量は前年度の2倍を上回り、農水省は21倍。文書の存在を消せば、求められても公開しようがないというわけか。
それから霞が関では「問題になりそうな案件は文書で残さない」との不文律が広がったように思う。そう考えると、自死した近畿財務局職員赤木俊夫さんが森友文書改ざんの経緯を書き残したのは、勇気ある行為だった。財務省と近畿財務局の間のメールも添付されているという。
その「赤木ファイル」について財務省は、存在すら明かさない姿勢を1年も続けた末、やっと表に出すことを決めた。闇に葬りたかったのかもしれないが、赤木さんの妻雅子さんが訴訟で求め、裁判所も提出を促した。
公務員は国民の奉仕者であり、公文書は国民の財産である。そんな理念を口にするのが空しくなるようなことばかりが、この国で続いてきた。権力者への忖度がはびこり、記録がないがしろにされる。安倍政権下で蔓延した空気は菅政権でも引き継がれているのではないか。
最後まで公僕であろうとした赤城山のファイルの扱いに小細工は許されない。「黒塗り」で真相を隠すことがあってはならない。

 天声人語より
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やる気は脳の活動に変化を与え、効果的なリハビリにつながる。
病院などの現場では、患者本人のやる気が、リハビリの効果に影響することは知られている。生理学研究所などの研究チームはその仕組みの解明を進めている。
脊髄損傷から回復途上のサルで、やる気や意欲に関係する「側坐核」という脳の領域の活動を薬で止めたところ、治り始めていた手のまひが再び出て、イモをつまめなくなった。一方、健康なサルでは、側坐核の活動を止めても影響はなかった。研究チームは、けがの回復期に、側坐核が運動機能をつかさどる脳の領域の活動を活性化し、運動機能の回復を支えているとみている。
また、生理研の定藤教授らの研究チームは、褒められることの影響について研究している。他人に褒められると、意欲や意思決定に関わる「線条体」と呼ばれる脳の領域が反応することを確認。さらに、褒められた人は、指を使った運動技能の習得が上手になることも確かめたという。
定藤教授によると、これまでは教育の分野で、こうした意欲や褒めが学習にどう影響するかについて研究されてきた。最近は、脳神経学の分野でも研究が進み、成果はリハビリにも応用できるという。
定藤教授は「強い意欲を持ち続けるには、褒められることに依存せず『やればできるんだ』という経験に裏打ちされた自己肯定感が大切。リハビリでも、自ら取り組む意欲を高める試みが、周囲には重要になる」と指摘している。

 紙面より
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英語の「ナッジ」とは、ひじで軽くつつくこと。罰金を科したりするのではなく、それとなく行動変容を促すことをいう。
例えば災害避難の呼びかけで「いま避難所に行けば寝る場所が確保できます」と伝える。
避難した方がいいと感じても、ときに人は判断を先延ばしにしてしまう。だから「いま」を強調し背中を押す。「すでにほとんどの方が避難しています」との言い方も効果がありそうだという。
感染対策で人との間隔を空けてもらうため、レジの前に足跡の印を描いたのはナッジの一種だろう。政府や東京都が通勤列車の減便を求めたのも、在宅勤務を促すつもりだったに違いない。しかしこちらは完全に裏目に出た。
連休明けのきのうは列車や駅が大混雑となって「密」が増してしまい、JR東日本は急きょ通常ダイヤに戻すことにした。裏目といえば連休中も、都内の人出を減らそうとしたところ、隣県のまちに多くの人が流れた。
行動変容の難しさがあらわになる中での緊急事態宣言の延長方針である。政府や自治体にはさらなる工夫が求められる。そして最終的には私たちが何を望むのかにかかっている。助かる命が助けられない。そんな社会をよしとする人はいないだろう。
みんなに慎重な行動を促す一方で、東京五輪は開くと言い続けるなら、政府みずから緊張感を緩めているようなものだ。五輪の中止を判断することが、いまや行動変容の必要条件ではないか。

