一度は言ってみたい言葉に「金に糸目はつけない」がある。惜しげもなく、いくらでもお金を使おうという太っ腹。
もとは凧揚げから来たようで、糸目とは凧につける数本の糸のことだ。糸目のない凧はコントロールを失い、勝手に飛んでいく。
「税金に糸目はつけない」。そんな声が政府から聞こえてくるようだ。沖縄県。辺野古の海を埋め立てようと、土砂の投入が続いている。日本の税金でつくる米軍基地なのだが、政府は総工費すら明らかにしていない。
難工事ゆえ、一体いくらかかるのか現時点で言えないらしい。埋め立て予定地の一部に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤があると分かり、7万本の杭を海底深くまで打ち込もうとしている。国内では前例のない作業という。
税金の投入がどこまで膨らむのか、全くめどが立たないまま進む。そんな大規模事業などありえないと思っていたら、あつた。高速増殖原型炉もんじゅは1兆円超をのみ込んだ末に、ほとんど運転できず廃炉となった。巨大すぎる反面教師である。
お金よりもひどい話は、沖縄の民意を無視続けていることだ。岩屋毅防衛相は最近の記者会見で、「沖縄には沖縄の民主主義があり、国には国の民主主義がある」と述べた。知事選も県民投票の結果も、あくまでよそごと。閣僚がここまであけすけに語るとは。
野党に勢いはなく、与党の中にもいさめる者がいない。沖縄の空に、安倍政権という暴走気味の凧が飛んでいる。まずはこの政権に、糸目がいる。

 天声人語より
これに似た事例は他にもあるようだ。東北地方の津波による被害の後の工事。住民が戻らないと言っているのに、莫大な費用をかけて整備する必要はあるのだろうか。
戻るというところに集中して予算を投入すべきではないのか。