中国湖南省ら滋賀県に今週2万枚のマスクが届いた。輸送箱には唐詩の一節が。「相地無遠近、万里尚為隣」。
親友に遠近は関係ない、万里離れていもなお隣にいる。先月下旬、医療用手袋1万枚を贈った返礼だと地域面にあった。
新型コロナウイルスの猛威がやまない。医療や教育など社会を支える歯車のすべてから悲鳴が聞こえる。今週載った記事で印象深い言葉を拾った。
埼玉県内の30代女性は、小1の長女の言葉に頭を抱えた。「いつもの学校じぁない。もう行きたくない」。教室で一時預かりをしてくれたが、私語厳禁、立ち歩きはトイレ時だけ。娘の動揺を見かねて、パートの仕事を休まざるを得なくなる。
「町医者は二重苦に苛まれいる「と群馬県内の開業医は訴える。自身の艦船の恐れと風評による打撃。「近所の保育園での感染が公表されたが、私の診療所と無関係なのに登院の患者、とのデマが流れ、来院者数が激減した」。
一斉に浮足立った先進各国を冷静に見つめる目も。感染症対策の専門家は、過去にアフリカでエボラ出血熱やコレラが流行したとき、国際社会がいかに冷淡だったかを語る。「先進国で流行しない限り、製薬会社や研究者もあまり関心を持たないのです」。
株価が乱高下し、五輪は延期され、外出自粛が求められる。そんな中、新潟県の小学校で校長先生が卒業生にこう語りかけた。「暗い夜にも必ず朝は来ます。笑顔で上を向いて進みましょう」。気構えは、かくありたい。

 天声人語より