 天声人語より
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筋肉とアミノ酸。高齢者はたんぱく質を意識して摂取しょう。
加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を防ぐためには、日々の食事でたんぱく質を十分に摂取することが鍵を握っています。最近では、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、筋肉を作るのに重要な役割を果たす種類も分かってきました。
 筋肉は合成と分解が繰り返され、そのバランスで筋肉量が維持される。だが、高齢者は筋肉を合成する力が低下するため、バランスが崩れて筋肉量が減ってしまう。一般成人が1日に必要なたんぱく質の量は、体重一㌔グラム当たり0.8㌘。だが、高齢者の場合は1㌘程度を取った方が良いそうだ。
BCAAと呼ばれる、ロイシン、イソロイシン、バリンというアミノ酸が重要だ。特に、体内でロイシンの濃度が高まると、筋肉の元になるたんぱく質の合成が進むことも分かってきた。
筋肉量と筋力が低下した「サルコペニア」の状態にある80歳ぐらいの高齢者155人を対象に、アミノ酸と運動の効果を検証した。運動に加えてロイシンを高配合したアミノ酸をサプリメントで取る群、運動だけ群、アミノ酸を取るだけ群、座学の健康教育だけ実施した群、の4群に分けて3カ月後に効果をみた。すると、健康教育群以外では下肢の筋肉量が有意に増加。ただし、運動をした2群では筋力も高まったが、アミノ酸を取るだけの群では高まらなかった。
高齢者は、歩行が不自由になると社会活動が低下するなどの悪循環に陥るため、特に筋力の低下予防が重要だ。「アミノ酸を取るだけではだめ」、運動を心がけるように勧める。
 ロイシンは牛肉の赤身や鶏のむね肉、納豆などに多く含まれ、食事で十分摂取できる。ただし、「若い時より食べる量が減っている高齢者は、意識してたんぱく質を取るひつようがある」。
サプリメントで補うことも効果的だ。

 続・元気のひけつより
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歴史学者の大門正克さんがある小学校の古い文書をひもといていたら、ひんぱんに出てくる言葉があった。
「生活極めて困難故に本人を要す」。生活に困り、子どもにも仕事をさせなければならない。だから不就学を認めてほしいという親から学校への申請書だった。
調べたのは1901年から12年にかけての文書で、貧困ゆえに学ぶ機会を奪われた子供が少なくなかったことを示している。やむを得ないことだと行政側も認めていたらしい。
貧しさゆえに義務教育を受けられないという事態は現代では絶対に許されない。しかし貧困の影響は、様々な形を変えて表れている。あるNPOが母子家庭に小学生の子どもの体重の変化を尋ねる調査をしており、その結果がきのうの紙面にあった。
2回目の緊急事態宣言が出ていた今年の2月には、子どもの体重が減ったという答えが東京都内の家庭の1割近くにのぼった。感染拡大で非正規労働の母親の仕事が減り、食費を削った可能性が考えられるという。影響は、ふだんの学びや遊びにも及んでいるのではないか。
社会の激変でしわ寄せを受けるのは弱い人たちである。子どもの貧困に強く光があたるようになったのは、リーマン・ショック後の不況下だった。コロナ危機は雇用のみならず、子ども食堂などの手立てにも逆風を浴びせている。
貧困が子どもたちの将来に影を落とす。それを黙認するような社会であってはならないと、子どもの日に改めて思う。

 天声人語より
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後追い作戦
あぁ、3度目も「延長」と「拡大」。
予想された無様な後追いに不信感が倍加する。
「11まで」の休業告知を貼り直す不安、焦燥を思う。

素粒子より
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大発見であっても、その名前が重々しいとは限らない。
エチオピアで骨が見つかった320万年前の猿人は、ルーシーの愛称がついた。発見の当日、ビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」が流れていたからだ。
ラテン語の学名にも自由さはある。ハード著『学名の秘密』によると、歌手デビッド・ボウイの名を持つクモがいて、名はヘテロポダ・ダウィウォウイエ。やせて足が長く、オレンジ色の髪のボウイに印象が近いという。
歌手ビヨンセにちなんだアブや、野球のイチローに由来するハチもいる。先日の報道によると、兵庫県の淡路島で化石が見つかった新種の恐竜に「ヤマトサウルス・イザナギ」の名がついた。
古事記ではイザナギとイザナミの二神がまず淤能碁呂島という陸地をつくって降り立つ。そこで生み出したのが淡路島を始めとする日本の島々。神話の中の淡路島は国造りの出発点とされる。
今回の新種は世界的に分布したハドロサウルス科の仲間で、なかでも特に原始的な種という。仲間たちの繁栄の始まりにいたかもしれないという研究者たちの興奮が、名前に神話を選ばせたか。
皇国史観に利用された過去を持つ日本神話だが、今はとわられることなく自由に遊べる。ライトノベル風にした小野寺優著『ラノベ古事記』のはずんだ文章も、ご賞味を。「そうだ! イザナミ、 この島『オノゴロ島』って名前にしない?? ここに神殿を造ろう」「素敵ね! 楽しそぉっ!!」。

