北朝鮮の攻撃意図を減らせ--のその二
実勢はこうだ。もとより北朝鮮は一方的な核廃棄の気配を見せていない。その北が恐れ、嫌がることを二つ挙げると、戦争と制裁だろう。日本にとっての問題は、その二つの見込みが弱含みだということだ。
この間、南北は接近し、中朝もよりを戻した。中韓のいう非核化は、内容や道筋の点から日本とずれる。頼みの米大統領は、歴代大統領がしえなかったことを自ら成しどけたと見せつけたい。暗転はありうるが、米朝は接近を模索している。
その結果、開戦前夜といわれる状況は南北・中朝接近のなかで反転し、戦争は非常に困難となった。ならんで、制裁の実効性に疑義がつきまとう。カギは中国だ。北の貿易の9割がたは中国とのものだが、すでに、中朝国境では人と物の行き来が再開しているといわれる。
結局、北朝鮮にはたいして恐れるものがない。今後も非核化の演技を続け、少なくともしばらくは核とミサイルを保持することになろう。
そんななかで、米朝対話が進むとなると、米国による核の傘の意味がかわりうる。それに応じて、日本は目標とそれへの接近法を再考することを余儀なくされる。
安全保障論のいろはだが、驚異とは物理的能力と攻撃意図の積である。日本が追及してきた非核化は核の物的廃棄であり、前者に関わる。それを追求しつつ当面叶わぬのなら閉口して後者を減ずるほかない。
いま考えるべきは、北の攻撃意図をどう減ずるか。それに資する政策手段は何かである。たとえば、非核化に向けた具体的行為があれば、それに合わせ、個人・団体を対象としたものなど、象徴的な独自制裁から緩和や解除を模索してもよかろう。
そうしたサインの交換と全般的な関係改善のなかで、遠目にみるかくはいぜつへの移行期においても、日本の安全を確保することが求められる。

 あすを探るより-----遠藤 乾