きのう訃報が届いたシナリオライターの上原正三さんは、
特撮番組「ウルトラセブン」「帰ったきたウルトラマン」などで多くの脚本を手がけた。なかでも「怪獣使いと少年」の回は、異色作として語り継がれている。
「あいつは宇宙人だ」とうわさされた少年が、壮絶ないじめにあう話である。まちの人たちから気味悪がられ、ついには暴徒と化した大人たちに襲われてしまう。少年をかばおうとする主人公にも、人びとの矛先が向かう。
およそヒーローものに似つかわしくない話の背後にあるのは、関東大震災での朝鮮人虐殺である。デマにあおられ、虐殺は起きた。「人のなかには、いつそういう風に変わるかわからにい面がある」。そのことを物語にしたかったと上原さんは後に語っている。
沖縄出身で「本土で異邦人として生きる」と決めた上原さんは、作品で差別と向き合っていたのだろう。ウルトラシリーズの脚本家には々沖縄出身の故・金城哲夫さんもいて、蹂躙される故郷の姿がにじむ作品もある。
かつてかじりつくように見ていた身には、独特の「暗さ」が記憶として残っている。他の子ども向け番組とはどこか違う。いま思えばそれは、作り手たちが社会への憤りを投げ込んだための「重さ」だったのかもしれない。
82歳で生涯を閉じた上原さんは、最後まで表現者であり続けたい。晩年の小説『キジムナーkids』では、戦中戦後の沖縄が少年の目を通して描かれている。

 天声人語より