 天声人語より
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緊急事態宣言
「宣言」延長でも、もう驚かれない。
こんな現状こそ、本当の緊急事態に見える。

素粒子より
コマ切れの宣言より1年とか、6カ月とか。
長い宣言をすべきだ。
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ことの本質を何かと言い表した。福沢諭吉の手がけた訳語にはそんな思いがにじむ。
スピーチは、元からあった「演舌」の語を下敷きにしつつ「演説」にたどりついた。人を説得しようという意志を字面から感じる。
ライトは「権利」ではなく「権理」とし、『学問のすすめ』に「地頭と百姓とは、有り様を異にすれども、その権理を異にするにあらず」と書いた。ライトの背景にある理、即ち物事の正しい道筋を思うと、定着しなかったのが残念でもある。
人としての権理、もとい権利は、近代の憲法を貫く原理となった。日本国憲法は基本的人権を「「侵すことのできない永久の権利」とする。その流れの中にある「法の下の平等」を定めた憲法14条がいま、婚姻のあり方を問うている。
同性どうしの結婚を認めない現行法は14条違反。先日示された札幌地裁の判断である。性的指向は人の意思では変えられない、ゆえに性別や人種と同じで、差別は許されないという判決の筋道にうなずく。「男女の夫婦がお互いを思う気持ちと何が違うのか」と当事者は訴える。
身分などに基づく特権を退け、人権に光をあてる。それが近代の大きな流れだが、特権と人種は今も緊張関係にある。異性間の婚姻は、同性を愛する人から見れば特権そのものであろう。世の中の移り変わりとともに人権概念は輝き方を変える。
福沢はライトの訳語を「権理通義」とも記した。世に通る正義という語感には、人権の絶対性が宿る。きょうは憲法記念日。

 天声人語より
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高カカオチョコで腸内の善玉菌を増やし 便通改善
カカオ分70%以上の高カカオチョコレートを店頭で見かけませんか。ちょこっとでも腸の調子を整えることが分かってきました。
チョコの成分で有名なのはカカオポリフェノール。認知症の予防や動脈硬化のリスク軽減などの効果があることが、2014年から愛知県蒲郡市で行われた市民347人を対象にした健康調査でわかった。一方、この調査で「便通が改善した」という声も聞かれた。ポリフェノールでは説明できない結果だった。
「カカオたんぱく質が関わっているのでは」と帝京大の古賀准教授は考えた。古賀さんは機能性が未解決だったカカオたんぱく質の抽出・分離に初めて成功。大豆や牛乳のたんぱく質と比べて消化されにくく、大腸まで届くことを明らかにしていた。大腸には500兆個以上の腸内細菌がすみ、食物繊維などを餌に腸内環境を整えている。
菓子メーカーの明治と共同で、便秘気味の女性31人を2群に分け、カカオ分72%の高カカオチョコと、カカオたんぱく質を含まないホワイトチョコを、それぞれ毎日25㌘、2週間食べてもらった。
すると、ホワイトチョコの群は変化はあまりなかったが、高カカオチョコの群は排便回数が週2.8回から4.9回に、1回の排便量も2倍以上増加。便秘解消が裏付けられた。「結果にびっくり」と古賀さん。女性たちの腸内細菌を調べると、「フィーカリバクテリウム」が約2.5倍増えていた。この菌はあまり知られていないがビフィズス菌、乳酸菌と同様に善玉菌だ。
この菌から作られる酪酸は大腸の粘膜を刺激し、便通改善の効果がある。古賀さんは「カカオたんぱく質が善玉菌の餌になり、腸内環境が改善した」と話す。
厚生労働省の13年の調査では便秘に悩む人は約470万人で女性に多い。高カカオチョコの機能を研究する愛知学院大の大沢教授は「日常の食事習慣の中で少しずつ食べることが大切」と助言する。少量でも様々な効果が出るので、カロリーも気にするほどではないという。

 続・元気のひけつより
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歩いている時、私たちの身体は街の一部であると、社会学者の吉見俊哉さんが書いている。
しかし電車や車に乗ると街から切り離されてしまう。車窓の風景を「映像的なイメージとして消費する」にすぎない。
吉見さんの『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』を読むと、その博識に触れながら一緒に歩いている気分になる。例えば北区にある飛鳥山という小さな丘。8代将軍吉宗が庶民向けのサクラの名所として開発したという。
見下ろすと工場の敷地がある。「日本資本主義の父」といわれる実業家渋沢栄一の製紙会社があった場所だ。経済の発展には大量の紙幣が必要だと渋沢は考えた。忠実な幕臣でもあった彼は飛鳥山を愛しており、それもあってこの地を選んだようだ。
知識はなくとも何となく道を歩き、歴史を語る碑文などに出くわすのはうれしい。今年の大型連休も遠出を諦め、せめて散歩をという方も多いのではないか。近所でも歴史に触れることはある。例えば寂れた寺に記された由緒を知るとき。
あるいは店の看板にある創業年に年月を感じるとき。もしも長く住んでいる場所であれば、ここは昔、駄菓子屋だったなあなどと記憶をたどることもできる。気持ち次第で、街路は単なる通過点にもなるし、心の遊び場にもなる。
長い休みに家にいると損した気分になる。だから目的地を作り、そこに向かって多くの場所を通り過ぎる。それがいつもの連休だとすれば、今年は小さな発見を求め、のんびり歩くのも悪くない。

 天声人語より
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人口減少、それがなにか?
ければ経済成長が難しくなる。産業・企業の存立基盤が損なわれる。政府債務返済負担が一段と増す、国力が衰退し安全保障リスクが高まるなど、不安は尽きない。
 しかし、人口減少は嘆くしかないことなのだろうか。人口減少下でも、国民の豊かな生活や国力を維持する手立てを見つけることはできないのだろうか。
 人手不足の主因は人口減少と言われる。しかし例えば、コンビニや外食チェーン店の24時間営業、きめ細かすぎる宅配サービスなど、消費者が便利さへの飽くなき欲求を少しでもよくせいすれば、人で不足は和らぎ、労働環境も改善される。その結果生じる労働力の余裕を、新たな成長分野で発生する労働需要り振り向けることができれば、生産性の上昇と付加価値の増大すなわち経済成長の押し上げに生かすことができる。換言すれば、それを阻んできたのは我々自身ではなかったか。
 人口減少に直面する日本に必要なのは、危機を煽り弥縫策を繰り返すことではない。公共投資の拡大は一時的な景気刺激と引き換えに将来世代に大きな財政負担を残した。我々に求められているのは、人口減少が制約や重荷とならない経済社会をつくる意思であろう。いずれ使われなくなる社会インフラはつくらない、これ以上政府債務を増やさないなど、マクロからミクロまで、やるべきこと、できることは多い。

 経済気象台より----山人
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黒地に白で「怨」と染め抜いたのぼりが立ち並ぶ。
今年公開される原一男監督の映画「水俣曼荼羅」の一場面だ。6時間を超す長編のドキュメンタリーを見た。
チッソ水俣工場が有機水銀を含む排水を海に流し始めたのは戦前の1932年。ナゾの病気の患者が発生するのは40年代初頭である。やがて浜でネコが踊り、空からは海鳥が落ちるように。幾多の交渉や闘争をへてなお、患者としての補償や認定を求めて約1700人が裁判を続ける。
映画は、チッソに家族と自身の人生を狂わされた女性患者の心境の変化を伝える。憎み抜いた末、チッソを許す立場に転じた。「人を憎めば苦しかじゃろう。苦しか。そしたら許せば苦しゅうなかごんなるよ」。深い言葉を紹介するのは、『苦海浄土』作家、石牟礼道子さんである。
その場面に、生前の石牟礼さんから取材で聞いたひと言を思い出した。「環境汚染と言っても、汚してきたのは人間です。人類そのものが毒なのです」。目をつぶり、一語一語
ゆっくりと発する姿はいまも胸にある。
水銀汚染は世界各地に深刻な被害をもたらした。水俣の名を冠した条約が4年前に発効し、多くの国で批准された。プラスチック廃棄物から海洋を救おうという機運も高まる。海や川、空や大地を汚染してきたことへの反省は着実に広がりつつある。
「公害の原点」と言われた水俣病が公式に確認されてきょうで65年。「水俣病は終わっていない」。映画の放つメッセージはあくまで重い。

 天声人語より
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紫外線から肌を守る。シミやシワ、炎症を防ぐ。日焼け止めを活用し、ビタミンD不足にも注意を
日焼け止めの対策で重要なのは「量」と「塗るタイミング」だ。
量は、顔全体では、乳液状ならば500円玉ぐらいの量が必要。また、角層に浸透するまでの時間が必要で、外出する15~20分前には塗り終えたほうがいい。さらに汗で流れるだけでなく、汗と混じるだけでも効果は下がるといい、通常の屋外の環境下では2時間ほどしかもたないという。
だから、日焼け止めだけで完璧に肌をガードするのは現実的ではない。帽子や日傘、衣類、UV手袋、サングラスなどを補助的に使って保護することが大切だ。顔はパウダーファンデーションを塗れば、長袖の服を着るのと同じような効果があり、肌を紫外線からブロックしてくれる。
 一方、紫外線は「悪者」というわけでもない。紫外線は皮膚でビタミンDをつくり、骨を強くする。過剰な紫外線対策をすると、ビタミンD不足に陥るおそれがある。成長期の子どもや、骨粗鬆症のリスクのある高齢者らには、両手のひらほどの面積で一日20分くらい紫外線にあたることが進められる。
その意味でも、紫外線対策をするならば、食事でビタミンDをとることを意識したい。魚やキノコ類に多く含まれている。
サバやイワシなどの缶詰。保存がきいて簡単に摂取でき、小骨もあるのでカルシウムも一緒にとれる。キノコは2~3時間以上、半干しの状態にしてから調理すると、エルゴステロールという成分がビタミンDに変わって豊富になる。干しシイタケやキクラゲもおすすめという。

 元気にキレイにより
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春の連休を待ちかねたように函館・五稜郭公園のソメイヨシノが盛りを迎えた。
園内の標準木で開花が確認されたのはこの20日。史上番目の早さである。
戊辰戦争の舞台として知られる城郭は、道内有数のサクラの名所でもある。植生を管理する函館市住宅都市施設公社の渡辺千嘉子さんはおととしの春、十数年ぶりに公園担当となって樹勢の衰えに驚いた。園内の1500本の大半は樹齢60年以上。百寿を超える木もあった。
サクラで名高い青森・弘前公園を訪ね教えを請い、昨年6月に初めて実施したのが「お礼肥」プロジェクト。函館市民の目を長年楽しませてくれたことへの感謝を込め、木々に肥料をあげる試みだ。ボランティアを募ると、予想をはるかに上回る延べ400人が参加。バケツやスコップを手に汗を流した。
もう一つ、開花の時期に樹下での宴会が消えたのも、サクラには療養となった。「根のすぐ上のシートに大勢が腰をおろすのも、コンロの火で熱せられるのも、サクラには相当な負担です」と圓の樹木医を務める斎藤保次さんは話す。
園内を歩く。支え木がないと倒れそうな木もあるものの、1本1本が日ざしを浴び、懸命に枝を伸ばす。せっかくのお礼肥に豊かな花で報いたい。そんな意気込みを感じさせる枝ぶりだった。
今年の桜前線は列島を常ならぬ早足で駆け抜け、めでる余裕もなかった。来年こそは心穏やかに花の盛りを迎えたい。過度の負担を幹や根にかけぬよう気をつけながら。

 天声人語より
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快眠のコツ 適切な睡眠は6~7時間。統べての人に勧めしたいのは昼寝。
春眠暁を覚えず、という漢詩があるように、眠りを誘う季節です。しかし、布団に入ってもなかなか寝付けないという相談は、この季節も多く寄せられます。適切な睡眠時間を知って、気持ちよく寝てすっきり目覚めましょう。
 私たちは眠ることで疲労を回復させ、心身のメンテナンスをします。日中、疲れや眠気を感じず過ごせるようなら、李相の睡眠がとれているといえる。
現役時代に十分な睡眠がとれなかったから時間ができた今はゆっくり眠りたい。結果、寝床にいる時間が長すぎて、睡眠の質が悪くなる。これがシニア世代の落とし穴になります。寝付きが悪かったり、夜中に何度も目覚めたりする人は睡眠時間を圧縮することで、改善されることが多々あります。目安は6、7時間。実際に眠っている時間+30分を心がけましょう。
 凡ての人にお勧めしたいのが昼寝です。午後を元気に過ごせて活動量が揚がるからです。ポイントは時間の長さとタイミング。正午~午後3時の間に30分までの仮眠をとれば、深い眠りに入る前に目覚めるため、すっきりします。
 ソファに座って目を閉じるだけでも、効果を期待できます。衣服の締め付けをゆるめ、上半身を少し起こした姿勢で足を伸ばすとリラックスできる。

 きょうもキレイより------三橋美穂
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「2021年の祝日が移動します」。先ごろ、新聞各紙に政府広報が載った。
五輪をにらんで日程が移ったのは「海の日」「山の日」「スポーツの日」。手もとのカレンダーを見れば、どれも変更前のままではないか。
カレンダー大手「トーダン」を訪ね、強口邦雄社長に事情を聴いた。「祝日が変わると国会で決まったのは昨年の11月末。すでに出荷済みでした」。印刷は1年がかりで、間に合わせようもなかったという。
政治の都合に振り回されたことは過去にもある。たとえば2000年の春。4月29日を「みどりの日」から「昭和の日」へ改める法案の成立が確実視され、強口さんは翌年坂野印刷を始めた。数日後、ときの森喜朗首相の口から飛び出したのが「神の国」発言。国会審議は荒れ、法案はよもやの廃案に。数千万円が泡と消えた。
令和に改元された際も業界はハラハラし通しだった。退位の時期をめぐって「年末」「年度末」「4月末」と情報が錯綜した。「祝日を変えるなら施行日は2年先にお願いしたい」。
思えばこの1年余、カレンダーを見る機会が平年より増えた気がする。離れて暮らす親を見舞った日。ワクチン接種の遅さにため息をついた日。あれこれと気をもむ日が続く。
洋の東西を問わず、自らの都合に合わせて祝祭日を変えたがるのは権力者の常。それでも本来は、歴史に学び、教訓を心に刻む日のはず。むやみに前へ後ろへ動かすと、せっかくの祝日の意義が軽んじられはしないか。

 天声人語より
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理想的な健康長寿の姿、それに近づくための心の持ち方
まず「健康」という言葉そのものについて考えます。「健」の字には、建物の「健」が含まれます。地震で倒れない、しっかりした建物を建てるように、「人間の体を健やかに保つにも、強い土台が必要だ」と解釈できそうです。
次に「康」というと、260年続いた江戸幕府の礎を築いた、徳川家康の名が思い浮かびます。「啼くまで待とうホトトギス」と詠んだ、という逸話があるほど、家康は気長で心に余裕のある人物だったと言われています。漢和辞典を調べると、康には「すこやか」「やすらか」といった意味があるようです。健やかに、安らかに。気長に、余裕を持って。そんな心の持ち方が長生きのコツでしょうか。「人生50年」と言われた時代、家康は70年以上、生きたことが分かっています。
では、長生きしたら、毎日をどう楽しむか。「今までやったことがないことをやってみる」。それに尽きます。挑戦するかしないか、迷う前に、「新しいことに挑戦する毎日」を習慣化してしまえばいいのです。

 あるがまゝ行くより---日野原重明
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